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災害時の訪日客、SNSで救う、注意喚起や交通状況、官民が発信、求める情報、住民と違い。

[ 2019年1月18日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 訪日外国人が年間3千万人を超えるなか、災害時に情報をスムーズに届けるために交流サイト(SNS)の活用が期待されている。自治体などが情報発信の中心とするホームページ(HP)は外国人の認知度が低いのが実情。SNSを使って外国語で情報を流すだけでなく、「旅行者のニーズに合わせた情報を発信する工夫も必要」と専門家は話している。

 「津波が堺市沖まで迫っています」。阪神大震災の発生から24年となった17日、南海トラフ地震を想定した大阪市の訓練があった。職員は津波や停電、交通機関の運行状況などの情報をSNSに次々と入力して流した。

 短文投稿サイト「ツイッター」に加え、フェイスブック(FB)と無料対話アプリ「LINE(ライン)」も初めて使用。ただ、この日の訓練でのSNS発信は日本語だけだった。

 2018年6月に大阪府北部で最大震度6弱を観測した地震では、情報が行き渡らず多くの訪日外国人が戸惑った。市の担当者は「外国人による国内サイトの利用は低調。使い慣れたSNSに頼る人が多い」とし、今後はSNSを通じて多言語での情報発信を検討するという。

 南海トラフ地震への対策を協議する大阪府の有識者委員会は19年1月、訪日外国人への対応としてSNSによる情報発信を強化するよう提言。府は災害対策本部に語学に精通した職員や留学生らを配置し、SNSの操作に専従させる方針だ。

 既にSNS活用の動きは出ており、日本政府観光局(JNTO)は地震や台風の情報を投稿するため18年10月にツイッターのアカウントを新設。19年1月に熊本県和水町で震度6弱を観測した地震の際、ツイッターで新幹線や航空機の再開状況を英語で発信した。

 外国人観光客に人気の北海道で最大震度7を記録した18年9月の地震の際は、FBや中国人が多く利用する対話アプリ「微信(ウィーチャット)」で情報を伝えた。

 関西国際空港を運営する関西エアポートは18年9月に近畿地方を襲った台風21号の際、災害用のツイッターを立ち上げた。英中韓の3言語ごとに専門の職員を集め、連絡橋や滑走路の状況の更新を繰り返した。

 京都大防災研究所の矢守克也教授(防災心理学)は「観光で訪れる外国人が求める情報は一般的な住民とは異なる」と説明。安全に帰国する方法や時期、それまでの移動や滞在に関する情報を重要視するといい、「交通機関などの状況を集約して提示することが効果的だ」と指摘している。

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