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イスラエル企業、IoTの安全も守る、車載ソフトへ侵入検知、工場内のネットを監視。

[ 2017年6月7日 / 日経産業新聞 ]

 イスラエルの情報セキュリティー会社はオフィスの情報システムだけでなく、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」分野でもサイバー攻撃から防御する独創的な技術の開発にいち早く動いている。

 5月12日に世界を襲った大規模サイバー攻撃では日産自動車の英国工場の生産も止まったことが日本の産業界を驚かせた。工場の生産状況を本社など離れた場所からネットで把握するシステムの導入が本格化するIoT時代を迎え、サイバー攻撃による被害が深刻化している。

 イスラエルのカランバセキュリティー社はネットを通じて車体制御ソフトの更新データなどをやりとりする自動車「コネクテッドカー」をサイバー攻撃から守るソフトの開発で先行している。

 同社のデイビッド・バージライ会長は「研究を目的に無線経由で車載コンピューターへの侵入テストを実施しているが、侵入に成功することが多い。いったんハッキングできれば、どんな操作でも可能だ」と警鐘を鳴らす。ハッカーが離れたところから走行中の車両のエンジンやブレーキを操作すれば、人の命に関わる大きな重大事故につながりかねない。

遠隔操作を防ぐ

 カランバのソフトは遠隔からの不正操作を防ぐために車載コンピューターの正常な振る舞いを学習し、不正な指令を検知する機能を持つ。米国のデトロイトとスイスのジュネーブに拠点を設け、欧米の自動車メーカーに対する営業を強化している。日本市場にも昨年11月に販売代理店のアズジェントを通じ参入した。

 スマートフォン(スマホ)との連携などのために無線通信機能を搭載する自動車が増え、サイバー攻撃がしやすくなっている。自動ブレーキなど最新の安全技術の採用に加え、無人運転が実用化された場合はリスクが大きい。無差別なテロに使われかねない。

 IoT時代には製造現場のデジタル革命も進む。サイバー攻撃されれば、長期間の生産停止など大きな損失が出かねない。工場内のネットワークを監視してサイバー攻撃を防ぐシステムを提供するのがイスラエルのサイバービット社だ。産業機器を制御するシステムの監視装置を提供する。

13万人が不足

 オレン・アスパー最高技術責任者(CTO)は「うちの監視装置をシステムにつなげても、ほかの機器に影響を与えない」という。生産現場では制御用の通信規格や機械間の通信など工場ごとに特有のシステムがあり、ネットワーク監視装置の導入でシステム障害が起きることも珍しくない。サイバービットは安定稼働を優先するメーカーの事情に合わせ、システムに影響を与えず監視できる「受動監視」と呼ぶ次世代技術を開発した。

 同社はこのほかにサイバー演習システムも提供している。企業のネットワークを模した環境でサイバー攻撃の対策要員を訓練するシステムだ。模擬のサイバー攻撃を体験し対処方法を実践的に学ぶことができる。Niサイバーセキュリティ(東京・港)がこの演習システムを導入して15日、東京都内に研修施設をオープンさせる予定だ。

 経済産業省によると、情報セキュリティー業務に従事する人材は現在約28万人で、約13万人不足している。Niサイバーセキュリティは人材不足に頭を悩ませる企業の需要を見込む。セキュリティー人材の育成でもイスラエル企業が日本に入り込んでいる。

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