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パルコが描く近未来の買い物、VRの売り場を散策、店頭で現物試着、渋谷店での実装めざす。

[ 2018年7月8日 / 日経MJ(流通新聞) ]

 パルコが「近未来の買い物」のあり方について模索している。実際に品物を並べて売るリアル店舗と、VR(仮想現実)やMR(複合現実)などの技術を組み合わせる構想だ。インターネット通販企業が伸長し、わざわざ店に行かずとも簡単に買い物ができてしまう時代。パルコの取り組みはショッピングセンター(SC)の存在意義を問い直すことに他ならない。

 時は2020年ごろ、パルコの店舗。来店客がVRのヘッドセットを装着すると、目の前に広大なバーチャル店が広がる。ブラウスやパンツ、バッグなどの商品をコーディネートした無数のマネキンがあちこちに。気になった商品があれば、ハンドコントローラーを操作しポインターを商品に向けてボタンを押す。

 買い物仲間とバーチャル空間を共有しながら会話も楽しめる。複数の空間を通り抜け進むと、お気に入りに指定した商品が並んだ空間に到着。最終的に商品を選ぶと、実際の店頭に現物のサンプル品が並び、店員のアドバイスを受けつつ試着できる。スマートフォン(スマホ)で商品のQRコードを読み取ると、購入サイトが立ち上がる。

 「改装せずに毎日でも売り場を変えられる」。パルコのグループICT戦略室担当の林直孝氏は説明する。VRではショップの広さなどにとらわれず内装を自由にデザインでき、コストをかけずにブランドのコンセプトを表現可能。商品の展示点数にも制約がなく、服を大量に在庫しておく必要がない。

 林氏は「浮いた店舗費用を商品作りやサービス提供に充てられれば、リアルのファッションは次のステージに進める」と強調する。

 パルコが注目するもう一つの技術がMRだ。

 専用のゴーグルをかけると、実際の売り場に商品映像が浮かび上がる。指先で選択すると、視界にサイトが現れ、商品を購入できる。自分が選択した服をバーチャル空間のモデルに着せ替えることも可能。自由な角度から見られ、素材感やスタイリングが立体的に見えて分かりやすいという。

 ネット通販の強みは自分が欲しいとある程度分かっている物を早く楽に買える「計画購買」だが、一方、パルコが重視するのは「非計画購買」という。林氏は「欲しい物が決まっていない状態で、リアルな店内を歩いて最終的に納得する商品に出合ってもらう」と語る。ぶらぶら買い物を楽しめる点こそがSCの醍醐味。その実現を支える技術の一つがVRとMRだと位置付ける。

 SCは都心を中心に競争が激化。カジュアル衣料を中心にネット通販にも押されがちだ。次世代技術で新たな楽しみを打ち出せるか。パルコは19年秋、建て替えて開業する渋谷店(東京・渋谷)での実装を目指している。(小田浩靖)

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