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NEC、防犯・AIで攻勢、英IT中堅を買収、710億円。

[ 2018年1月10日 / 日経産業新聞 ]

 NECは9日、英国の中堅IT(情報技術)サービス会社、ノースゲート・パブリック・サービシズ(NPS、ハートフォードシャー州)を4億7500万ポンド(約710億円)で買収すると発表した。NECでは過去2番目の巨額の買収となる。新野隆社長兼最高経営責任者(CEO)は同日の記者会見で「セーフティー事業を成長の柱にしていく、1つのメッセージとなる」と話した。

 NPSは自治体や警察への販路に強く、NECの重点事業である顔認証技術などを現地で展開する。各国の政府機関などに販路を築き、「社会セーフティーのNEC」を売り込んで世界で再び存在感を示す。

 NPSの売上高は250億円程度。同社の発行済み株式のすべてを月内に英投資ファンドから取得する。NECの海外企業の買収では出資や融資を含めて総額2000億円を投じた米パソコン大手パッカードベルに次ぐ規模だ。

 当時と今を比較すると、約5兆円あったNECの連結売上高はほぼ半減し、営業利益も400億円台に落ち込む。足元がおぼつかない中で大型買収に踏み切った背景にはセーフティー事業への本気度がうかがえる。

 テロやサイバー攻撃が頻発し、世界では防犯意識が高まる。NECは顔認証を中心とした画像認識や人工知能(AI)の技術を核にしたサービスの拡充をめざす。かつて失脚したパソコンや半導体のような価格競争には陥りにくく、「顔認証ビジネスは利益率が高い」(新野社長)。

 NPSは売上高の8割近くを政府系や警察系向けの顧客が占め、技術によっては独占的な地位を持つ技術もある。NPSは業務に応じて共通の基盤システムを持ち、ほぼそのまま他国に広げられることも買収を決めた理由だ。

 NECは20年度に海外のセーフティー事業で5%以上の売上高営業利益率をめざす。

 NECの18年3月期の連結海外売上高比率は海外販売の多い日本航空電子工業の子会社化で26%程度に高まる見込みだが、新野社長は「50%はあるべきだ。長期的に挑戦する」と語り、引き続き欧米や新興国のIT関連企業と買収や提携などの交渉を進める。

 NECは常々「技術を持ちながらビジネスに生かせていない」といわれ、新野社長も「技術をビジネスにつなげて収益化する力が弱い」と認める。成否はともかく、NPSの買収は技術を使って海外に攻勢に出る象徴的な案件だ。

(宮住達朗)

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