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三越伊勢丹、久々の成長戦略、化粧品1万種ネット通販、「ZOZOに負けないサイトに」。

[ 2018年12月12日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 三越伊勢丹ホールディングスは2019年春にも化粧品の電子商取引(EC)サイトを立ち上げる。「日本最大級」と自称するサイトには資生堂やコーセーなどの約180ブランドが参画し、商品の種類は1万と旗艦店に劣らない品ぞろえを掲げる。店舗閉鎖や人件費削減など最近は守りの経営を余儀なくされてきたがインターネット通販で反転攻勢を期している。

 「ZOZOに負けないサイトを作る」。三越伊勢丹の杉江俊彦社長は国内最大のアパレル通販サイト「ゾゾタウン」を引き合いに決意を語る。

 11月の決算会見で、杉江社長は予定を30分超過してネット活用を軸とした成長戦略を訴えた。自宅で試着した後に購入か返品かを決められる「パーソナルスタイリング」など7つの新サービスを紹介した。なかでも「最も早く収益化できる」(杉江社長)とみるのが化粧品のサイトだ。

 化粧品は高級ブランドほどイメージを重視する。メーカーは手軽なネット通販やドラッグストアでの販売に抵抗感が強いが「三越伊勢丹なら」と参画してくれるという。地方の顧客層に照準を定め年間で数百億円の売上高を目指す。杉江社長は「他社がまねできないほどの仕組みを一気に作る」と意気込む。

 三越伊勢丹にとってネット通販は久々に登場した成長戦略となる。18年3月期は売上高営業利益率が1・9%と低迷。早期退職金の積み増しや不採算店舗の整理などで9億円の最終赤字になった。赤字は8年ぶりだ。19年3月期は130億円の最終黒字を計画するが、1兆2千億円の売上高からみれば低水準だ。

 このため当面はコスト削減を最優先にせざるを得ない。伊勢丹相模原店(神奈川県)など3店を20年3月までに閉店し、部長職の削減や賞与制度の見直しにも着手した。

 それだけに化粧品をはじめとしたネット戦略に株式市場も期待をかける。ゴールドマン・サックス証券の河野祥氏は「コスト削減のみならず新たな成長戦略も発表した点は好印象」と指摘する。4月以降の株価は1割高と高島屋やJ・フロントリテイリングの2割安に比べて好調に推移する。

 ただ、目標とするZOZOははるかに遠い。同社の18年3月期の商品取扱高は2705億円。受託販売のため在庫リスクがない点も強みで、売上高営業利益率は3割を超える。三越伊勢丹の化粧品は前期の売上高が673億円で、ネット通販では在庫リスクも負うとみられる。化粧品は売り場で試してから購入する顧客が多く、ネット通販を通じた購入比率は約5%と書籍や家電、衣料品に比べて低い。

 市場では「三越伊勢丹はECで成功体験がない。やってみないと成否はわからない」などお手並み拝見との声もある。長い歴史で培ってきた三越伊勢丹ブランドの真価が試される局面だ。(野口和弘)

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