日経メッセ > リテールテックJAPAN > ニュース > オンワード、ZOZO出品取りやめ、ネット通販、再構築、デジタル子会社新設、値引き脱却急ぐ。

日経の紙面から

オンワード、ZOZO出品取りやめ、ネット通販、再構築、デジタル子会社新設、値引き脱却急ぐ。

[ 2019年1月21日 / 日経産業新聞 ]

 アパレル大手のオンワードホールディングスが、衣料通販サイト「ゾゾタウン」への出品を取りやめた。サイトを運営するZOZO(ゾゾ)が始めた常時割引する会員サービスで、考え方の相違があったためだ。業界で常態化している値引き販売から脱却したいという思惑が背景にある。オンワードはデジタル子会社を設立するなど、ネット通販の再構築に乗り出す。

 2018年12月25日、ゾゾタウンで「23区」「自由区」といったオンワードの主要ブランドが表示されなくなった。同日、ZOZOは「ZOZO ARIGATOメンバーシップ」という会員サービスを開始。年間3000円(税別)または月額500円(同)の会員料を払うと、ゾゾタウンでの買い物が常時10%の割引価格になる。

 ZOZOが割引分を負担するものの、新サービスに参加するか商品供給を止めるかといった選択を出品企業に迫っていたようだ。オンワードの保元道宣社長は、ZOZOの前沢友作社長と食事をしたこともある間柄だが、ZOZOから新サービスについて事前に十分な時間や相談がなかったことを指摘。「新商品投入の初日から値引きすると安ければ安いほどいいということになる。定価で売る努力をすべきだ」と強調する。

 背景には業界で年々低下する正価販売(プロパー)の問題がある。オンワードが主力とする正価販売主体の百貨店で若者を中心に客離れが起きている。メルカリなど個人間の売買サイトも台頭している。

 オンワードの19年2月期の連結純利益予想は前期比15%減の45億8000万円と従来予想より9億2000万円引き下げた。季節要因もあるが、在庫を多めに用意したことによる評価損も響いている。保元社長は「実店舗に計画した在庫を運び、売れ残った商品を値下げするという従来の事業モデルは厳しい」と、事業構造の転換を社内に呼びかける。

 打開策の柱に掲げるのが、ネット通販の再構築とオーダーメード事業だ。3月1日付でデジタル戦略子会社「オンワードデジタルラボ」を設立する。人工知能(AI)やビッグデータなどの開発を担う人材を確保する。社長には、セレクトショップ大手のベイクルーズでネット通販事業を成長させたことで知られる村田昭彦氏を抜てきした。

 これまでは店頭用に商品を開発してネットで販売してきたが、ネットを前提としたブランドを構築する。パーティードレスのネット通販専門ブランドを立ち上げるなど、店舗投資や在庫リスクの軽減につなげる。

 
オーダー事業では、ビジネススーツに加え、ニットやシューズなど商品領域を広げていく戦略。生産する中国では第2工場を3月にも竣工する予定だ。

 現状ではゾゾタウンは若者を中心に国内では最も知名度が高いファッションサイトだ。百貨店の年齢層の高い顧客を主力とするオンワードが、自前で若い世代を開拓できるか。老舗アパレルの代表格であるオンワードが正念場を迎えている。(花井悠希)

【表】オンワードは事業モデルの転換を急ぐ  
ネット通販   デジタル子会社設立でAIやビックデータ解析 
        パーティードレスなどネット専門ブランドを中心に 
        既存ブランドの通販サイトで販売員ブログなど魅力向上 
        ネット通販の売上高を3年後に500億円と全体の25%に拡大目指す 
 
オーダーメード カジュアルスーツやニット、靴など商品領域拡大。中国で専用工場追加 
        空港や商業施設などに店舗拡充し顧客接点広げる 

実店舗     季節の先取りから実需にあった商品の陳列に切り替え

ニュースの最新記事

PAGE TOP