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電子マネー戦線、異変あり、ワオン、3年目の躍進、利用増へ商店街と"同盟"。

[ 2009年4月22日 / 日経MJ(流通新聞) ]

 規格が乱立する電子マネー戦線に異変が起きている。イオンの「WAON(ワオン)」が、月間決済件数で首位のセブン&アイ・ホールディングスの「nanaco(ナナコ)」を猛追。徹底したポイント販促で主婦をつかみ、グループ外のファミリーマートや吉野家、地域商店街へと加盟店の翼を広げて主導権を握る勢いだ。対抗する交通系やナナコも動き出した。発行開始から三年目のワオンが台風の目になり、競争は新たな段階に突入している。

 「らっしゃい、ワオンで決済できますよ」

 神奈川県横須賀市にある久里浜の商店街。昨年十二月から順次、八百屋や文具店など約五十店舗にワオンの決済端末の導入を始めた。

 背後には昨年八月に開業した売り場面積約一万七千平方メートルの「イオン横須賀久里浜ショッピングセンター」がそびえ立つ。本来なら商店街にとって大型商業施設の出現は脅威。協力するのは普通ならもってのほかと考えるが、久里浜商店会協同組合の森下守久理事長は「我々がイオンのショッピングモールのようになれば、お互いにプラスになるはず」と歓迎する。

 ワオンの三月の決済件数は千七百万件。絶対数で比べればナナコ、スイカ、エディに続く四位だ。しかし競合電子マネーの決済件数が伸び悩み始めた昨年、ワオンだけが大きく伸ばした。昨年十月以降の半年間で、ナナコの決済件数が横ばいだったのに比べ、ワオンは六割も増えた。

 衝撃的だったのが二月のファミリーマートとの提携。今秋にはファミリーマートでワオンが使えるようになり、ワオン対応店舗数は単純合計で現在の二万八千店から一気に三万五千店に増え、ナナコの約二万三千店に大きな差を付ける。

 勢いにのるワオンの戦略のカギが、横須賀にみられる「地域通貨」戦略だ。イオンのグループIT責任者、梅本和典執行役は「地域に根付いた電子マネーを目指す」と力を込める。

 昨年十月、島根で県や地元企業と組み地域カード「あいポケットワオンカード」を発行した。山陰地方の地域商店の独自ポイントと「ワオンポイント」の両方がためられる。イオンのショッピングセンターと地元商店街の両方を利用する買い物客は新カードを重宝する。こうした試みを、全国各地に広げつつある。

 小売業は当初、電子マネー導入で顧客囲い込みを狙った。だが決済可能な店が系列施設などにとどまったことで、鉄道を軸に全国へ利用シーンを広げた交通系電子マネーの普及に後れを取った。「地域通貨」戦略は、反撃ののろしだ。

 そもそも消費者の財布の口を開かせる頻度が最も高いのが、毎日の買い物を握るスーパー。車社会の地方で大型店を多店舗展開するイオンが商店街などへ電子マネーを開放すれば、鉄道系よりも「地域通貨」になれる可能性は大きかった。

 昨年九月には、グループ外企業では初めて吉野家とも提携、開放戦略は一段進展した。日本航空などとも組み、会員獲得を加速させている。

 その一つが販促キャンペーン。ワオンは通常二百円の買い物につき一ポイント=一円のワオンポイントを一ポイント付与する。昨年秋からは毎月五日、十五日、二十五日にポイントを二倍付与するサービスを開始。さらに毎月二十日と三十日は「お客さま感謝デー」として支払金額の五%割り引く。

 定額給付金をとらえて今月一−十日に累計一万二千円以上チャージすると、千二百円分のポイントを付与するキャンペーンも実施。十五日には六十五歳以上の高齢者に限定した「ゆうゆうワオン」の発行を東北地方で始めた。特典として入会時に三百ポイントを付与するほか、毎月十五日の買い物は五%割り引く。

 矢継ぎ早に手を打つワオンが、電子マネー首位に躍り出る日は近いかもしれない。

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