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アスクル――個人向け、対アマゾンの秘策(記者の目)

[ 2018年9月12日 / 日経産業新聞 ]

成瀬美和

 アスクルが個人向け通販「ロハコ」のテコ入れを急いでいる。自社物流の比率を高め、1時間単位で細かく配達時間を設定できる「ハッピーオンタイム」の対象地域を広げる。配送サービスを手厚くし、米アマゾン・ドット・コムなどとの差異化を目指す戦略だ。

 効果は数字にも表れている。ハッピーオンタイムを利用した場合の不在率は2%台と、物流業界平均の約2割よりも大幅に低い。再配達のコストを減らせるメリットもある。

 ハッピーオンタイムの対象地域はまだ限定的だが8月28日以降は東京の14区、大阪市の10区で利用できる。「人口密度の高い東京23区と大阪24区に広げる」(アスクルの天沼英雄執行役員)のが当面の目標だ。

 カギを握るのが自社物流だ。主力の企業向け通販では自社物流が約65%を占めるが、個人向けのロハコでは9割を物流会社に委託している。2019年5月期に物流の自動化などの一時的な改革費用として22億円を計上し、ロハコの自社物流比率を2割前後に高める計画だ。物流会社による配送費の値上げリスクにさらされる割合が減るほか、ハッピーオンタイムの対象エリアも広げられる一石二鳥の効果を見込む。

 ロハコはまだ赤字だ。18年5月期のロハコの売上高は前の期比7%増の417億円、営業損益は76億円の赤字(前の期は46億円の赤字)だった。アスクルの業績は連結売上高の約9割を占める企業向けの通販サービスが支えている。

 アスクルは19年5月期にロハコの営業赤字が67億円に縮小すると見込む。21年5月期には営業損益を黒字に転換する目標を掲げる。岩田彰一郎社長は配送の課題に「この3年で取り組む」と強調するが、アマゾンや楽天などとの競争が激化すれば、黒字転換という目標の達成がずれ込む可能性もある。

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