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南海トラフ地震、政府被害想定、死者最悪32万人、全壊・焼失238万棟。

[ 2012年8月30日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

減災対策なら6万人に

 内閣府の有識者検討会は29日、駿河湾から日向灘の「南海トラフ」を震源域とするマグニチュード(M)9・1の最大級の地震が起きた場合、最大32万3千人が死亡し、238万6千棟が全壊・焼失するとの被害想定を公表した。津波からの迅速な避難や建物耐震化で、最悪ケースの死者は6万1千人に減らせると内閣府は説明。「減災」対策を進めるよう呼びかけている。(関連記事3面、社会面、関連特集32、33面、津波浸水のシミュレーション動画を電子版に)

 死者は関東から九州・沖縄の30都府県で想定され、政府は最悪の事態への備えを強化するための特別法を制定する考え。中川正春防災担当相は29日の記者会見で「来年の通常国会までに法案を提出したい」と述べた。

 内閣府は3月に示した想定津波高と震度を詳しく再計算した結果も公表した。津波が最大高さ20メートルに達するのは8都県の23市町村。静岡県下田市は前回より7メートル高い33メートル、中部電力浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)付近は21メートルから19メートルに修正。いずれも東日本大震災で気象庁が確認した高さを上回る。10県151市町村は震度7になる。

 被害想定は、地震のタイプや発生時刻、風速、早めに避難する人の割合など条件の異なるケースで推計。在宅率が高い冬の深夜に東海地方を中心に大津波が襲うと、死者が最多になるとした。

 都府県別の最大死者数は静岡県が10万9千人と最多。和歌山県で8万人、高知、三重、宮崎の各県で4万人超と予測した。津波での死亡が約70%を占め、水門が壊れると死者の総数は2万3千人増える可能性がある。負傷者は最大62万3千人。

 浸水域(水深1センチ以上)は最大で24都府県の1015平方キロと東日本大震災の1・8倍。このうち津波に巻き込まれるとほぼ全員が死亡するとされる水深1メートル以上は602平方キロで東京23区の面積に匹敵する。

 各市町村に到達する最大津波高を沿岸全体で平均した値も新たに発表。高知県黒潮町が最も高い19メートルだった。

 建物被害が最大になるのは、暖房や調理に火を使うことが多い冬の午後6時に風が強く吹き、九州を中心に大津波が起きるケースとした。

 政府は2003年、南海トラフ沿いで東海、東南海、南海の3地震が連動すると最大死者2万4700人との被害想定を公表した。今回は発生頻度が低い「最大級」で推計したため、被害想定は格段に大きくなった。

 内閣府は秋にまとめる経済被害想定を踏まえて、今冬に南海トラフ地震対策の全体像をまとめる。

 ▼南海トラフ地震 太平洋の水深約4000メートルの海溝「南海トラフ」沿いで起きる地震。マグニチュード(M)8級の東海や東南海、南海地震が100〜150年おきに繰り返し起きており、政府は従来、3地震が連動した場合の被害想定を出していた。東日本大震災を踏まえて内閣府は昨年、さらに広い震源域を設定。3連動地震より大規模のM9級を「南海トラフ巨大地震」と呼んで区別し、新たな被害想定の策定を進めている。

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