SECURITY SHOW

SECURITY SHOW 2019 | 2019年3月5日(火)〜8日(金) 東京ビッグサイト
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日常活動で「小学生守れ」、犬の散歩兼ね、大学生らの力活用――地域全体で防犯の目、抑止に。

 新潟女児殺害事件からまもなく2カ月。登下校時の小学生をどう守るかが問われるなか、防犯活動に新しい動きが広がっている。犬の散歩を兼ねて見守る取り組みや、高校・大学生らの若い力を活用する試みだ。あの手この手で小学生の安全を守る活動の今を追った。

 「こんにちは。気をつけて帰ってね」。和歌山市の主婦、津村真由美さん(52)は愛犬「ジョイ」を連れて散歩中、下校する小学生に声をかけた。ジョイの首には「ぼうはんパトロール犬」と書いた黄色いバンダナが巻かれている。

 津村さんは、犬の飼い主が散歩しながら小学生を見守る防犯活動に参加する。2015年に和歌山市北部で始まった。登録時に市からもらったバンダナとバッグを身につけて散歩に出かける。活動は市全域に広がり、4月末現在で390人、403頭が登録した。

 活動のきっかけは津村さんの友人、吉増江梨子さん(38)の発案だった。同市在住の吉増さんは、15年に近くの紀の川市で男児殺害事件が起きた際、不審者情報が住民に伝わらなかったことに疑問を持ち、飼い主の間だけでも共有したらどうかと考えた。「犬の散歩は朝晩、毎日ある。人によってルートや時間がまちまちなので監視の目が行き届き、防犯効果は高い」と吉増さんは話す。

 賛同の輪は、自治会や警察、和歌山市を巻き込む形で広がった。市は16年度から予算で事業費を計上。これまでも防犯活動に犬の散歩を活用する事例はあったが、地域が限られていた。予算を付けて全域で実施する自治体の例は全国的にも珍しいという。

 同様の活動は他地域にも飛び火した。千葉市はジョギング中に見守り活動をする「防犯ウォーキングボランティア」を募集。このうち花見川区は17年4月から「防犯ウォーキング犬」を加え、飼い主と愛犬の登録を呼びかけている。

 和歌山市の事例を知った区民からの情報提供がきっかけだった。登録者にはピンク色のバンダナを無料配布する。飼い主は愛犬の首に巻くだけ。手軽さが受け、この1年間に58人、87頭の登録があった。

 登下校時に小学生を見守る防犯ボランティア団体は全国に4万7千強ある。しかし数は頭打ちで構成員の高齢化も進む。警察庁によると、構成員の平均年齢が60歳以上の団体が全体の66%を占める。そんななか、学生が参加して若返りを目指す動きが出始めた。

 桃山学院大学(大阪府和泉市)の学生サークル「桃パト」もその一つ。大阪府警が防犯活動に若い力も必要と府内の大学に呼びかけ、応じたのが始まり。14年に発足した。法学部の学生を中心に約30人が活動する。週5日、下校時に近くの緑ケ丘小学校の通学路などに立って児童を見守る。

 代表の山口日菜子さん(21)は「私自身、小学生の時にボランティアの方にお世話になったので、今度は恩返しをする番」と話す。

 高校生の活躍も。佐野日本大学高校(栃木県佐野市)では寮に入る運動部員約40人が交代で毎朝、近くの石塚小学校の児童を見守っている。きっかけは05年に旧今市市(現・日光市)で起きた女児殺害事件。06年から活動を始め、以来12年間続いている。

 野球部3年の小林大斗さん(17)は1年の時から朝練の合間に活動を続けてきた。「小学生が安全に登校できるよう、不審者がいないか気をつけている。活動が少しでも役に立てばうれしい」とほほ笑む。

 毎年のように起こる小学生への犯罪被害。地域全体で防犯に目を光らせることが、犯罪の抑止力になる。担い手となる見守りボランティアの活動をどう活性化させるか、改めて知恵の絞り方が求められる。

不審者「6・3・2の法則」

住民の情報共有カギ

 小学生が巻き込まれる犯罪には前兆がある。子供の安全を研究するステップ総合研究所(東京・文京)の清永奈穂所長は「6・3・2の法則」を挙げる。半年に6回、不審者情報が出たら要注意。月3回になったら見回りを強化する。週2回になったら非常に危険。いつ起きてもおかしくない状況という。

 問題は不審者情報を住民が共有しているかどうか。保護者には学校や自治体、警察から携帯電話などに情報が流れるが、一般住民には伝わらない。清永さんは「最寄りの役所や警察に行って登録すれば情報を流してもらえる。ネットが使えない人は掲示板や回覧板を注視すればいい」と話す。

 犯罪者や不審者は地域の雰囲気を敏感に感じ取り、防犯意識の高いエリアには近づかないという。地域住民みんなが防犯意識を持つことが大事なようだ。

(高橋敬治)

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