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特集――南海トラフ、連動域「東日本」超え、南海トラフ検討会、報告書要旨。

[ 2012年4月1日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 1 検討会が推計した震度分布・津波高の性格

 昨年9月28日付の中央防災会議「東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会」報告は、今後、地震・津波の想定を行うにあたっては「あらゆる可能性を考慮した最大クラスの巨大な地震・津波を検討していくべきである」とし、「想定地震、津波に基づき必要となる施設設備が現実的に困難となることが見込まれる場合であっても、ためらうことなく想定地震・津波を設定する必要がある」と指摘している。

 今回公表する震度分布・津波高は、このような考え方に沿って推計した。特に、津波高については、同報告に示されている2つのレベルの津波のうち、「発生頻度は極めて低いものの、発生すれば甚大な被害をもたらす最大クラスの津波」に相当する。同報告は、最大クラスの津波に対しては、住民等の避難を軸に、土地利用、避難施設、防災施設などを組み合わせて、総合的な対策により対応する必要があるとしている。

 なお、今回の推計は、現時点の最新の科学的知見に基づき、最大クラスの地震・津波を想定した。南海トラフ沿いで次に起こる地震・津波を予測したものでなく、何年に何%という発生確率を念頭に想定したものでもない。

 (参考)地震調査研究推進本部が、今後30年以内の地震発生確率を公表している南海トラフの地震(想定東海地震88%、東南海地震70%程度、南海地震60%程度)はいずれもマグニチュード(M)8クラスのもので、本検討会で示すM9クラスの地震を対象としていない。

 2 対象地震の規模について

 南海トラフの巨大地震の想定マグニチュードは、中間とりまとめで暫定値モーメントマグニチュード(Mw)9・0としていたが、精査した結果、最大クラスの地震・津波を想定し、震度分布を推計する強震断層モデルのMwは9・0、津波を推計する津波断層モデルのMwは9・1を確定値とした。

 3 震度分布について

 関東から四国・九州にかけて極めて広い範囲で強い揺れが想定される。

 具体的には、震度6弱以上が想定される地域は24府県687市町村(2003年の中央防災会議調査会の想定は20府県350市町村)、震度6強以上が想定される地域は21府県395市町村(同9県120市町村)、震度7が想定される地域は10県153市町村(同7県35市町村)となる。

 4 津波高について

 関東から四国・九州の太平洋沿岸等の極めて広い範囲で大きな津波が想定される。

 具体的には、満潮位の津波高10メートル以上が想定される地域は11都県90市町村(03年の中央防災会議調査会の想定は2県10市町)、同20メートル以上が想定される地域は6都県23市町村(同0)となる。

 今回の津波高は50メートルメッシュ単位で計算した。さらに精度の高い推計を行うために4月以降に行う10メートルメッシュによる推計結果によって、今回の推計結果は変わりうる。

 5 応急対策の検討に用いる震度分布・津波高について

 最大クラスの震度分布及び津波高は複数のパターンを重ね合わせたもので、実現象としてこの複数が同時に発生しないことから、応援部隊派遣などの災害応急対策を検討する際には、被害の大きさに着目し、今後、検討に利用したケースごとに被害想定を行い、全国的に見て最大の被害を発生させると考えられるパターンを「代表的なパターン」とする(人的・物的被害想定を6月ごろまでに推計することから、これに併せて「代表的なパターン」を選定)。

 6 主な留意点について

 (1)震度分布・津波高は広範囲の領域の全体を捉えた防災対策の参考とするために推計した。必ずしも各局所的な地先で最大となる震度分布・津波高を示しているものではない。

 (2)地震・津波は自然現象であり不確実性を伴う。推計した震度分布・津波高はある程度幅を持ったもので、それらを超えることもあり得ることに注意が必要。今回の検討は、一般的な防災対策を検討するための最大クラスの地震・津波を検討したもので、より安全性に配慮する必要のある個別施設については、個別の設計基準等に基づいた地震・津波の推計が改めて必要である。

 (3)推計した震度分布・津波高は、今後実施する予定の詳細な浸水域や被害想定を検討する過程で改めて検証した結果、修正されることがある。

 7 今後の予定について

 (1)検討会の今後の検討

 今後、10メートルメッシュの津波高、津波による浸水域、1854年安政東海地震・安政南海地震や1944年昭和東南海地震・46年昭和南海地震のように時間差をおいて発生する場合、長周期地震動などについて検討を進める予定。

 (2)対策の検討

 南海トラフの巨大地震対策については、3月7日に開催された中央防災会議防災対策推進検討会議において、対策を検討するワーキンググループの設置が決定されている。同グループで被害想定を行い、具体的な対策について検討を進める予定。(1)の検討も踏まえ、6月ごろまでに建物被害や人的被害について推計し、秋ごろまでに経済被害等について推計する予定。

 具体的な対策については、今回の震度分布、津波高を受けて、今後、ワーキンググループで具体の検討を進める。本年夏ごろには、当面実施すべき対策についてとりまとめる予定。その後、経済被害等の推計を踏まえて、本年冬ごろまでに対策の全体像をとりまとめる予定である。

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