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システムの知見、ロボットへ、日本ユニシス、業務支援に本腰(digitalインサイト)

[ 2019年4月8日 / 日経産業新聞 ]

 システム開発の日本ユニシスがサービスロボット事業の育成に乗り出した。業務システムの構築で培ったノウハウを生かし、接客ロボットや店舗運営をサポートするロボットなどを開発し、人手不足に悩む企業に提案する。システム受託ビジネスの巨人がロボットに挑む理由は何か。

 閉店後のスーパーマーケット、暗闇の中で自律移動型ロボットが動き回る――。ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスが運営する「フードスクエアカスミ オリナス錦糸町店」(東京・墨田)。2018年11月からロボットが商品棚の店頭販促(POP)に目を光らせる。夜のうちにPOPを見回り、画像認識の人工知能(AI)で有効期限を確認。期限が切れたPOPを見つけると、警告する仕組みだ。

 店舗では店員が週2回、POPを差し替える。ただ店内には約6000もの商品が並び、チェックしきれない部分もあった。カスミに基幹システムを導入した実績を持つ日本ユニシスに声がかかった。

 ロボットには値札の表示価格や品切れをチェックする機能も実装され、性能検証を進めている。日本ユニシスのデジタルアクセラレーション戦略本部、大熊義久氏は「表示価格の間違いや品切れを約9割の精度で検出できている」と評価する。運用を重ねることで学習効果が高まり、検出精度はさらに向上する。年内には商品化し、他の小売業にも展開していくという。

 日本ユニシスのサービスロボット事業は16年にヤマダ電機と接客ロボットの実証実験を実施したのが始まり。17年に接客や商品棚卸しを担うロボットをパルコと、18年には監視カメラを搭載した警備ロボットを西武鉄道と、それぞれ開発して実証実験した。

 ロボットに注力する理由は、情報システム構築のノウハウが生かせるからだ。ロボットのカメラやセンサーで取得したデータを解析すれば、導入先の業務効率化や新ビジネス創出も期待できる。

 AIサービスでは、米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)や米グーグルなどがクラウドで、画像認識や音声認識などを提供している。これらのAIサービスは手軽に利用できる半面、業務ロボットには採用しづらい面があるという。カスミのロボットは、暗闇の中で照明を当ててPOPを撮影する。このとき値札に照明が反射するため、画像認識のアルゴリズム(計算手法)の調整が必要。そうした細かなカスタマイズは「クラウドのAIサービスでは対応できない」(大熊氏)。

 顧客の業務に関する知識も生かせる。日本ユニシスは金融や製造、流通、サービスなど様々な業種に精通するエンジニアを抱える。業務プロセスを基に、様々な機能を実装できるのは大きな強みだ。

 一方、専門外であるハードウエア周辺は基本的に、既存のロボットを利用したり外部と連携したりする。ヤマダ電機のロボットは米社製。パルコや西武鉄道のロボットは東京都立産業技術研究センターなどと共同開発した。カスミのロボットは現在は内製だが、今後は機能強化に向けて、ロボットメーカーとの連携も視野に入れている。

採用に費用や理解の壁

 人手不足を背景にサービスロボットの需要は世界的に伸びている。調査会社の富士経済の調べでは、2017年に1兆3210億円だった「業務・サービスロボット」の世界市場は、25年には4・4倍の5兆7479億円に拡大する見通しだ。

 ただしその一方で、ロボット導入の「理想と現実」に直面するケースも出てきている。実証実験を行いながら、実際の導入には至らないケースが少なくない。日本ユニシスのヤマダ電機での接客ロボットの実験は話題性が高かったが、費用対効果などの面から導入が見送られたという。

 日本ユニシスは顧客企業に寄り添い、要望に応じた情報システムを構築して成長してきた。しかしロボット事業では、顧客の声を聞くだけでは理想と現実の溝を埋められない恐れがある。ロボットは発展途上の技術なので、「できること」と「できないこと」があり、その理解がまだ深まっていないからだ。

 サービスロボットは様々な業界からの参入が相次いでおり、競争激化も見込まれる。顧客の潜在需要を掘り起こし、いかにロボットシステムのインテグレーターとして存在感を高められるか。情報システムの受託開発からの脱却を目指す日本ユニシスの本気度が問われる。(中島募)

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