SECURITY SHOW

SECURITY SHOW 2019 | 2019年3月5日(火)〜8日(金) 東京ビッグサイト
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衛星データ基盤「テルース」――観光・防災など応用期待、無償で「宇宙ビジネス加速を」。

 21日に正式サービスが始まった衛星データプラットフォーム「Tellus(テルース)」。経済産業省の委託事業として、さくらインターネットなどが開発した。これまで衛星データは取得に費用がかかり、データ加工に専用機器が必要で、民間での利用は限られていた。テルースは無償で公開され、データを活用しやすくするための様々なツールも提供される。衛星データがビジネスに本格的に活用される基盤が登場した。

 テルースで公開される衛星データは地球の周囲を巡回する人工衛星が地上を撮影した画像。これを集積し、時刻別や地域別、情報の種類などに応じて、様々な視点でデータを参照する仕組みを提供する。米アマゾン・ウェブ・サービスや欧州コペルニクスなど欧米にはこれまでもオープンな衛星データはあったが、日本にはなかった。「こうしたデータを国内でまとめて提供し、国内の宇宙ビジネスを加速する」。さくらインターネットの田中邦裕社長はテルースの意義をこう説明する。

 テルースでは宇宙航空研究開発機構(JAXA)の陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)や、NECが運用する小型レーダー衛星「ASNARO」の画像をオープンデータとして世界で初めて公開する。欧米で提供されているオープンデータより細かく、田中社長は「これまでは渋滞していることがわかる程度だったが、分解能が50センチ程度なので車種までわかる。(このレベルの精度は)テルースが世界初」と胸を張る。

 今後は気象衛星「ひまわり」の画像や複数の衛星を利用した世界の雨分布データ「GSMaP」などほかの衛星データも搭載する予定だ。さらに人の流れやツイッターの言語情報なども提供していく。

 様々な衛星データを組み合わせることで、「これまでにはなかった新しいアイデアで、新たな価値を生む発見が得られるかもしれない。可能性は無限だ」(田中社長)。

 単にデータを公開することが目的ではない。目指すのは「衛星データの利用者そのものを開発すること」(田中社長)。このためデータを公開するだけでなく、活用するための仕掛けも用意する。

 その一つが開発ツール。機械学習でよく使われるプログラミング言語「パイソン」の開発環境である「ジュピターノートブック」に、標準で衛星データを利用するため機能を組み込んだサービスを提供する。これを使うことで手軽に衛星データを取り込んだアプリケーションを開発できるようになる。

 さらに「マーケットプレイス」も用意する。テルースを使って実現したアプリをここで公開したり、他社が開発したデータを利用したりすることで、「宇宙データを活用したアプリの流通基盤になることを目指す。こうした全体の仕組みを通じて投資を回収していきたい」(投資会社ABBALab社長で、さくらインターネットのフェローも務める小笠原治氏)という。

 もう一つの柱となるのが教育だ。今後eラーニング用のコンテンツを用意するほか、衛星データを利用したデータ解析を体験するトレーニングを5回開催する。受講者数は165人だが、申し込みは1000人を超えるほど関心は高い。

 さらに衛星データの活用コンテストを2回開催した。第1回は衛星データから熊本地震で発生した地滑りの箇所を識別するというもの。第2回は海上の画像データから船舶を識別するというテーマだ。投稿者数は233人で、延べ投稿数は3975件に達した。

 Webブラウザーでテルースにアクセスすると、地図ベースで様々な情報を表示できる。これでデータの傾向を把握したり、組み合わせを検討したりできる。実際に解析に利用するには、テルースが提供するAPIを通じてデータを取得して利用することになる。観光や防災、農業など様々な分野での衛星データの応用が進みそうだ。(北郷達郎)

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