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コンビニ「老化」の影、18年既存店客数減、売上高は微増、シニア注力、若者離れも(ビジネスTODAY)

[ 2019年1月22日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 小売りの勝ち組、コンビニエンスストアが成長を続けられるかどうかの岐路に立っている。21日発表となった2018年の既存店売上高は2年ぶりにプラスとなったが、客数は3年連続で前年を下回った。コンビニが日本に上陸して約50年。利用客のうち60代が2割を占めるなど客の高齢化も進む。セブン―イレブン・ジャパンなどは購買データを活用し若い世代の新たな顧客やサービス開拓を急ぐ。

 日本フランチャイズチェーン協会(東京・港)が発表した18年の全国コンビニ売上高(大手7社の既存店)は9兆7244億円だった。総菜など単価の高い商品の売れ行きが好調で客単価が伸び、前年を0・6%上回り2年ぶりにプラスとなった。

 だが成長を手放しでは喜べない。既存店の客数は157億673万人で前年比1・3%減。18年末に5万5743店、この10年で1・3倍超となった店舗数の拡大で全体では客数増を維持するものの、1店あたりの客数が減り続ける悪循環から抜け出せない。コンビニが主力とする弁当などの中食市場はネット通販への抵抗力が強いとされるが、食品の扱いを広げるドラッグストアや米ウーバーテクノロジーズによる外食の配達サービスなど、「あらゆる業態が参入しコンビニにとっては試練の時代」(セブン―イレブン・ジャパンの古屋一樹社長)に突入している。

 深刻なのが客の高齢化だ。日本経済新聞社の「コンビニエンスストア調査」では、来店客に占める60代以上の比率は11年度の11%から17年度は19%へと高まった。この間、国内の総人口に占める60代以上の比率は32%から34%の伸びにとどまる。

 客数が伸び悩む中、主要顧客の来店頻度を高める戦略は合理的で、市場の変化に適応した成果ともいえる。各社は牛乳や納豆などスーパーで扱う食品を充実したり、塩分量を抑えた商品を投入したりするなどして、高齢者取り込みに注力する。ローソンの竹増貞信社長は「高齢者はスーパーよりも近くにあるコンビニを求めるニーズが高い」という。

 ただ副作用として「若者のコンビニ離れが進んでいる」(ユニー・ファミリーマートホールディングスの高柳浩二社長)。コンビニ利用客に占める20代以下の比率は11年の23%から17年は14%に低下した。

 巻き返しの動きも活発になっている。ユニー・ファミリーマートはスマートフォン(スマホ)充電器など若者の好む品ぞろえが優れている提携先のドン・キホーテ流の売り場をコンビニに導入するテストを始めた。

 セブン―イレブン・ジャパンは都内全店でスマホのグーグルの音声AI(人工知能)を使って弁当などを注文し、店舗で受け取ることができるサービスを18年6月に始めた。デジタル機器になれた若者の来店につなげる狙いだ。

データ活用 深掘り課題
オーナー高齢化も進む

 若返りが必要なのはコンビニのビジネスモデルの根幹をなすフランチャイズ方式も同じだ。17年度コンビニ調査で、オーナー確保の状況について尋ねたところ「出店計画以上に希望者がいる」とした企業はゼロ。「出店計画数と同程度確保できている」のは22%で「不足」(39%)を大きく下回った。高齢化が進むとされるオーナーの世代交代が課題となる。

 かつては最先端だったデータ活用も古くなりつつある。コンビニではPOS(販売時点情報管理)データを分析し、商品の売れ行きに応じた機動的な商品の改廃で消費者ニーズを捉えてきた。ただ得られるのは性別・年代別の購入履歴などの「マス」データのみ。

 一方、米アマゾン・ドット・コムなどのネット通販勢は一人ひとりの消費者の購買履歴からお薦め商品を提案。人工知能(AI)も活用したデータ解析で「個」に照準を合わせる。

 コンビニでもようやく個別の消費者の好みを捉えようと動きだした。セブンは18年6月にスマホアプリを刷新し購買履歴に合わせた個別の商品提案を始めた。「アプリの利用率が高い店舗は客数の伸びが大きい」(古屋社長)という。

 ファミリーマートもこの7月に独自のスマホ決済を導入して利用客の購買データ収集を始める。

 1970年代に誕生したコンビニは、スーパーや銀行など様々な業態の顧客を取り込んで成長してきた。

 経営環境の厳しさが増すなか、客層、顧客開拓の手法、ビジネスモデル、これらの「老い」の刷新なくして次の成長シナリオは描けない。(今井拓也)

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