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「国土強靱化」予算の焦点に、相次ぐ自然災害、老朽インフラ更新急務。

[ 2018年7月11日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 西日本を襲った記録的豪雨など自然災害の頻発を受け、インフラの災害対策を進める国土強靱(きょうじん)化が政府の予算編成の焦点に浮上してきた。10日に概算要求基準を閣議了解した2019年度予算での手厚い計上のほか、18年度補正予算を秋の臨時国会で組むべきだという声も自民党内に出始めた。来年の統一地方選と参院選もにらみ歳出圧力が高まる。(1面参照)

 10日、自民党内では国土強靱化に関する予算の拡大を求める声が相次いだ。役員連絡会で吉田博美参院幹事長が「事前防災や国土強靱化がますます重要となっている」と指摘。二階俊博幹事長は終了後の記者会見で「防災はいくらしてもしすぎることはない。どれだけしてもまだ足りない」と強調した。

 自民党の下水道事業促進議員連盟(会長・額賀福志郎元財務相)が10日に開いた勉強会でも、下水道は浸水対策に役立つとして足立敏之参院議員が「施設の老朽化が進んでいる。国が面倒をみるしかけをつくってほしい」と国土交通省の担当者に求めた。豪雨に見舞われた岡山県選出の石井正弘参院議員は「災害が起こると予算が付くが、過ぎ去るとまた元の姿に戻る」と苦言を呈した。

 国土強靱化は12年に発足した第2次安倍政権が主要政策に掲げた。11年の東日本大震災を踏まえ事前防災を急ぐためだ。二階氏らが主導し、政府に毎年予算計上を迫ってきた。18年度当初予算では道路の老朽化対策や建物の耐震化といった国土強靱化関連に前年度とほぼ同水準の3・7兆円あまりを計上している。

 自民党が国土強靱化に積極的な背景には、19年に統一地方選と参院選を控え、予算で地方の支持を取り付けたい思惑もある。公共事業費の膨張には批判が集まりやすいが、防災のための予算となれば理解を得やすい。

 政府は西日本豪雨への対策に18年度の災害対応予算と予備費をあて、足りなければ補正予算を検討する。補正予算は年明けの通常国会で成立させるのが一般的だが、党内には早くも前倒し論が出る。財政出動を主張する若手議員グループの安藤裕衆院議員は「復旧にとどまらず防災費用も計上してほしい」と訴える。

 19年度当初予算に向けては豪雨対策として水門などの河川管理施設や砂防堤防の整備、地震対策として防潮堤の整備や電柱の地中化などの要望が出ている。ただ、当初予算は次の年度の予算編成の基礎にもなるため大幅に積み増せば財政に打撃となる。財政健全化とのバランスが課題になる。

【表】最近の自然災害  
2011年 3月 東日本大震災 
  13年10月 台風26号(伊豆大島など) 
  15年 9月 台風18号(関東、東北) 
  16年 4月 熊本地震 
  17年 7月 九州北部豪雨 
     10月 台風21号(近畿など) 
  18年 6月 大阪北部地震 
      7月 西日本豪雨

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