日経メッセ > リテールテックJAPAN > ニュース > 小売業が通販強化、8.4%増収、アマゾン独走、遠い背中。

日経の紙面から

小売業が通販強化、8.4%増収、アマゾン独走、遠い背中。

[ 2018年6月27日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 日本の小売業がネット通販分野の開拓を急いでいる。日本経済新聞社がまとめた2017年度の小売業調査によると、ネットを含む通販事業の総売上高は前年度比で8・4%増と13年度以降の調査で最も伸びた。半面、売上高に占める比率が1%未満の企業も4割に達した。先行するアマゾンジャパン(東京・目黒)は相次いでサービスを拡充しており、背中は遠い。(詳細を27日付日経MJに)

 調査は全国の百貨店、スーパー、コンビニエンスストア、専門店などを対象に実施し、716社から回答を得た。前年度と比較可能な481社の総売上高は65兆6260億円と16年度比3・9%増だった。前年を上回るのは6年連続。

 このうちネットを含む通販部門では157社の売上高が3兆2073億円になり、8・4%増で全体の伸びにも貢献した。増加幅は16年度調査(4・7%増)を上回り、この項目の調査を始めた12年度(10・6%増)に次ぐ伸びだった。

 通販部門の売上高1位のアマゾンジャパンは13・6%増で、全体の順位も1つ上げて小売業5位に入った。人工知能(AI)スピーカーによるネット通販の利用や衣料品販売の強化にも乗り出し、サービスを拡充していることが同社の強みだ。

 アマゾンの売上高は、実店舗型では強大なネットワークを持つセブン&アイ・ホールディングスやヨドバシカメラなどの通販部門を大きく上回る。通販の売上高で2位から10位までを合計してもなおアマゾン1社に及ばず、独走状態を許している。

 セブン&アイ・ホールディングスのネット通販は売上高が11・4%増えた。店頭受け取りの利便性を高めるなど、顧客の取り込みを進める。ファーストリテイリングの「ユニクロ」はネット通販でしか購入できない商品の拡充もあり15・6%伸ばした。

 家具専門店のニトリホールディングスは店頭で欲しい商品の棚にあるバーコードをスマートフォン(スマホ)で読み取ると、ネット通販で注文できるサービスを17年度に始めた。実店舗で確認しながら手軽に注文ができることが後押しして、通販の売上高を35%伸ばした。スーパー(29・6%増)や専門店(8・8%増)も伸びが目立った。

 ただ、ニトリでも通販の売上高は全体の5%、ユニクロでも6%にとどまる。調査ではネット通販が売り上げに占める割合が1%未満という企業は43・7%に達している。リアルの店舗を組み合わせたネット通販などのサービス改善の余地は依然として大きく、スマホ向けアプリの導入により顧客情報を有効に活用するマーケティングに取り組む企業なども出始めてきた。

 今回の調査では人手の確保に苦しむ姿も浮き彫りになった。17年度の単独ベースの総売上高に占める人件費の割合は11・1%と10年前より1・3ポイント上がっている。18年度について必要な人員を充足できない見込みの企業は50・7%で、17年度の51%から横ばいで高水準が続く。

 18年度の設備投資でも5%増の新設店舗投資よりも、ネット通販の環境整備や生産性改善につながるようなIT(情報技術)投資が17%増と伸びが目立っている。消費者の節約志向が根強く価格転嫁がしにくい環境にあり、小売り各社にとっては店舗での生産性改善やネット通販の拡大が引き続き課題になりそうだ。

ニュースの最新記事

PAGE TOP