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ゾゾ、自動採寸で最適スーツ、ファッション×技術の試金石。

[ 2018年7月4日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 衣料品通販サイト「ゾゾタウン」を運営するスタートトゥデイは3日、衣料品のプライベートブランド(PB)でフルオーダーのビジネススーツ事業に参入すると発表した。独自の自動採寸技術で消費者の支持を集めることを目指す。ビジネススーツは最もサイズ感が重視される衣料品の「本丸」。今回の挑戦の成否はファッションとテクノロジーの相関を占う試金石となるかもしれない。

 「世界中で服のサイズに悩んでいる人たちを笑顔にしたい」。3日、都内で開いた記者会見で前沢友作社長はこう話した。一人ひとりに合わせて作る「フルオーダースーツ」をPBで売る。同日、サイトでの受け付けを始めた。

 価格は、ビジネススーツが3万9900円、同じく参入するドレスシャツが4900円。通常、百貨店などでフルオーダースーツを購入すると10万円以上することが多く同社は値ごろ感も武器に市場を開拓する。

 オーダースーツは消費者に無料配布する自動採寸用ボディースーツ「ゾゾスーツ」で計測して作る。現在配っているのは2代目だ。2017年11月に発表した初代はニュージーランド企業のセンサー技術を使っていた。全体に仕込んだ伸縮センサーの伸び具合で計測し、着るだけで採寸するとの触れ込みだったが、「大量生産のメドが立たず生産中止にせざるを得なかった」(前沢社長)。

 2代目では、ゾゾスーツに貼り付けたマーカーをスマートフォン(スマホ)のカメラで360度撮影し計測する。最低でも12枚の写真が必要で、一連の作業にはゾゾスーツの着脱を含め5分以上かかる。スタートトゥデイが匿名の研究者3人から3億円で買い取ったアイデアに基づいて製造した。4月から無料配布を始め、すでに55万着を配ったが、19年3月期中に最大1000万着配布する。

 一部の消費者から正しく計測できないとの指摘があったが「機械学習を使って(読み取れなかったデータを推測するなどし)精度を高めている」(前沢社長)という。今回は裾や着丈だけ調整する「パターンオーダー」と異なり、ゾゾスーツで集めた3D(3次元)データから肩の傾きや体形の左右差を読み取り設計するフルオーダースーツだ。注文から最短1週間で届く。商品の縫製は中国の工場に委託している。

 団塊世代の大量退職などで紳士服市場は縮んでいるが、価格低下などを背景にオーダースーツ市場は成長しているとされる。実際、16年ごろからコナカなど大手紳士服が相次ぎ進出しており、ゾゾ参入で価格がさらに下がる可能性もある。

 スタートトゥデイの通販事業は、サイト上の購入額を示す年間取扱額が18年3月期に2705億円と5年間で約3倍となり好調だ。今後は大量生産の衣料品ではなく、一人ひとりに合わせた衣料品が一般的になるというのが前沢社長の持論。それを実現するのがゾゾスーツだ。

 ワイシャツのオーダー通販を運営する米オリジナル(カリフォルニア州)は今夏にも、スマホで全身を前面と側面の2枚撮影するだけで採寸するアプリ提供を始める。ボディースーツを着て全身を撮影する必要があるスタートトゥデイよりも手間がかからないとされる。

 前沢社長は「世界中で特許を取得しており、対策はしている。それに我々のものづくりはそんなに簡単にはまねできない」と強調する。ゾゾスーツの配布に最大100億円規模のコストを費やす同社長の「賭け」の行方が注目される。

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