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半年先の売れ筋、AIで、イオン系「コックス」、人の判断も加味、衣料品の色・柄、数値で予測、ファストリはグーグルと。

[ 2019年6月5日 / 日経MJ(流通新聞) ]

 イオン系のカジュアル衣料品店「コックス」は人工知能(AI)を活用した「生産改革」を進める。画像などを解析し、半年後に人気の高まる色や商品を予測。人間の判断も加味し、2019年秋冬向けから商品生産に生かす。ユニクロもAIを使った需要予測に乗り出した。人の感覚や経験に頼りがちだが、「ファッションテック」で数値化することで需給の乖離(かいり)をなくすことを狙う。

 コックスは画像のAI解析技術を手掛けるニューラルポケット(東京・千代田)と連携し、同社が提供する「AI MD」を活用する。ファッションサイトやパリコレクションなど、ネット上で検索できる女性向けの洋服画像を解析。10〜40代を主な対象に色やアイテム、柄に関する過去数年の露出回数を分析して、6カ月先のトレンドを予測する。

 「ファッションの天気予報」として、アウターが人気が高まる場合は「晴れ」で示す。色味や柄なども同じだ。アイテムと柄の2軸で調べることも可能で、「青信号」が付けば良い組み合わせと評価される。同時に従業員が各店舗で聞いた来店者の声も反映させる。AIと人間の力を組み合わせ、需要と供給の乖離を小さくする。

 同社は7月から順次売り出す秋冬商品で、この仕組みを本格導入する。まずは主力ブランドの「ikka」と「LBC」で始める。将来は男性や子供向け商品でも同様の取り組みを進める計画だ。コックスの宮野敦コーディネーター部長は「在庫を減らし粗利益率を高める」と説明。長年、天候やトレンドに左右される販売面の課題について、このシステムを使うことで克服できると期待している。

 実際に「バイヤーの感覚に頼っていた点が『見える化』できるようになった」(宮野氏)という。例えば、ワンピースについて社内で一定の伸びを予想していたが、AI分析ではより大きな伸びが期待されることがわかった。19年2月期業績は最終赤字と苦戦しており、今回の取り組みで反転攻勢に出る。

 IT(情報技術)を駆使した取り組みでは、ファーストリテイリングが先行する。米アクセンチュアに加え、18年夏から米グーグルとの共同プロジェクトを開始。世界で集めた膨大のデータや画像を分析し、流行する色やシルエットを予測する。

 柳井正会長兼社長が目指す「情報製造小売業」では、「無駄なものをつくらない、運ばない、売らない」の3つを掲げる。AIを活用することで精度の高い生産計画につなげ、追加生産のタイミングにも生かす。

 ただ、AIが全てを解決するわけでない。在庫を減らし、定価販売の比率を高めて粗利益率を改善させることは期待されるが、消費者が欲しいと思う商品を提案できるかが勝負となるためだ。アパレル幹部は「各社がIT武装を進めれば、最終的に商品やブランド力が試される」と指摘する。

 「ファッションテック」を進めなければ、生き残りは難しくなっている。ただ、あくまで魅力ある「もの作り」ができることが前提だ。消費者に受け入れられるデザインや機能性といったアイデアに、各社は先端技術を組み合わせることで、競争力強化につなげる。

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