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日仏ビジネスサミット特集――プレゼンテーション、小売業の未来、ITで買い物しやすく、職住近接の街実現へ。

[ 2018年12月5日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 ラーク氏 日本は人口が減少して小売りのパイは縮小する。だが、市場としては進化している。2000年代の百貨店の統合、外資の進出などを経て、もっと顧客にフォーカスすべきだということを学んだ。今はEコマースへの注目も集まっている。世界で最も速く動いている市場だ。

 森氏 Eコマースが進んだ場合のリアル店舗の役割は何か。店舗に入居してもらうデベロッパーとしても重要なテーマだ。店舗にはモノ消費ではなくコト消費ができる場をつくってほしいと期待している。多くの人に来てもらい、交流してもらえる場だ。

 森ビルが手掛ける六本木ヒルズの高級ブランドショップの中に、陳列棚を可動式にしている店舗がある。棚を移動させるとファッションショーやパーティーができる。これからの小売りのあるべき姿かもしれない。店舗と地域社会との連携などを手伝うのがデベロッパーの役割だと思う。

 ビバー氏 Eコマースは大きな脅威だ。伝統的な小売りは変化に適応しなければ乗っ取られる。店舗で顧客がお金を払い、我々が時計を売るだけでは交換にすぎない。だから、コンシェルジュみたいな仕事をしようと呼びかけた。顧客のために飛行機の予約をしたり、オペラの座席を予約したりする。そして、アクセサリーとして時計も売る。

 ショーケースがあると商品が見づらい。そこで研究開発部門にガラスがなく、しかも商品が盗まれないショーケースを作ってほしいと言った。すると、手が一定の距離を超えて近づくと時計が中に消えるショーケースができた。期待を超える経験をすると、消費者の感情は動かされる。

 山本氏 17年に東京・銀座で開業した商業施設「GINZA SIX」には、世界に名だたるブランドと日本から世界に発信できる地方の名店を集めた。観世流の能楽堂を併設して、日本の伝統文化も同時に発信している。ただ、小売業はオープンしたときから陳腐化が始まっている。顧客の変化に応じて常に新しいことを提供していかなければいけない。

 パルコでは店舗でIT(情報技術)やロボットの活用を進めている。19年に改装・開業する渋谷店でもITで買い物しやすい空間をつくりたい。

 ラーク氏 日本の若年層の3つの傾向として「製品よりも経験」「個人化」「社会貢献」が挙げられる。日本の消費に影響を及ぼす新しい要素になるだろう。

 森氏 日本の都市、中でも東京の課題は、働く人の通勤時間の長さにある。都心に大きなビルを建て、公園や公共施設を造るのが森ビルの基本コンセプトだ。都市の中心部において、オフィスまで歩いて通える職住近接の街を実現したい。

 山本氏 新しい価値観でビジネスモデルを作っていかなければならない。例えばシェアリングエコノミーへの対応だ。遊んでいる資産を有効に使うのは論理的に正しい。我々は短いサイクルで買い替えることが必要な玩具を短期間シェアするサービスを始めた。ムダを出さないという基本姿勢を顧客に理解してもらえると思う。

 日本は人生100年時代に入る。これまで百貨店はハレの場に合う商品を提供してきたが、これからは人々が抱える心細さや不安、不満、ストレスに対応するモノやサービスが求められる。

【登壇者】 
J・フロントリテイリング          山本良一社長 
森ビル                   森浩生副社長 
LVMHウォッチメイキングディヴィジョン  ジャン=クロード・ビバー会長 
JAPANCONSUMING.COM    ロイ・ラーク編集長 
(モデレーターはマッキンゼー・アンド・カンパニー  ジャン=バティスト・クモー氏)

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