日経メッセ > SECURITY SHOW > ニュース > 災害時の物資、どう届ける、ルートや拠点確保に課題。

日経の紙面から

災害時の物資、どう届ける、ルートや拠点確保に課題。

[ 2017年9月2日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 大規模災害時に被災者に支援物資を円滑に届けようと、国や自治体が対策を模索している。熊本地震の際は輸送が一部滞り、九州北部豪雨では個人による物資支援要請の難しさが浮き彫りになった。「防災の日」の1日に実施された訓練でも問題点を確認。国は物資の需給を調整するシステムや輸送拠点の確保を急ぐなど、新たな仕組みづくりに取り組んでいる。

訓練で問題発覚

 1日、神奈川県小田原市で首都圏の9都県市が合同で行った防災訓練。救援物資の輸送訓練もあり、市町村職員や自衛隊員ら約50人が参加した。

 県は自衛隊やトラック業者と連携。同市と同県開成町にある広域の物資拠点から周辺の2市8町にクラッカーや缶詰、水などを運んだが、実施前の経路確認で問題が発覚した。想定したルートは道幅が狭く、大型トラックが通れなかったのだ。

 1日の訓練では迂回路を使ったが、県の担当者は「現実にそぐわない部分は見直していく」と気を引き締める。

 物資の集積・中継拠点も含む輸送ルート確保の難しさは、昨年の熊本地震でも浮上した。国は自治体の要請を待たずに物資を送る「プッシュ型支援」を初めて展開したが、事前に想定した広域輸送の拠点は被災し使用不能に。急きょ大手運送会社の拠点を提供してもらった。

 この「想定外」を受け、内閣府は代替拠点のリスト化を進め、南海トラフ地震の救援計画を見直して6月に公開。災害時に活用できる民間の物流業者の倉庫などを約100カ所掲載して備えた。

 物資の輸送状況を、どう的確に把握するかも難題の一つ。熊本地震ではトラック不足や道路渋滞などで避難所までの輸送が滞り、途中の町役場や市役所などで物資の受け入れ能力が限界になった。内閣府の担当者は当時状況が刻々と変わる中、「避難所に十分な物資が届いたのかがつかめず、輸送計画を立てられなかった」と振り返る。

クラウドで情報

 国は輸送手法の改善に着手。昨年12月、「物資調達・輸送調整等支援システム」の運用を始めた。

 支援が必要な都道府県の担当者が支援物資の品目や量をクラウド上で入力。国側は物資の調達先や担当省庁などを書き込み、情報を共有する。「どこの避難所で何が余り、何が足りていないのか」が一目でわかる。

 一方、7月に福岡、大分両県を襲った豪雨では交流サイト(SNS)を使った草の根の支援の課題が明らかに。ある女性が家屋に流れ込んだ泥を掃除するためSNSでタオルを募ったところ、投稿後間もなく十分な本数が届き、募集終了を告知した。ところが最初の投稿はツイッターなどでも拡散し続け、その後もタオルが届いた。災害時の情報伝達手段としても注目されるSNSだが、救援物資を過不足なく届けるという点で課題が残った。

ニュースの最新記事

PAGE TOP