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eショップ・通信販売調査、「OtoO」好循環生む――スマホ「送客」双方向。

[ 2011年10月19日 / 日経MJ(流通新聞) ]

オンラインからオフラインへ 店舗ネット スマホ「送客」双方向

 日経MJがまとめた2010年度「eショップ・通信販売調査」は、通販総合売上高(前年度と比較可能な235社)が09年度に比べ4・1%増となり、5年ぶりに伸び率が拡大した。スマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)などを使ったインターネット通販の伸びが全体をけん引した。スマホの普及で、消費者をネットから店舗に集客する動き「OtoO(オー・トゥー・オー、オンラインからオフラインへ)」が加速。さらに来店客をネットでも取り込む流れも生まれ、ネット通販の拡大に弾みを付けている。

 スマホを手に買い物に出かける消費者を、いかに実際の店舗に呼び込むか。各企業が知恵を絞る。

 資生堂子会社のイプサ(東京・港)は5月から、交流サイト(SNS)を使って店頭に誘客する試みを始めた。ミニブログ「ツイッター」で同社の化粧品の愛用者から友人(フォロワー)にギフトチケットを配布してもらう。受け取った友人は店頭でチケットを提示するとその場で肌診断を受けたり、肌に合った化粧品のセットがもらえたりする仕組みだ。

 イプサは全国78カ所の百貨店に販路を持つ。ただ来店者数が伸び悩むなか、ネット強化を打ち出している。昨夏には業界初となるネット上で美容診断ができる「チャットカウンセリング」を始めた。11月にはこれまで別々だった店舗とネットの顧客名簿を一元化する。「ネットと店舗でつながった接客ができる」(堀利理社長)のが利点だ。

 「ギフトをきっかけに来店し、その後ネットで購入する客も出てきた」(同社)という。ネットでの販売も強化し、現在5%程度のネット通販比率を20%まで引き上げる考えだ。

 「OtoO」はネットから小売店舗へ集客するしかけを指す言葉で、2010年ごろから米国を中心に使われだした。店側はSNSや位置情報などを駆使して消費者の来店を促す。

 OtoOでスマホと従来の携帯電話との最大の違いはネット通販のしやすさ。画面が大きく商品が見やすい、画像の拡大が簡単、SNSを利用しやすいなどの特徴があるため。店に欲しい商品がない場合でも、その場でネットで購入したり似た商品を探したりできる。

 ユナイテッドアローズ(UA)は10月から、原宿など10店舗でスマホの位置情報を使った集客を始めた。1回来店するだけで30ポイント(30円相当)を提供する。客は店内でスマホのアプリ「スマポ」を立ち上げると、自動的にポイントがたまる仕組み。ビックカメラや大丸東京店などでも使える共通ポイントで、商品券と交換できる。

 現時点でUAではポイントが使えるのは店舗のみ。ネット通販で急増する客を店舗に呼び込む作戦だ。調査では、UAのネット通販売上高の伸び率は31・7%増で、回答企業の平均(11・5%)を大きく上回る。「店舗だけで購入する客より、ネット通販と両方使う客のほうが購入単価が高い」(同社)特徴があるという。

 ただ、店で買うかどうか迷った客が帰宅後にネットで購入することも少なくない。レジ前でネット通販でも購入できることを案内するなど、店舗とネットの両方で客の取り込みを図る。

 ネットと店舗の垣根が低くなることで、店舗価格をネット上に"開示"することに前向きな小売業も出てきた。

 商品のバーコードを読み込んで通販サイトの価格比較ができるアプリの「ショッピッ!」。トイザらスや楽天、ワイン輸入販売のエノテカ(東京・港)など43サイトと提携し、約6万店に対応している。来春からは店頭価格も掲載する予定で、位置情報を使って近くの店舗の価格を表示する。

 小売りにとってはネット上で他社と価格を比較されることになるが、エノテカは前向きだ。消費者の目に触れる機会が増えるほか、サイトや店で一度購入した客が「もう一回買いたいと考えた場合に、自社のネットに誘導しやすい」(エノテカ)と見ているためだ。同社は今回の調査で、10年度の通販売上高は前年度より減少したが、ネットへの誘客強化で11年度は約8%の伸びを見込む。

 米国では昨夏、来店者のスマホにポイントなどを提供するアプリ「ショップキック」が出て、百貨店のメーシーズなどが導入。日本でも消費者にメリットのある価格や在庫などの情報をスマホ向けに発信し始めた。これをネット通販とうまく融合できれば、今後ネットから店へ、さらにネットへと循環する集客の取り組みが深まりそうだ。

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