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帝人、防災関連に注力、冠水防止材・水位警告灯など、提携通じノウハウ融合。

[ 2018年6月12日 / 日経産業新聞 ]

 帝人が災害対策に役立つ資機材で品ぞろえを広げている。冠水防止のための舗装部材や、作業者の体温上昇を抑えられる防護服などで、自治体や企業向けの需要に対応。他社との提携を通じ、帝人の素材技術と外部のノウハウを融合する。帝人は防災関連を育成分野の一つに位置づけており、2020年度には防災関連の売上高を200億円規模に育てたい考えだ。

 冠水の防止効果があるアスファルト部材では、雨水貯留施設メーカーの秩父ケミカル(東京・千代田)と連携。アスファルトの真下に敷くことができ、熱に強く耐久性が高い部材「透水セル」(仮称)を共同開発した。

 帝人が得意とする樹脂の調合・解析技術と、秩父の雨水関連設備の設計ノウハウを融合。セ氏150度の高熱に耐え、雨水を土壌や側溝へスムーズに誘導する部材に仕上げた。

 一般的に集中豪雨の対策では、地下に雨水の貯留槽などを埋め込む必要がある。地下の構造や状況によっては設置が難しく、透水性の部材を地表近くに施工したくても耐熱性が不足していた。

 新部材の透水セルは秩父を通じて、数年内に年間5万平方メートル相当の受注を目指すとしている。

 集中豪雨による河川や貯水池の増水を警告する装置としては、帝人は電子部品メーカーの三嶋電子(東京・千代田)と組み、水電池を使った河川向け警告灯を開発した。

 水電池は水に触れることで内部の物質が反応し、発電する。帝人・三嶋の警告灯システムは、水電池が水面よりも上にある状態で設置。水位が増すと水電池に水が入り込んで警告灯が点灯する。搭載した水電池で約480時間点灯させられる。水が入っても乾かせば4回程度使えるという。

 価格は1セット5万円。従来は水位が上昇すると自治体職員が現場で目視したり、河川に取り付けたカメラで確認したりするのが一般的。財源や人手が不足している自治体には負担が大きかった。

 一方、帝人は自動車向けなどにも使われる耐久・耐熱性素材「アラミド繊維」を活用し、ドイツの防護服メーカー、LHDグループと、体温の上昇を小型送風機で抑える防護服「クーリングベスト」を共同開発した。

 ベスト内部の生地と生地の間に空間を持たせ、腹部に埋め込んだファンの風がこもった熱を外に逃す仕組み。重量は1キログラム以下に抑えた。消防士向けを中心に、19年にもオランダで発売する。

 災害対策の製品は、高い耐熱性や強度が求められる。帝人は中期経営計画で防災関連を成長分野に位置づけ、すでに担架になる毛布や燃えにくいカーテンなどを発売。17年からは他社製の非常用浄水器や災害用トイレなどを併せ、防災パッケージとして売っている。

 帝人は強みである高機能の繊維素材や、自治体向けの販路などを生かし、より早く市場に製品を投入するためにも、他社との提携や共同開発を通じて品ぞろえを拡大していく構えだ。

(世瀬周一郎)

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