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加盟店巡り仁義無き争奪戦、貯めたポイント、行方どうなる?(放電塔)

[ 2019年2月10日 / 日経ヴェリタス ]

1強CCC、「蜜月」ファミマが離反 楽天・ドコモは猛追
金融記者座談会

D 共通ポイントの加盟店争奪戦が激化しているみたいだけど、何があったの?

N ドトールコーヒーは今月初め、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が展開するTポイントの利用を4月19日に終了すると発表したよ。今後は自社のポイントサービスに一本化する方針なんだ。毎日使う人も多いカフェ業態だけに利用者のショックも大きかったみたいだ。「コーヒー豆でポイントが貯(た)まらないのは痛い」なんて声も上がっていたよ。

K 共通ポイント市場は競争が激化しているんだ。野村総合研究所が昨年夏に1万人を対象に複数回答で調査したところ、Tポイントの利用者は6割。ロイヤリティマーケティングの「Ponta(ポンタ)」が3割、楽天の「楽天スーパーポイント」とNTTドコモの「dポイント」がそれぞれ2割だった。後発の楽天とドコモが先行する2社を猛追する形で加盟店の陣取り合戦も過熱しているよ。

S 昨年6月にはスポーツ用品店のアルペンが楽天との提携を発表した。今年4月にTポイントから楽天ポイントにくら替えする予定だよ。すかいらーくホールディングスも、これまではTポイントしか使えなかったけど、楽天ポイントとdポイントも利用できるようにするみたいだよ。これまでは1業種につき1社が原則だったけど、複数のポイントが使える「マルチポイント戦略」が広がりつつあるんだ。

H Tポイントの独占が崩れるきっかけは、ユニー・ファミリーマートホールディングス傘下のファミリーマートだね。昨年12月から全1万7000店でドコモの「d払い」や楽天の「楽天ペイ」などのキャッシュレス決済に対応した。2020年夏までには両社のカードを提示するだけでポイントを付与する方針のようだ。07年からCCCと「蜜月関係」だったファミマの変心で、同様の動きも広がりそうだ。しかもファミマは15%を保有するTポイント運営会社の株式売却も検討しているようだよ。

N 実は17年春からユニファミマは契約の見直しをCCCに持ちかけていた。Tポイントの強みは顧客データを活用した店舗運営支援だ。ただ、顧客データの活用をさらに進めるためには、「自前のシステムの方が融通が利く」との意見がファミマ幹部の間で台頭してきたんだ。ある幹部は「脱退して損するのは1万7000店の顧客データを失うCCCの方だ」と話していたよ。ファミマ側は脱退も視野に入れていたくらいで、独占が崩れたのはCCCが折れたからといえるかもね。

K 共通ポイント市場が広がるなかで、選択肢を広げて集客につなげたかった側面もあるね。ユニファミマの親会社の伊藤忠商事もファミマの購買データをCCCに持って行かれる点や、手数料率が高いことを嫌っていた。しかもTポイントはスマホ決済サービスと連携していない。スマホ決済が急速に広がる中で、出遅れてしまった面もありそうだよ。

H 100億円還元キャンペーンで話題のPayPay(ペイペイ)も共通ポイント業界に波紋を呼んでいるよ。ヤフーとソフトバンクが出資するペイペイに関しては、ヤフーショッピングでポイントを使えるのがTポイントの大きな武器だったんだ。だけど、「ポイント5倍」など有効期限付きでもらえる「期間固定Tポイント」が、4月からはペイペイに移行されるんだ。ヤフーとソフトバンクがTポイントを見限って完全にペイペイに移行すれば、いよいよTポイントが孤立するってことで関係者の間では話題になっているよ。

Y そういえば三越伊勢丹ホールディングスはTポイントを一時期導入していたね。昨年3月に2年足らずで離脱するという短期間だったけど。同社の杉江俊彦社長は「顧客の利用機会は想定をはるかに下回っていた」と認めていたし、得意客からは「百貨店ブランドの格が落ちる」と不満の声が漏れていたね。

S カード決済に詳しいポイ探の菊地崇仁代表は「楽天ポイントとdポイントはTポイントに比べポイントの発行額が大きく、加盟店への送客効果が高い」と指摘しているよ。加盟店が支払う手数料も安いと言われているし、消費者にしてもポイントが貯まりやすい楽天ポイントやdポイントに利用客が流れているみたいだ。そもそも決済の時に店員から「Tポイントカードはお持ちですか」と聞かれるのが煩わしいという人も多いみたいだからね。

N CCCは苦しい状況が続いている。Tポイントの会員情報やポイント履歴を、裁判所の令状なしに捜査当局へ提供していることが1月下旬に判明して批判を受けた。実は情報提供自体は他のポイントサービスでもやってることなんだけど。

H 今後は企業のマルチポイント戦略が広がって、クレジットカードみたいに、どの店でも全ての共通ポイントが使えるようになると予想する専門家も多い。将来的には共通ポイントが本当の意味で「共通」になるんじゃないのかな。

D そうなると競争が激化して客寄せのキャンペーンが増えそうだけど、企業の淘汰も進むかもしれない。貯めたポイントの行方には注意が必要だね。

共通ポイント

 コンビニエンスストアや飲食店など幅広い企業で、貯(た)めたり使用したりできる点数のこと。2003年にカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)がTポイントのサービスを開始。ポンタ、楽天スーパーポイント、dポイントの4強に加えイオンの「WAON(ワオン)ポイント」やJR東日本の「JREポイント」など導入が相次いでいる。

 1社で運用するポイントサービスに比べポイントが貯まる機会が多く、最大手のTポイントの会員が18年9月末時点で6788万人に達するなど普及が進んだ。企業側は消費者の購買履歴や属性を集めやすく、収集したビッグデータをマーケティングや商品開発に活用できる利点がある。

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