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流通は事業モデルの転換を(社説)

[ 2019年6月3日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 個人消費が悪化の兆しを見せている。人口減、少子高齢化などに加え、10月の消費増税をにらみ消費者が早くも節約に動いているからだ。国内市場が先細りする中、流通企業は販売量を競う経営から、消費者の購買意欲を促す事業モデルに転換することが急務だ。

 経営者も市場動向について楽観視していない。食品スーパー大手、ライフコーポレーションの岩崎高治社長は「2018年末から消費者の購買意欲は冷え込んでいる」とし、衣料品大手、しまむらの北島常好社長も「節約志向どころか、安くても買わない消費者が増えている」と説明する。

 目先の増税や景気動向に一喜一憂するようでは成長は難しい。流通企業は店舗とデジタル技術を組み合わせた経営を磨くことで活路が見いだせる。

 世界最大の小売業の米ウォルマートは米アマゾン・ドット・コムに対抗し、車から降りなくてもネットで注文した生鮮品を持ち帰れるサービスを導入、再び成長力を高めている。

 国内ではニトリホールディングスは店舗とネット販売を巧みに組み合わせている。店で実物を見たうえで、自宅に帰った後にスマートフォンで買えるサービスを導入。好業績につなげている。

 買いやすさの追求とともに消費者の悩みを解決する工夫も欠かせない。日常生活を支えてきたスーパーもいつでもどこでもモノが買える今、主力の食品を安く売るだけでは限界だ。例えば北関東を地盤とするカスミは18年3月からヘルスサポートという無料サービスを展開。来店客数の増加を促し、売り上げ拡大につなげるためだ。

 店内の空いた場所を利用し、月に1〜2回、買い物客の健康アドバイスを手がけている。血圧や脳年齢を調べ、食べ方や健康状態に応じた食品を紹介している。

 少子高齢化が進むと全体的に購買力は低下する一方、健康ニーズは高まる。サービス業としての小売業に転身し、高齢化をチャンスにする戦略が重要だ。

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