日経メッセ > リテールテックJAPAN > ニュース > パート、勤続5年未満も無期雇用、スーパー各社、1万人規模、人手確保へ待遇改善。

日経の紙面から

パート、勤続5年未満も無期雇用、スーパー各社、1万人規模、人手確保へ待遇改善。

[ 2018年7月31日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 大手百貨店やスーパーが人手確保へ向け、パート従業員らを無期雇用する動きが広がっている。改正労働契約法では雇用が5年を超えると無期限に転換する「無期転換ルール」があるが、高島屋やサミットなど小売り大手が相次ぎ5年未満でも認める制度を導入。小売りや外食などの労働組合で構成するUAゼンセンでは2割近くの企業に広がった。深刻化する人手不足を克服するため待遇改善の動きが加速する。

 スーパー大手のサミットは6月から、1年を超えて働いたパート・契約社員から申し入れがあれば、無期雇用への転換を原則受け入れる制度を導入した。6月時点での対象は約1万2千人。同業のヤオコーも10月、2万人を対象に導入する。

 高島屋は2017年5月から制度を導入し、すでに2800人以上の有期契約を無期に転換した。J・フロントリテイリングや三越伊勢丹ホールディングスなど他の百貨店でも取り組みが進む。

 13年4月に定められた無期転換ルールは、地位が不安定な有期社員の待遇改善を狙ったもの。ただ、勤続期間が5年未満のパート従業員らは法定では対象外だ。人手不足が深刻になるなか、対象を5年未満に広げて人手を確保する動きが進む。

 産業別労働組合で最も多くのパート組合員をかかえるUAゼンセンでは、18年の春季労使交渉(5月末時点)で全体の2割に相当する87組合が5年未満でも無期転換できる制度を導入することで労使確認した。人数ベースでは計約12万人と、全体の16%。UAゼンセンの17年の調査では、無期雇用されている人の比率は4%しかいなかった。

 厚生労働省によると、小売りの現場などの「商品販売」の有効求人倍率(5月)はパートを除けば1・95倍だが、含めると2・44倍に上がる。全産業の平均(1・33倍)を大幅に上回り、流通業界におけるパート従業員の不足は深刻な経営問題となっている。

 小売業界では人手を確保するため、パートの賃金を引き上げたり、休暇を増やしたりする動きが広がる。待遇改善へ正社員登用する企業もあるが、転勤や長時間労働ができない人も多い。

 都内の食品スーパーで働く宮本仁美さん(35)は「契約が突然打ち切られる心配がなくなり安心して働ける」と話す。5年未満でも無期転換できる仕組みは、働き方の多様化を後押ししそうだ。

 課題も残る。企業は無期雇用に転換しても給与などの待遇を変える必要はない。社会保険労務士法人ユアサイド(川崎市)代表社員の中宮伸二郎氏は「人材獲得のためには無期雇用への転換だけでなく、給与や福利厚生でも一段の待遇改善が欠かせない」と指摘する。

 人材獲得が激しくなる中、雇用の安定を含め、働きやすい環境を従業員に提供することが企業の競争力を左右する。待遇改善に努めながら、コスト上昇分をどう吸収するか。生産性の向上と両輪で進める必要がある。

ニュースの最新記事

PAGE TOP