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小売り、フードバンク対応、余分な食品、必要な人へ、イメージ向上狙う。

[ 2018年6月17日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 スーパーなどの小売り大手が食品廃棄の削減に貢献する「フードバンク」への対応を強化する。イオン傘下のダイエーは取扱店を2倍の100店規模に広げ、卸大手の国分グループ本社は出荷されなかった缶詰などをフードバンクに毎月寄付する。フードバンクへの消費者の関心は高まっており、各社は削減目標を掲げてブランド力の向上にもつなげる。

 フードバンクは賞味期限が近づいた食品や飲料をNPO法人などがスーパーやメーカーから引き取り、各地の福祉施設などを通じて生活困窮者らに提供する活動。現在、国内では約80団体が活動している。食べられる食品を廃棄する「食品ロス」対策を巡っては、2017年10月の衆院選で複数の政党が公約に盛り込んだことで消費者の関心も高まった。

 ダイエーは未開封で常温保存が可能、賞味期限までに1カ月以上あるといった条件を満たす加工食品や飲料を、フードバンクの運営団体に提供している。同社は18年春までに、近畿の店舗を中心に40店で対応してきた。5〜6月に東京都や神奈川県などの約50店で新たに取り扱いを始め、年内に100店規模にする。

 西友は18年中に、フードバンク対応店を現在の2割増となる約140店に増やす。09年から先駆けて取り組んできた同社は、大型物流拠点に賞味期限が迫った食品を集約し、運営団体にまとめて寄付するなど効率的な運用を進める。

 生活協同組合もフードバンク運営団体との連携を強化。日本生活協同組合連合会によると、取り組む生協は17年度に60組織と、ここ2年間で4倍に増えた。関東地盤のコープみらい(さいたま市)では、売れ残った商品のほか袋が破れた米や紙おむつまで提供する。

 様々な食品を扱う卸大手にも動きが広がる。国分グループ本社は毎月1回、出荷されなかった缶詰や冷凍食品、菓子などをフードバンクに寄付している。17年に寄付した量は計約4トンで、前年比で6割増加した。

 フードバンクはもともと、1960年代後半に米国で生まれた社会活動だ。その後欧州などにも広がり、日本でも10年ほど前から徐々に広がってきた。食品廃棄物の削減のほか、飢餓や貧困の撲滅という意義が浸透。米国の小売業界では企業の社会的責任(CSR)として浸透した。

 米国では農務省が優良なフードバンクの運営団体に助成金などの資金を援助するほか、運営団体や寄付をする企業・個人への税制優遇制度もある。こうした法整備も企業とフードバンクの連携を後押しする。スターバックスは16年から、全米の店舗で売れ残った食品の全量をフードバンクに寄付している。

 英国やフランス、オーストラリアでも米国と同様に政府の支援策や法整備が進んでおり、フードバンクの活動を支えている。

 日本の小売業も食品廃棄に関する取り組みを強化している。国内の食品廃棄物は年間2800万トン超とされ、廃棄コストの削減が経営課題となっているためだ。イオンは25年までに廃棄物の量を15年度比で半減させる方針を掲げる。

 寄付する食品の安全性の確保など課題も多い。大部分の企業は対象の食品が未開封で常温保存が可能なことなどを条件としているが、仮に健康被害が発生すればリスクとなる。成分表示なども含め、品質管理確認を徹底する必要がある。

 店舗での確認や仕分けには一定の人員や労力もかかり、量が増えればそれだけ負担も増す。中長期でコスト削減と社会貢献を両立させるためにも、各社は安定して運用できる体制の構築をめざす。(河野祥平)

【表】「フードバンク」の取り組みが広がる  
西友       関東の大型物流拠点を中心に食品などを効率的に集約して寄付 
ダイエー     店頭に回収ボックスを設け、来店客からも食品の寄付を募る 
カスミ      約50店でNPO法人などに協力、今後も順次取扱店を拡大 
生活協同組合   売れ残った食品や紙おむつを寄付。無料か低額での食事提供も 
国分グループ本社 出荷されなかった缶詰や冷凍食品、菓子などを月1回寄付

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