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社員に送金、スマホで簡単、プリン、法人需要掘り起こす。

[ 2019年11月6日 / 日経産業新聞 ]

 スマートフォン決済のpring(プリン、東京・港)が法人向けサービスを拡大している。スマホで社員に送金できるサービスについて、日本瓦斯(ニチガス)が採用。社員1000人の交通費などの経費精算に使われ始めた。振込手数料を抑えて、月に複数回、立て替えた経費を受け取れるようにした。ニチガスの大規模導入の実績を基に、キャッシュレス化を図る法人の需要を掘り起こす。

 「1万円分の経費が届いています」「Aさんに1千円の送金完了」――。ニチガスの社員はスマホ上で経費を確認したり、送別会など社内の会費を集金したりする。使うのはプリンのサービス「業務用プリン」だ。社員は手数料ゼロで利用者間で送金できるほか、自身の銀行口座にも出金できる。

 プリンのスマホ決済アプリは提携先の銀行口座をひも付けると「メッセージを送るような操作で個人間でお金を送金できる」(荻原充彦社長)のが特長だ。QRコードを使った実店舗の決済にも対応している。残高は手数料ゼロで銀行口座に戻せるほか、セブン銀行のATMで引き出せる。連携先は年内に40行に達する見込みだ。

 ニチガスの社員はまず経費精算ソフトで交通費などを申請する。経理担当者らはCSV形式でデータを出力してプリンのシステムに取り込み、各社員のアプリに一括で送金できる。

 社員が立て替えた経費はこれまで月に1度入金されていたが、1週間ごとに受け取れるようにした。ニチガスの浅野遼・営業企画課長は「営業担当だと駐車料金に1日数千円を立て替えることもあるため助かる」と喜ぶ。

 ニチガスはプリンへの出資をきっかけに、ガスの工事や検針などの業務を委託する個人事業主への報酬の送金でプリンのアプリを採用してきた。柔軟にお金を受け取れる仕組みが好評で、社員の経費にも活用することにした。「好きな時に精算できれば福利厚生の向上になる。特に若手社員に好評だ」(ニチガス)

 企業側にとってもメリットが大きい。業務用プリンは1送金ごとと、1カ月送金し放題の2プランを用意している。社員数に応じて利用料を決められる。荻原社長は「24時間365日送金できる。振込手数料も大手行に比べ半分ほどに抑えられる」と強調する。現状では数千人規模の会社に対応できるという。

 プリンはメタップス、みずほ銀行、日米に拠点を置くベンチャーキャピタルのWiL(ウィル)が2017年に設立したスタートアップ企業だ。特長は決済や送金だけでなく、チャット機能などを設けることで、コミュニケーション手段の延長線上で若者にも気軽に使える仕組みだ。送金総額は累計で100億円に達した。

 消費者向けのスマホ決済はソフトバンクグループ傘下のPayPay(ペイペイ、東京・千代田)、LINEの「LINEペイ」、楽天の「楽天ペイ」など大手IT企業が大規模な還元策で利用者を伸ばしている。プリンは個人間だけでなく、法人のキャッシュレス化にも注力している。業務用プリンの導入企業は100社を超えた。

 個人事業主やフリーランスなど単発で働く流れが広がっている。一方で、企業が手軽に送金できる仕組みが限られている。荻原社長は「法人のキャッシュレス化も後押ししていく」と話す。

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