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生物多様性の保全などに数値目標、イオン、CSRに「持続力」、業績への寄与明確に。

[ 2011年2月7日 / 日経MJ(流通新聞) ]

社員の意欲向上狙う

 イオンは2011年度から企業の社会的責任(CSR)活動に数値目標を設ける。二酸化炭素(CO2)排出量の削減だけでなく生物多様性の保全、資源の有効活用など広範囲に及ぶ。いずれもコストの削減額といった形で業績への寄与を明確にして、社員に確実な履行を働きかける。従来のイメージ先行からの脱却を目指している。

 「木を植えています」。イオンが1991年から進めている運動だ。新店を開く際に従業員や一般の顧客から希望者を募って店舗の周辺に植樹する。植樹は累計約945万本にのぼり、イオンのブランドイメージ向上に寄与してきた。

 今回の数値目標は、そうしたCSR活動を一段と進めるとともに長続きさせることを狙っている。グループ環境・社会貢献部の泊健守部長は「従来の『いいこと運動』からビジネスに直結させる」と語る。

 CO2の排出量の削減を例にとると、これまでもイオンは自主的に目標を設定してきた。だが東京都が条例で大規模な事業所に削減義務を設けるなど、巨大流通グループに対する要求水準は年々高まっている。

 確実にCO2を減らすにはグループの社員が自発的に取り組む必要がある。インセンティブとなるのが、業績にどれだけ貢献するかという視点だ。省エネに励めば水道光熱費の節約になりコストを削減できる。

 「活動の効果は社外に対しては(CO2排出量などの)トン、社内には(コスト削減額の)円で説明する必要がある」と泊部長は話す。

 イオンがCSR活動で掲げるテーマは大きく分けて4つ。(1)低炭素社会実現への貢献(2)生物多様性の保全(3)資源の有効活用(4)社会的課題への対応だ。イオンはそれぞれの分野で13年度の目標数値を決めて、近く発表する見通し。年度ごとの経過も報告する方針だ。

 4つ目の社会的課題への対応は寄付などが対象になるもよう。業績とは無関係のように見えるが、活発な寄付は来店客数と連動するという。

 イオンが01年から実施している「幸福の黄色いレシート」。店頭に地域のボランティア団体の名前を書いた棚を置き、顧客が特定日にレシートを入れると、その合計金額の1%の品物をイオンが寄付する仕組みだ。

 グループのある食品スーパーではボランティア団体が店頭で点字教室を開くなど活動をアピールしたところ、レシートを入れる顧客が4倍に増え、顧客の囲い込みにつながった。

 生物多様性の保全では、持続可能な漁法でとれた魚にお墨付きを与える「MSC認証」商品の扱い拡大などを盛り込む見通し。それによって売上高が伸びれば利益の増加につながる。

 資源の有効利用は、段ボールなどの梱包材や商品の包装の削減が対象になるもよう。いずれもコストの削減につながる。

 社会貢献したいという気持ちはあっても、それだけでは長続きしない。ビジネスとの相乗効果をうたうことで、社員の意欲を引き出し社会貢献の効果も高められる。

 こうした取り組みは米ウォルマート・ストアーズがすでに始めている。同社は社員への意識付けだけでなく取引先まで巻き込み、商品仕様や物流の改革につなげている。イオンの試みは国内のほかの企業にも影響を与えそうだ。(藤野逸郎)

【表】イオンが取り組むCSR活動の重点分野

※各分野で5〜6項目の数値目標を設定する

(1)低炭素社会を実現するための貢献

 企業活動全般を通じたCO2排出量の削減など

(2)生物多様性の保全

 生態系に配慮した生鮮品の調達や出店地域の生物の種の保全など

(3)資源の有効活用

 包装材の削減やレジ袋の無料配布の中止店舗拡大など

(4)社会的課題への対応

 商品調達先を含めた労働者の人権保護、地域社会への参画など

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