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マルエツ、機器・備品をネット購買――オークションで透明化(実践ICT)

[ 2011年5月20日 / 日経産業新聞 ]

クラウド型システム導入

 食品スーパー大手のマルエツは店舗に必要な機器や社内の備品をオークション方式で購入できるシステムを導入し、経費削減や業務の効率化につなげている。2010年2月にシステムの運営を始めてから、すでにオークションを約300回実施し、対象の調達品の価格は平均で従来より1割も引き下げた。納入業者にとっても取引の透明化などのメリットをうまく提示することで、さらなる成果を引き出そうと動いている。

 200万円、199万円、196万円、189万円――。指定時刻になり、ウェブ上でオークションが始まると参加企業は各社のコンピューターから入札価格を入力していく。その価格が次々に下がり、規定時刻になるとオークションは終了。1回のオークションは原則として開始から30分間。15分単位で何時間までも延長可能だ。

 オークションの対象となる品目は店舗に取り付ける防犯カメラや商品を並べる陳列棚、照明など。マルエツは関東圏に約260の店舗があり、店舗の改装時に必要な物資調達にオークションを利用することが多い。

 同社店舗計画部の白沢延泰課長は購買システム導入の理由について「もっと安くできたのに、といった声が調達先から目立っていた」と指摘する。従来は各社から出された最初の見積書を見比べ、指定した条件の中で最も安い金額を提示した企業を選んでいた。これでは落選企業側にたとえ値下げ余地があっても交渉の場がない。再挑戦の機会を与えることで、マルエツ側も調達価格を引き下げられる。

最大3〜4割安

 システム導入の効果は大きかった。従来と比べて同じ調達品でも最大で3〜4割、平均でも1割ほど購入価格が下がった。システム導入から約1年で経費削減効果は数億円単位で出ている。

 白沢課長によれば、「取引が透明になった」ことも大きなメリットだ。見積書を提出した企業にとって、従前は他社がマルエツ側にいくらを提示したかが分からない。自社が選ばれない理由が不明確だったが、入札価格がリアルタイムで分かるオークションなら落選しても「納得してもらえる」(白沢課長)。

条件変更も簡単

 また、マルエツにとっては自らがオークションの条件を簡単に変更できる点もシステムとして使いやすいところだ。例えば改装実施直前に案件内容を修正した場合、外部業者などにオークション実施を委託しているとスタート価格の変更手続きに手間取ることがあるという。マルエツの場合、担当者が簡単なパソコン操作で条件の設定を変えられる。

 システムで利用する各種機能はネットワーク経由で情報システムやソフトウエアを利用する「クラウドコンピューティング」の仕組みで提供され、このシステム導入のために新たにサーバーなどを購入する必要はなかった。サーバーの管理などはシステムを開発した野村総合研究所が実施し、マルエツやオークションの参加企業は社内のパソコンからインターネット経由で該当サイトにログインすればオークションシステムを利用できる。

 システム運用開始から1年以上が過ぎ、オークションの利用は社内外でも強く認知されている。今後、オークション対象も広げ、購買活動の「見える化」を徹底することで、収益性の改善につなげていく。 (中村結)

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