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犯罪、ビッグデータで防げ、京都府警がシステム、警視庁も研究、10万件を分析、地域・時間予測。

[ 2017年1月7日 / 日本経済新聞 夕刊 ]

 警察の捜査や防犯にビッグデータを活用する試みが動き出した。過去の捜査情報をもとに犯罪が起きやすい地域や時間を予測する。京都府警は昨秋、ひったくりなどを予測するシステムを導入。警視庁や福岡県警も研究を始めた。先行する海外では犯罪が減った地域もある。医療や防災に続く公共分野でのビッグデータ活用例として注目される。

 「この路地でひったくりが発生しそうだ。お年寄りに声がけしよう」。昨年12月、京都市内の交番で警察官2人がノートパソコンをのぞき込み、街頭パトロールの作戦を立てていた。画面に映し出されたのは「予測型犯罪防御システム」だ。

 京都府警とNECが共同開発し、10月から運用を始めた。過去10年間に府内で起きた約10万件の事件情報が蓄積されている。ひったくりや痴漢など数種類の犯罪について傾向を分析し、時間・場所ごとの発生確率を色分けして示す。

 昨年11月には、窃盗事件の発生が見込まれる可能性が高いと表示された駐車場をパトロールしていた警察官が、バイクを盗んだ男を見つけ窃盗容疑で現行犯逮捕した。

 日本では1年間に100万件を超える犯罪が起きる。各都道府県警には大量の捜査情報が蓄積されているが、有効に活用されてきたとはいえない。パトロールなどは警察官の経験や勘に頼る部分が多く、府警の田中智士・情勢分析支援室長は「システムと組み合わせ、犯罪抑止につなげたい」と話す。

 警視庁は12月、子供や女性を狙う犯罪のデータを使って対策を立てる手法の研究を始めた。被害に遭った事件の発生場所や時間、事件前の被害者や加害者の行動を分析する。福岡県警もコンビニ強盗や性犯罪などの犯罪の発生状況や容疑者の供述などのデータを外部の専門家に提供。過去の事件の情報を防犯に生かす事業を進める。

 蓄積した捜査情報を防犯に生かすシステムは欧米を中心に約30カ国で運用されているという。米国では約60地域がこうしたシステムを導入済み。ロサンゼルス市では2012年の運用開始後、4カ月で犯罪発生件数が13%減った地域もある。

 海外では犯罪の発生確率が高いとされた地域が反発するという問題も起きており国内でシステムを定着させるためには住民の理解を得ることが課題になる。システムに詳しい筑波大の雨宮護准教授は「予測の根拠を示し、効果を公開するなど社会に受け入れてもらう努力が重要」と指摘する。

 改正個人情報保護法が5月に全面施行されると、個人を特定できないよう加工した情報が本人の同意なしで利用できるようになる。昨年12月には官民が持つビッグデータの活用拡大を柱とする「官民データ活用推進基本法」も成立し、法律面の整備も進む。

 医療分野では17年度、全国で患者のデータを病院や診療所が共有するシステムを総務省が整備する。がん対策に患者データを活用する自治体もある。防災分野も住民の避難場所を特定したり、地震の揺れのデータから建物倒壊の危険性を予測する技術が開発された。

【表】公共分野で広がるビッグデータ活用
医 療
○総務省が17年度に全国15地域で患者情報の共有システムを整備
○横浜市がレセプト(診療報酬明細書)データからがん対策
○総務省が18年度までに救急車出動データから、出動要請の予測システムを導入

防 災
○ヤフーが被災者の緊急避難場所などを把握する技術を開発
○SAPジャパンが建物の揺れのデータから倒壊危険性を予測する技術を開発

まちづくり
○国土交通省が鉄道などの運行情報などから、人の移動を分析するソフトを開発

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