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東京・神奈川、最低賃金、1000円時代に、新宿のスーパー1200円、埼玉からも応募、人材、郊外から都市へ。

[ 2019年8月2日 / 日経MJ(流通新聞) ]

首都圏、採算とれず閉店も

 ついに最低賃金1000円時代が到来した。法律で企業に義務付ける最低賃金の目安が10月から全国平均で時給901円に上がり、東京と神奈川では初めて1000円を超える見通し。人手不足にあえぐ流通業の人件費は高まる一方だ。都市圏の大幅引き上げに伴う「時給格差」で、郊外部から都市部に人材が流出する現象も起きている。

 首都圏地盤の大手スーパーは6月、東京・新宿に都市型店舗を出店した際、同社としては過去最高水準となる1200円程度の時給を提示した。高時給を目当てに埼玉県など遠方からも応募があり「なんとか人手は確保できた」と担当者は胸をなで下ろす。

 厚生労働相の諮問機関、中央最低賃金審議会の小委員会は2019年度の全国の最低賃金の目安を27円引き上げて時給901円にする方針を決めた。上げ幅は3・1%で引き上げ額は過去最大となった。三大都市圏は28円上がる。都市部のスーパーでは周囲の飲食店やコンビニエンスストアなどと人材を奪い合い、最低賃金以上に時給水準が上がっている。

 時給の地域格差でスーパーなど流通業の働き手が郊外部から都市部に流れている可能性がある。各都道府県が審議会の目安通り最低賃金を引き上げた場合、例えば東京都(1013円)と埼玉県(926円)は87円もの差ができる。

 埼玉県地盤の中堅スーパー、マミーマート(さいたま市)では鉄道沿線の店舗で時給が高騰している。「交通の便が良い場所では、働き手が都心に流れてしまう」(同社)ためだ。パートは家の近くで仕事を選ぶことが多く、従来は都市部の店舗で人が集まりにくかった。その状況とは逆の現象が起きている。

 首都圏地盤の中堅スーパーは8〜9月に郊外部に展開する数店舗を閉鎖する予定だ。10月に控える消費増税への対応費用に加え「人件費の上昇で採算が取りにくくなっている」。郊外部では時給を最低賃金に合わせている店舗も多い。レジ打ちや総菜製造などスーパーは多くの従業員が必要で、10円程度の上昇でも大きな痛手となる。

 人手不足も深刻で郊外部ではスーパーの経営は限界に近づいている。毎年の春闘で賃上げ要望があるが、多くのスーパーではここ数年、パート社員の賃上げ要求に応えられていない。「最低賃金が今後も上がり続けることは確実な情勢で、組合側も納得してくれているようだ」(中堅スーパー)との声がある。

 人材争奪戦と価格競争が激しい外食企業も頭を抱える。ハンバーグ専門店「びっくりドンキー」を全国展開するアレフ(札幌市)は最低賃金の引き上げについて「4月に主力商品などを値上げしたばかりで価格転嫁できない」(広報室の松本総一郎リーダー)と話す。

 同社の店舗ではセットメニューやサイドメニューの品ぞろえを強化してきたことで客単価が上がっている。「今後も店や商品の価値を高めることで、人件費がかさむ中でも収益を確保していきたい」(松本氏)という。

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