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PB成長の条件(下)小売り再編、問われる開発力――縮小市場生き残るカギに。

[ 2010年7月13日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 イオンやセブン&アイ・ホールディングスよりプライベートブランド(PB=自主企画)事業で進んでいる、地域の小売企業がある。

 岐阜県のスーパーの約40%のシェアを持つバロー。食パン、ウインナーや牛乳は同社のPBが1番の人気だ。店内には大手メーカーが生産を受託した品が山のように積まれ、売上高に占めるPB比率は17%と、イオンなどを大きく上回る。

自前調理品も

 「品を仕入れて売るだけではやっていけない」。田代正美社長が目指すのは、衣料品店「ユニクロ」のファーストリテイリングや家具チェーンのニトリに代表される製造小売りの"食品版"だ。「18円コロッケ」や「98円の焼きたてパン」といった自前調理品も豊富にそろえている。

 北海道を地盤とするセイコーマート(札幌市)に至っては、売り上げ(数量ベース)に占めるPB比率は約4割と群を抜く。店舗形態はコンビニエンスストアだが、ミニスーパーに近い。食品メーカー9社を傘下に持ち、自社生産する総菜などは原材料も自前調達だ。

 PBは小売市場が寡占化した地域ほど、広がりやすい。小売りがメーカーに対して価格交渉で優位に立ち、商品開発・販売の主導権を握るからだ。岐阜と北海道はバローとセイコーマートなど地域大手のシェアが国内の中でも高い。

 日本以上に小売りの寡占が進んでいるのが欧米だ。世界最大の小売業、米ウォルマート・ストアーズ。PB「グレート・バリュー」が2009年、米国の加工食品・缶詰で初めて10強入りした。1年前に5200品目強を全面刷新、「品質はメーカー品と同程度かそれを上回る水準で、しかも価格が安い」(同社)ことが支持を得ている。

 米調査会社ニールセンによると、米国における食品・消耗品のPB市場は09年に864億ドル(約7兆6400億円)と過去最高を更新した。過去3年間の伸び率は14%に達する。

 小売り各社に商品を供給するPB専業メーカーの成長も著しい。専業大手のラルコープは昨年、食品大手クラフト・フーズが切り離したシリアル「ポスト」を約26億ドル(約2300億円)で買収。今年に入ってからも、クラッカーやパスタなどのメーカーを相次ぎ買収している。

 欧州大手のPB比率も英テスコが約50%、ドイツのアルディは95%に及ぶといわれる。テスコはいろいろな価格帯のPBをそろえ、消費者の取り込みに成功している。

「欧米の10年前」

 再び日本。大半の地域で小売りは過当競争状態にある。商品開発に詳しい中央大学ビジネススクール大学院の中村博教授は「日本のPB市場は欧米の約10年前に近い。まだまだ開発力などは乏しい」と指摘する。

 だが消費市場縮小と人口減に伴い、各地で小売りの再編が進むのは必至。メーカーはもちろん、小売りも独自性のある商品を提供し続けなければ生き残りは難しい。PBがそのカギを握っているのは間違いない。

【表】大手小売業のPB比率   

   PB比率

テスコ(英)   50%程度

ウォルマート・ストアーズ(米)   20%程度

イオン   13%

セブン&アイ・ホールディングス   10%

(注)イオンはイオンリテールの衣食住の比率。セブン&アイはスーパー部門の加工商品などの比率。海外企業は推計   

 この連載は中村直文、藤野逸郎、豊田健一郎、杉本晶子が担当しました。

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