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自宅無線LAN、ただ乗り注意、地裁で無罪判決、犯罪悪用も、「安全性高い方式利用を」。

[ 2017年5月11日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 他人の家の無線LANの暗号を解読して勝手に使う行為の違法性が争われた刑事裁判で、東京地裁が無罪とする判決を言い渡した。自宅での無線LANの利用が広がるなか「ただ乗り」によるサイバー犯罪への悪用をどう防ぐか。専門家は法整備の必要性を指摘する一方、解読されやすい古い暗号化方式を使わないよう利用者に自衛を求めている。

 「今回の判決で、ただ乗りが認められたと誤解されかねない」。警視庁幹部は懸念する。他人の無線LANを使えば身元が特定されにくいため、「様々なサイバー犯罪に悪用される恐れがある」と捜査機関に不安が広がっている。

 無線LANの電波は壁を越えて近隣に届くことがあり、接続に必要な「暗号鍵」が分かれば第三者でも勝手に使える。情報処理推進機構(IPA)の野沢裕一研究員は「犯罪に悪用されると、ただ乗りされた側も警察の捜査対象になりうる」と強調する。

 東京地裁は4月27日の判決で、2014年に近くの男性宅の無線LANを勝手に使ってサイバー犯罪を繰り返した男(31)に対し、不正アクセス行為などを有罪とし懲役8年を言い渡した。一方、暗号鍵を解読したことについて、東京地裁判決は電波法が禁じる「無線通信の秘密の無断使用」に当たらないと判断した。

 弁護側は10日、判決を不服として控訴。検察側は控訴しないとみられ、ただ乗りを無罪とした判断が確定する見通しだ。

 男が解読したのは「WEP」という古い暗号化方式。専門家によると、10年以上前から危険性が指摘されており、市販ソフトを使えば数秒で解読できる。サイバー犯罪や不法な書き込みに用いる例も相次いだ。

 須川賢洋・新潟大助教(情報法)は「現在の法律で暗号鍵の不正取得だけを取り締まるのは難しく、電波法や不正アクセス禁止法を改正する必要がある」と指摘。その上で「WEPを使うのは、半透明の箱でパスワードを保管しているようなものだ」と利用者に注意を促す。

 IPAが昨年12月にまとめた調査によると、自宅での無線LAN利用者のうち、WEPを使うのは14%で、暗号化方式を使っていない人が24%。「暗号を使っているかどうか分からない」と答えた人も31・5%いた。

 最近の無線LAN機器では安全性の高い「WPA2」などの暗号化方式が初期設定されているのが一般的だが、IPAは設定画面を改めて確認するよう呼びかけている。

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