SECURITY SHOW

SECURITY SHOW 2020 | 2020年3月3日(火)〜6日(金) 幕張メッセ
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災害の広域対応へ法制度の見直しを(社説)

 前線による豪雨で九州北部など全国各地で被害が出ている。近年、洪水や地震の被害が激甚化し、都道府県をまたいで広域に及ぶ例も増えている。だが、いまの災害法制は市町村ごとの対応が基本で、広域での備えが弱い。法制度を根本から見直すときだ。

 60年前の1959年9月、伊勢湾台風が上陸し、東海地方を中心に約5千人の死者・行方不明者が出た。それを教訓に災害対策基本法が定められ、風水害や地震、土砂災害、火山噴火などに備える指針になってきた。

 基本法は災害対策の多くを市町村の責務としている。事前に地域防災計画を定め、災害発生時には首長が住民に避難の勧告や指示を出す。避難所を設けて住民の命を守り、復旧・復興計画を練るのも、市町村の役割が大きい。

 しかし、2016年の熊本地震では家屋の倒壊や土砂崩れが小さな町や村に集中し、少ない職員では対応しきれなかった。18年の西日本豪雨の被害は広域に及び、救助や支援の活動が混乱した。市町村ごとの対応を原則とする基本法の限界が浮き彫りになった。

 基本法は都道府県の役割を「市町村を助け、総合調整する」と曖昧に定めており、これが問題の根っこにある。大規模水害など市町村をまたぐ避難や救援が必要な状況を想定し、事前の計画づくりや発生後の対応について都道府県の責任を明確にすべきだ。

 総務省は18年、被災した自治体と支援する自治体がペアを組む「対口(たいこう)支援」と呼ぶ仕組みを設けた。08年の四川地震で中国政府が導入したのにならい、西日本豪雨では被災地外の都や県が応援職員を派遣した。この仕組みを機能させるためにも、法的な位置づけが不可欠だ。

 想定される南海トラフ地震の対策づくりでも府や県の役割が大きい。津波や建物の倒壊で甚大な被害が出る地域では、他の地域からの支援受け入れが欠かせない。膨大な量が発生する災害廃棄物も市町村の処理能力を超え、広域で手分けする必要がある。

 政府はことし南海トラフ地震対策を見直し、東海〜九州沖の震源域の東と西で別々に地震が起きる場合なども想定するよう求めた。予知を前提に首相が警戒宣言を出す防災対応も打ち切ったが、根拠法である大規模地震対策特別措置法は放置したままだ。同法の改廃もあわせて検討すべきだ。

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