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日経の紙面から

新・金融ビッグバン――IT勢、銀行本丸に、決済・送金、LINEや楽天が急拡大、スマホで囲い込み、ATM・支店苦境に。

[ 2018年6月17日 / 日経ヴェリタス ]

銀行の専売特許だった決済、送金、融資にIT大手・ベンチャーが進出している。
マイナス金利で国内の再建を迫られる銀行は、フィンテックとの融合を余儀なくされている。
新たな担い手を探るとともに、急速に変化する銀行の今を追う。

 「コード支払いで、加盟店どこでも利用額の5%キャッシュバック!」

 5月末まで、こんなキャンペーンを行っていたのがLINE(3938)のスマートフォン(スマホ)向け決済サービス「LINE Pay」だ。キャッシュレスの主流になるとみて、カードからQRコードやバーコードを使った決済へと重心をシフトしている。

 3月には東京・お台場の商業施設で、週末限定で利用金額の18%を還元するキャンペーンも行った。「出血覚悟」の大盤振る舞いには、早期に利用者を囲い込むねらいがある。

 これに対し、楽天(4755)が展開するスマホ決済が「楽天ペイ」だ。ローソン(2651)やワタミ(7522)などのチェーン店のほか、中小の飲食店や美容院などにも加盟店を広げている。

 シェア拡大の武器は「楽天経済圏」の代名詞であるポイント付与。初回支払いに1000ポイント、支払額の10%ポイント還元などを打ち出す。金融事業を統括する穂坂雅之副会長は「体力勝負で面をとる先行投資は惜しまない」と話す。

 ヤフー(4689)も今月、「ヤフー!ウォレット」で実店舗でのスマホ決済を始めた。メルカリも今年後半に始める金融サービス「メルペイ」でスマホ決済に参入する見通しだ。なぜIT大手はスマホ決済をねらうのか。それは、顧客の購買データを得ることが新たなビジネスの足がかりになるからだ。

 国内のスマホ決済サービスの草分け、オリガミ(東京・港)のスマホ決済サービス「Origami Pay」の利用者がクーポンの配信や店に近づいた時の通知をアプリで確認する確率は30〜40%に達するという。マーケティング担当の古見幸生氏は「通常の来店客がポイントカードを作って、さらに配信したメールなどを確認する確率はわずか1%。効果的に販促をしかけることができる」と自信を見せる。

 政府は現在18%のキャッシュレス比率を、2025年に40%に引き上げる目標を掲げる。IT大手が顧客データを求めてスマホ決済に踏み込んだことで、キャッシュレス化の流れは一層加速している。一方で苦境に立たされるのが、支店やATMを全国に張り巡らせている銀行などの金融機関だ。

 国内116行の直近のいわゆる送金手数料収入の合計額は7000億円弱。売上高に当たる経常収益の約4%を占めるが、この10年で1割程度落ちた。ボストン・コンサルティング・グループによると、ATMの管理や現金の輸送にかかるコストは年2兆円にのぼる。合理化に向け5月、三菱UFJ銀行と三井住友銀行はATMを相互開放する実証実験を始める検討に入った。キャッシュレスの奔流が、銀行の自前主義の壁を崩しつつある。

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