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時価総額、過去10年の増加額、先進企業、時流つかむ――2位、デジタルアーツ、ネットの安全見守り20年(NEXT1000)

[ 2019年4月9日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 日本経済のけん引役と期待される中堅上場企業「NEXT1000」を対象に、過去10年の時価総額の増加額をランキングしたところ、新しい市場を開拓する企業が上位に並んだ。インターネット関連やバイオといった技術系が目立つ。1位は食品業界の受発注や請求書の送付をオンライン化するインフォマートで、昨年8月に掲載した「平均配当総額ランキング」に続く首位。2位は閲覧制限ソフトのデジタルアーツだった。

 ウェブサイトの閲覧に交流サイト(SNS)やメールなど、インターネットは現代の生活に欠かせないインフラだ。誰もが手軽にインターネットを使うためには、情報や機器を守る技術が欠かせない。デジタルアーツはセキュリティー関連ソフトの開発を通じて、早くから日本のインターネットを陰で支えてきた。

 都内にあるデジタルアーツ本社の一室。数十人がパソコンに向かう部屋は静かで、緊張感が漂っていた。このサイトは接続して安全か――。一人ひとりが人の目で確認をしているのだ。まずは専用ソフトを使って確認すべきサイトを選別。そのうえで専門の担当者が実際に接続して、内容や性質を見極める。

 インターネットが生活の隅々に行き渡るほど、いわゆるサイバー攻撃の脅威は増す。世界では毎日100万人以上が被害に遭っているとの試算もある。企業のウェブサイトを攻撃して機能不全に陥らせたり、情報を抜き取ろうとしたりする攻撃は日常茶飯事。家庭でもメールに添付されたファイルを開くとパソコンが停止し、復旧するための「身代金」を要求されるケースが増えている。

 デジタルアーツはインターネットを安心して使うためのセキュリティーソフトを1990年代後半から開発してきた。この分野では国内の老舗といえる。主力ソフトの「i―FILTER」「m―FILTER」は国内トップシェアを誇る。あらかじめパソコンなどにソフトを導入すれば、悪意のあるメールやウェブサイトへの接触を防げる。

 得意とするのは安全なサイトやメールアドレスなどのデータベースをもとに対策をとる「ホワイトリスト方式」と呼ばれる技術だ。ソフトや人の目で確認し、安全を確認した情報の発信元にのみ接続を許可する。

 顧客が不便を感じないようにするためには安全な接続先の情報を増やすなど、データベースを更新し続ける必要がある。「20年かけて蓄積したデータと接続先の選別ノウハウが強み」と道具登志夫社長は胸を張る。

 サイバー攻撃などのリスクは危険が目に見えないため「創業当初は理解してもらえないこともあった」と道具社長は振り返る。だが、職場でインターネットが使われるようになるにつれて安全性への意識は高まり、市場も拡大した。

 最近では子どもが使うスマートフォン(スマホ)向けなどの家庭向けセキュリティーソフトも伸びている。悪質なサイトに接続したり個人情報を流出させたりするのを防げるため、親に歓迎されている。

 法人・官公庁向けと個人向け双方の市場拡大を追い風に、売上高は18年3月期まで11期連続で増えた。安定した成長が市場に評価されており、時価総額は09年3月末から11倍になった。

 20年の東京五輪・パラリンピックを控え、国内の企業や官公庁でサイバー攻撃への関心が一段と高まっているという。「純国産の自社ソフトは引き合いが強いはず」と道具社長はさらなる成長に自信を見せる。

 調査の概要 直近決算期の売上高が100億円以下の上場企業982社が対象(TOKYO PRO Market上場企業、決算期変更企業を除く)。3月29日時点。2009年3月末時点の時価総額を比較できる企業が対象。10年前と比較し、時価総額を増やした額が大きい順にランキングした。原則として連結決算。

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