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17年度小売業調査――「アマゾンが気付かせてくれた」、客の好み把握急務。

[ 2018年6月27日 / 日経MJ(流通新聞) ]

 「何でもあるが欲しいものは何もない」――。総合スーパー(GMS)がこう評されて久しい。大型店の強みのはずの衣食住にまたがる豊富な品ぞろえも、消費者の好みに合わなければ売り場効率を悪化させる弱みでしかない。米アマゾン・ドット・コムなどネット勢が購買動向を分析して売り上げを伸ばすなか、大型店も顧客一人ひとりの好みを捉えようと動き始めた。

 イトーヨーカ堂は6月、スマートフォン(スマホ)向けアプリを刷新した。セブン&アイグループで共通の顧客ID「7iD」を登録すると利用できる。店頭での買い物時にアプリをかざすことで購買情報が集積されていく。

 アプリでの購買動向はセブンイレブンやグループのネット通販「オムニ7」と連動。アプリを通じてより精緻に個々の顧客の好みを把握し、これまでできていなかったお薦め商品の個別提案も始める計画だ。

 「アマゾンは我々が気づいていないことを教えてくれた」。イオンの岡田元也社長はこう指摘する。小売業は「消費者のため」と言い続けてきたが、実際に消費者が何を望んでいるのかを深く理解していなかったという。イオンは今後3年でデジタル化などに従来の2・5倍の5千億円を投じる。ネット通販のほか、既存の店舗運営でも人工知能(AI)を使った販売動向の分析などに取り組む考えだ。

 パルコはスマホアプリ「POCKET PARCO」でAIを活用し、客の購買・来店履歴、お気に入り登録の履歴、記事閲覧の履歴を基に顧客一人ひとりの好みを学習するしくみを導入。三越伊勢丹ホールディングスもデジタル分野に18年度以降の3年で200億円以上を投じ、顧客分析の精度を上げる。

 アマゾンなどのネット通販は個々の消費者の購買行動をもとに個別に好みを把握し、それに合う商品を提案することで売り上げを伸ばしてきた。ドラッグストアやディスカウントストアなど実店舗でも勢いのある競合が増えた。大型店が顧客の好みを把握し、「何でもある」から「欲しいものが何でもある」へと進化するためにかけられる時間は長くはない。

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