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ダイエー再建5年目の現実(中)2大株主と連携カギに――イオン、丸紅。

[ 2009年11月23日 / 日経MJ(流通新聞) ]

イオン 相乗効果、なお不十分

丸紅 取引拡大、ジレンマも

売り場点検・PB育成に活路

 ダイエーが9月に発売した880円ジーンズ。売れ行きは計画比2倍のペースで好調だ。実は当初は「ジーユー」に対抗し1000円弱で発売する計画だったが、8月にイオンが880円の格安ジーンズを発売したため急きょ下げた。両社がライバル関係なら当たり前だが、イオンはダイエーに約20%出資し、提携関係にある。プライベートブランド(PB=自主企画)の開発や商品仕入れで協力しているはずだが、今回は調整が間に合わず、同様の商品をそれぞれ独自に開発したという。

 ダイエーとイオンが資本業務提携したのは2007年。丸紅が06年に産業再生機構からダイエーの株式を取得して筆頭株主になり、その後、再建のパートナーにイオンを選んだ。丸紅とイオンも当時から株式を持ち合っている。

 ダイエーには現在、川戸義晴会長や元マイカル社長の川本敏雄常務、店長を含め営業関係の部署を中心に計16人のイオン出身者がいる。09年度のイオンからの商品調達額は、08年度比2倍の1000億円に拡大。物流の一本化も進む。今年度は提携当初の07年度に比べて営業利益を50億円押し上げる効果を見込む。

 だがジーンズの例が示すように提携にはちぐはぐさも残る。ダイエーはイオンが7月末に鳴り物入りで発売したPB第三のビール「麦の薫り」も当初こそ扱ったが、現在は独自PB「バーゲンブロー ノイヴェルト」のみを扱う。「歩調がそろっているとはいいにくい」(イオン関係者)との声も漏れる。

 イオンにとってダイエーはグループで有数のPBを卸す得意先だ。半面で持ち分法適用会社であるダイエーの業績悪化が連結業績に影を落としており、相乗効果が明確とはいえない。イオンはここにきて懸案の総合スーパー(GMS)改革など、自らの収益力回復が急務となっており、当面は側面支援にとどまる可能性が大きい。

 一方、西見徹社長ら5人を送り込む丸紅。09年3月期決算でダイエー株の減損処理をしたが「川下戦略上の重要な位置づけは変わらない」(丸紅首脳)。丸紅グループにとって「競合他社と取引条件が同じなら選んでもらえる」(食品系のグループ会社社長)という利点もある。もっとも「こちらの都合で商品を押し込んだらダイエーの経営を一層圧迫する」(別のグループ会社社長)のも事実で、丸紅も当面は我慢を強いられる。

 それでもダイエーが収益力を回復するにはイオン、丸紅の支援が欠かせない。

 「稲刈り用のカマや左官用のコテを誰が買うのか」。営業グループ長の川本常務は昨年の着任当初、品ぞろえを見て驚いた。顧客ニーズと乖離(かいり)した商品が目立ったからだ。ダイエーは長らく業界トップに君臨。独走ゆえに市場の変化や他社の動向を軽んじ、前例踏襲主義に陥っていたとみる。

 川本常務は意識改革を訴え、クリスマスなど季節のイベントに合わせた売り場づくりを徹底している。衣料品は主要商品をハンガーにかけ通路に対し正面を向くよう陳列。マネキンで着こなしを提案し、周りに関連品を置く手法も順次採用している。

 丸紅出身で商品グループ長の山崎康司常務は生活用品を中心とした利益率の高いPBの強化や「死に筋商品の早期値下げを徹底し、在庫回転率を高める」と意気込む。

 「何か負(の遺産)は残ってないか」。西見社長は06年の就任以来、川戸会長は07年の就任以来、全国の店舗をそれぞれ1000回前後回った。店長らと話し合い、売り場を点検する。イオン、丸紅の両大株主からダイエー再建を託された両トップの思いの強さを物語る。

 ダイエーの元役員は「創業者の中内〓を知る社員は少なくDNAは残っていないだろう」と語る。公的機関である産業再生機構を活用したダイエーの再建。イオン、丸紅は新しいダイエーのDNAを芽吹かせ、成長軌道に乗せる大きな責務を負っている。

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