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ローソン、ネット宅配撤退、物流費高騰、採算合わず、店頭受け渡しに一本化(宅配クライシス)

[ 2018年6月28日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 ローソンは8月末、インターネットで注文した生鮮品などを自宅に届けるサービスから撤退する。物流費が上がったうえ、利用者が年6万人と伸び悩んでいるためで、ネット通販は店頭で商品を手渡すサービスに絞る。ヤマト運輸など物流会社は値上げ交渉を続けており、小売業のネット事業見直しが相次ぎそうだ。

 ローソンは2013年に始めた会員制のネット宅配「ローソン フレッシュ」を閉鎖する。野菜や肉などの生鮮品や加工食品など約8千点を扱うが、直近1年の利用者は6万人にとどまり、利用が伸び悩んでいた。

 配送はヤマト運輸や日本郵便などに委託しているが、物流費の高騰でローソン側の負担も増えていた。首都圏では5千円以上の購入で配送を無料とするなど送料の一部をローソンが負担していたが、採算が合わないためサービスを打ち切る。

 一方、スマートフォン(スマホ)から野菜などの生鮮品を注文し、最短で当日の夕方に店頭で受け取ることができるネット通販「ローソン フレッシュ ピック」は続ける。

 現在は東京都や神奈川県の200店超で展開し、18年度中に首都圏の約2千店に広げる。今後のネット通販は店頭受け取り型に一本化する。

 宅配型のネット通販はローソン本社の売り上げとなるが、店頭受け取りの「フレッシュ ピック」は商品を引き渡す加盟店の売り上げとなる。伸び悩む加盟店への集客手段の一つとして店頭受け取り型を前面に押し出していく。

 コンビニのネット通販では、ファミリーマートが2月末に「ファミマ・ドットコム」のサイトを閉鎖した。

 一方、セブン―イレブン・ジャパンは17年10月に店舗にある商品をスマホから注文して自宅で受け取れる「ネットコンビニ」を展開している。19年8月までに北海道の全店に拡大、その後全国に広げる計画だ。

 セブンは17年にセイノーホールディングス(HD)と業務提携した。セイノーHDがセブンの宅配を代行する全額出資子会社を設立するなど、専用の宅配網を整備することで物流費高騰の影響を受けにくくしている。

 コンビニ以外の小売りでも、配送費の上昇を受けてネット通販を見直している。イトーヨーカ堂は29日、配送センターから出荷する飲料の一部を対象に追加送料を設ける。イオンやニトリホールディングスも一部地域や商品を対象に配送料を引き上げた。

 日本経済新聞社がまとめた17年度の小売業調査によると、ネットを含む通販事業の総売上高は前年度比で8・4%増と13年度以降の調査で最も伸びた。

 通販部門の売上高で1位のアマゾンジャパン(東京・目黒)は13・6%増え、全体の伸び率を大きく上回る。実店舗を持つ小売り各社もネット通販を強化しているが、物流費の上昇を補うだけの魅力ある商品やサービスを展開できるかが今後の事業展開のカギを握りそうだ。

運転手不足 増す負担

 ローソンなどに生鮮宅配から撤退を迫った物流費の高騰は宅配最大手、ヤマト運輸が個人向け基本運賃を引き上げた2017年に顕著になった。佐川急便や日本郵便が18年春までに追随し、表面的には一巡した。ただ法人顧客との値上げ交渉は順次進むため影響が大きく出るのはこれからだ。

 ヤマトの個人向け運賃の上げ幅は平均15%だったが、法人向けはさらに上回る。佐川や日本郵便も同様だ。今後は個別会社ごとに割り引き交渉に入るが、小売業にとって物流費の上昇は避けられない。

 ヤマトの場合、法人のなかでも大口の顧客約1100社と昨年までに交渉し、アマゾンジャパン(東京・目黒)を含む6割が値上げを受け入れた。一方で4割は取引を解消、17年度の宅配便取扱数が前の年度に比べ約2%減る要因となった。

 宅配便単価は18年度も前の年度に続き上昇する見込みで、ヤマトでは10%増の659円、佐川では7%増の588円を予定する。ヤマトの荷物の受け皿となった日本郵便も値上げ交渉を進めている。

 運転手不足が続く一方でネット通販は拡大し「今後も物流費は上がる」(物流コンサルタントの角井亮一氏)との見方は強い。物流費があがるなかでもアマゾンの勢いは止まらない。国内の小売業者がどう対抗していくか、対応を迫られている。

【表】小売りがネット通販サービスを見直している
企業名         内容 
ローソン        ネット通販のうち、配送センターから消費者の自宅に届ける事業から8月末に撤退 
ファミリーマート    ネット通販サイトを2月末に閉鎖。店頭受け取り、宅配ともやめる 
イトーヨーカ堂     店舗から商品を送るネットスーパーの無料配送枠を3月に撤廃 
イオン         ネットスーパーの無料配送の設定金額を一部地域で引き上げ 
ニトリホールディングス 一部家具の配送料を2月に引き上げ

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