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日経の紙面から

アクティブソナー社長青木康時さん――家のブランド品、新陳代謝、「売り時」示し、買い物促す(トップに聞く)

[ 2019年1月14日 / 日経MJ(流通新聞) ]

 三越伊勢丹や「BUYMA(バイマ)」など小売業や通販サイトの間で中古ブランド品の買い取り・委託販売サービスが広がっている。実務を手掛けるのはアクティブソナー(東京・港)だ。中古の売買にとどまらず、査定で集めたデータから将来いくらで売れるかを予測する。「将来高く売れるから新品を買おう」という気持ちを引き出し「クローゼットに眠るモノの新陳代謝を促す」(青木康時社長)という。(聞き手は編集委員 大岩佐和子)

メルカリ研究
安心感で売買

 ――なぜ中古ブランド品に着目したのですか。 「メルカリが登場した時、社会インフラになると確信し、研究した。ブランド品が驚くほど安いので買ってみたら偽物だった。個人間のブランド品の売買は問題が起きがち。間に企業がいないとうまく回らない」

 ――月に約1万点が集まり、出品後、1カ月以内に6割が売れます。

 「顧客から預かった品を当社の鑑定士が査定や値付けをして、正規品なのを保証、顧客に代わって出品・販売する。ロレックスの時計やエルメスのバーキンなどが、3日以内でどんどん売れるのは安心感があるからだ」

 ――利用者の層は?

 「7割が女性で30代が一番多い。メルカリと違って梱包や発送など(出品にともなう作業は)ぜんぶ任せたい人たち。(ブランド品の委託販売・買い取りサービスの)リクロでは、顧客は玄関先で品を渡すだけで済む」

 ――購入者は?

 「実は売り上げの4割が海外だ。我々は米イーベイや中国のアリババ集団などと連携していて、出品すると5日後には200カ国で同時に併売される。中国が海外売り上げの7割を占める。中国の人はメンツがあり、以前は中古は恥ずかしくて持たなかったが、急激に意識が変わりつつある」

 「日本人が目利きしているから大丈夫という『チェックド・イン・ジャパン』が効いている。季節性もない。日本が真夏でもモンクレールのダウンを出品すれば、(冬の)ニュージーランドで高く評価される」

 ――三越伊勢丹やバイマ、「オムニセブン」などもリクロを使えます。

 「我々のビジネスは出品数が増えないと販売が増えない。買う人が増えないと、出品者も育たない。卵とニワトリだ。広告費をかけても増えないことがあり、有力な販売チャネルとの提携で、アプローチできる富裕層や会員が一気に増やせる」

 「(各サイトに)『バイ・リクロ』と記されているが、あくまでも各提携先のサービスとして提供している。我々は脇役でいい。人々の消費行動を変え、(中古を買い取り現金やポイントを付与し、それを原資に新しい商品を買うという)エコサイクルを世の中ごとにしていくのが目的だ」

 ――出品で提携する企業は10社に増えました。

 「ゾゾタウンにはゾゾユーズドがあり、きれいなエコサイクルを描き始めている。こうしたビジネスに他の企業も憧れているが、自社では、そこまではできない」

 ――三越伊勢丹グループとは資本提携もしています。百貨店の外商とは客層が重なります。

 「三越伊勢丹と提携したのは親和性が高いためだ。(出品した品を)買いたたかずにうまく売るコンシェルジュ的な役割で使ってもらっている」

 ――バイマとは昨夏、過去に購入した商品を下取りし、それを割引額として新たな商品購入時に利用できる「ソク割り」サービスを始めました。

 「たとえばバイマで2万円のTシャツを買おうとする。クローゼットの(かつてバイマで買った)モノに2万円の価格がつけば、お客はタダで買えることになる」

 「中古品を査定していると、商品名と購入時期が分かれば、いまいくらで売れるか、クローゼットの(中身の)時価総額が予測できる。自宅に眠る服やバッグの価値を可視化するサービスを提供していきたい」

よどみを流し
脱「買い疲れ」

 ――もはや中古ブランドの買い取り・委託販売屋さんではないですね。

 「クローゼットの中の中古ブランド品のデータを集めていると思っている。データが集まれば予測の精度は高まり、お客に『早めに売ったほうがいいですよ』といった提案もできる。日本人は丁寧に使う人が多い。中古ブランド品が良い状態で戻り、高い価値がつくモノが出やすい」

 ――かつてブランド品は一生モノでしたが、今はとっかえひっかえ買うのですね。

 「期間利用になっている。20万円で買ったモノが半年後に15万円で売れるとする。半年で5万円、月で約8000〜9000円。ならば、持ってみようと考える。メルカリ世代は前もって、いくらで売れるかを調べてモノを買う。30代以上もそういう思考があったが(それを後押しする)仕組みが整っていなかった」

 ――ブランド品を持ちたい気持ちはいまも衰えていないのですね。

 「お金がないわけでも、ブランド品を嫌いになったわけでもない。たくさんモノを持ち『買い疲れ』が起きている。森の木を間引きすれば森が育つように、クローゼットのよどみを流し、(たまったモノを入れ替える)代謝を上げれば、新しいモノへの欲も生まれる」

業績データから
日本のモノ、中国で人気

 アクティブソナーは2014年にブランド品の委託販売・買い取り「リクロ」を開始し、月間の収集商品数は現在約1万点。成長を支えるのはアジアだ。中国では、日本人が使い、かつ目利きした商品は人気が高い。18年12月末の海外売上高比率は40%で、さらに拡大しつつある。

 データを使ったサービスにも着目、新たな消費の提案にも挑む。売買のサイクルを回し、「欲しい物を短期間だけ持つ」消費行動の提案にも力を入れる。既存の買い物の概念を変えることになりそうだ。(大西綾)

 あおき・こうじ

 2000年(平12年)愛知大経営卒。04年にエフエルシー(現プレミアムウォーターホールディングス)の立ち上げに関わった後、08年と10年にウオーターサーバー関連のスタートアップを起業。12年、アクティブソナーを設立。趣味はゴルフと読書。岐阜県出身。41歳。

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