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太陽光エネを直接融通、ミニストップ、家庭と店舗間、ブロックチェーンで履歴管理。

[ 2019年3月13日 / 日経産業新聞 ]

 ミニストップが埼玉県で太陽光エネルギーを家庭と店舗で融通する実証実験に取り組んでいる。家庭の余剰電力を店舗に送る際、送り主や送電量の情報をブロックチェーン(分散型台帳)で記録するのが特徴。電力が再生可能エネルギーであることを証明できる。親会社のイオングループの環境経営戦略の一環で、実証を通じ全国展開を見据えた課題を精査する。

 さいたま市内のミニストップさいたま宮本店。駐車場そばに設置しているのが「デジタルグリッドコントローラ」と呼ぶ装置だ。どこの家庭からどれだけ電気が送られてきたかなどを記録。3月末までに全国30店舗に広げる方針だ。実証実験は20年3月まで行う。

 デジタルグリッドコントローラは、スタートアップ企業のデジタルグリッド(東京・千代田)が開発。店舗の使用電力量の増減に影響する気圧や気温も計測する。必要な電力量を予測し、家庭から送られる電気の量を調整する役割も果たす。

 このシステムのカギを握る技術がブロックチェーンだ。電力の取引データの情報をチェーンのようにつないで管理する仕組み。情報の履歴は複数のパソコンで確認できる。どこから来た電力なのか把握できるため石炭を燃やしてつくった電力などが混ざることがない。

 実証実験では、ブロックチェーンを使って家庭から送られてくる電力の情報が適切に記録できるかどうかを確認する。実際に再生エネを送り店舗で安定運営できるかどうかも調べる。一般的に再生エネの需給調整は電力会社の依頼を受けたアグリゲーター(節電仲介業者)が遠隔操作で実行する。仲介業者に依存しない電力取引の仕組みの実現性も検証する。

 これまで仮想発電所(VPP)と呼ばれる家庭や事業所の蓄電池をアグリゲーターが一括制御し、あたかも1つの発電所のように機能させる仕組みはあった。ただ、蓄電池は導入コストが高く普及までに時間がかかると判断。ブロックチェーンによる融通方法を検証することにした。

 ミニストップシステム本部の杉浦一則・建設施設部マネージャーは「自立した電源を確保し、災害時などに停電が起きないようにしたい」と話す。

 実証実験を始めた背景には、ミニストップを含むイオングループの環境戦略がある。イオングループは18年に事業で使う電力を全て再生エネでまかなうことを目指す国際企業連合「RE100」に加盟した。50年までに全ての使用電力を再生エネに切り替えることを目指しており、今回の実証実験は目標達成に向けた取り組みの一つだ。

 現在は店舗の屋根に太陽光パネルを置いたり、家庭で余った電気を買い物ポイントなどと交換する方針を打ち出したりしている。ただ、イオングループは国内の電力需要のうち1%を消費しており、再生エネを十分に確保することが必要だ。

 大手電力会社から再生エネを調達することも可能だが、火力や再生エネなどの見分けはつかない。ブロックチェーンを使って家庭から店舗に直接送れば、純粋な再生エネの使用を証明できる。RE100の加盟企業は再生エネ利用の進捗を毎年報告することが求られておりアピールできる。

 投資家の目線もある。環境や社会への配慮の度合いで評価する「ESG投資」が企業に与える影響は大きくなっている。ミニストップは純粋な再生エネを使っていることを訴求し、グループの企業価値向上を支える。(柴田奈々)

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