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三菱重工、10年で売上高100億円規模、セキュリティー次の軸に、無人機やAI、デジタル化巻き返し。

[ 2018年12月11日 / 日経産業新聞 ]

 三菱重工業はセキュリティー事業の売上高で10年以内に100億円規模を目指す計画を発表した。防衛分野で養った情報通信や制御のソフトウエア技術を転用し、民間向けのセキュリティー事業を育てる。世界の重工各社が「製造業のデジタル化」に傾斜を強めるなか、後発の三菱重工はセキュリティーを軸にデジタル化を展開する。

 第1弾として「無人機を用いた監視システム」「衛星データ解析サービス」「工場・プラント設備向けサイバーセキュリティー」の3つのビジネスを近く立ち上げる。5〜10年で100億円規模の売上高の事業に育てる構想だ。

 例えば無人機で沿岸警備システムを構築する場合、空中、水上、水中で多数の無人機を動かし不審な航空機や船、ダイバーなどを監視する。地上の指揮所で無人機のセンサーから集まる各種情報を収集・分析し、少人数でも広域の沿岸を遠隔監視できるようにする。

 大型ロケットや戦闘機、潜水艦を手がける三菱重工にとって、各種無人機を統合制御するソフト技術は得意分野。防衛・宇宙セグメント先進システム事業推進部の江口雅之部長は「ハードウエアを強みとする三菱重工で、ソフトの技術力があるのは実は防衛分野だ」と語る。最先端の艦船や戦闘機などはセンサーの固まりで、これらを統合制御するソフト力を鍛えてきた基盤がある。

 サイバーセキュリティーをめぐってはNTTと組み、工場設備や発電プラントなどの制御システムの挙動を監視するサービスを開発した。各種設備の運転データから不具合を検知し、異常を素早く把握できる。衛星データでは人工知能(AI)を用いて災害時の被害状況を素早く解析し、救助に役立てられるサービスなどを検討している。

 独シーメンスや米ゼネラル・エレクトリック(GE)、日立製作所がデジタルサービスに注力するなか、三菱重工は出遅れていた。まずは強みのセキュリティー分野を足がかりに、製造業のデジタル化に踏み出す。「セキュリティーはデジタル化の軸としての候補となる」(江口氏)と語る。

 セキュリティー関連の市場は今後、成長が続く見通し。江口氏は「工場設備、発電インフラ、交通システムなどではセキュリティー関連の需要を期待できる」という。例えば、今後、火力発電などを手掛けるパワードメインでは発電プラントとサイバーセキュリティーを組み合わせて展開するという。

 三菱重工の宮永俊一社長はグループ内の技術を持ち寄ったり、転用したりして新たなビジネス機会を積極的に創出していく方針を掲げる。IoTが進むなか、ソフトの競争力底上げも課題だった。セキュリティービジネスの取り組みはそうした改革の推進役も担う。

(星正道)

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