日経メッセ > SECURITY SHOW > ニュース > 五輪の警備・バス、人材確保を急ぐ、研修を短縮、都外から協力(Tokyo2020)

日経の紙面から

五輪の警備・バス、人材確保を急ぐ、研修を短縮、都外から協力(Tokyo2020)

[ 2019年7月29日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 2020年東京五輪・パラリンピックの安全と、円滑な運営に欠かせない警備員とバス運転手の確保に、業界団体が知恵を絞っている。採用に必要な研修期間を見直したり、首都圏以外の会社に協力を得たりして乗り切りたい考え。ただ、両業界とも常態的に人手が不足しており、採用担当者は「現時点で見通しが立っているわけではない」と不安を募らせている。

 「適切な警備業務を行うには、正しい法律知識が必要です」。23日、東京都警備業協会(台東区)の研修室に約100人の警備員が集まり、講師の話に耳を傾けた。席はほぼ埋まり、協会担当者は「部屋を広げないと入りきらないこともある」と話す。

 テロ対策の必要性から近年の五輪は、警備体制の強化を進めている。東京大会の期間中に必要とされる警備員は計画上は1万4千人だ。

 ただ、人手不足は深刻で、警備員を含む「保安」分野の5月の有効求人倍率は6・78倍(パート含む)だ。業界関係者は「現時点で、必要な人数を十分な確保ができるかは見通せない」と話す。

 警備員の育成に時間がかかるのが、不足の要因の一つだ。警備業法は警備員を採用する場合、新人に30時間以上、現職に年間16時間以上の対面研修を義務付ける。法律や応急措置を学ぶためだが、大手警備会社は「研修期間が長く人繰りに支障が出ている」と見直しを求める。

 警察庁は研修期間の短縮や対面方式の見直しを進める。新人で20時間、現職で年間10時間とし、ネットでのeラーニングでも行えるよう近く規制緩和する方針だ。同庁担当者は「五輪に向け警備員の負担軽減に取り組みたい」と話す。

 人手不足を補うため、成田空港などは自動巡回の警備ロボットを導入した。カメラやセンサーで異常を発見すると、警備担当者に知らせる仕組みだ。公共政策調査会の板橋功・研究センター長は「機械化や規制緩和で効率的な警備体制づくりを進めるべきだ」と話す。

 選手ら約9万人の大会関係者の輸送を担うバス業界も人材確保が難題だ。組織委員会は1日最大6千人の運転手と2千台の大型貸し切りバスの確保が必要と見込む。

 都内のあるバス会社は「多くの運転手や車両を大会に向けられるわけではない」と明かす。東京バス協会(渋谷区)によると、都内の会員企業が保有する車両数は約1400台。期間中は夏の林間学校や部活動の合宿、旅行でバス会社にとって繁忙期だ。同協会によると、通常、夏の都内の貸し切りバスの平均稼働率は8割ほどになる。

 組織委は東北や中部も含め広域でバス会社に協力を要請。車両確保のため、大学や教育委員会にも夏の恒例イベントの時期の見直しを求めた。バス会社への調査で、車両は確保できるとみるが「運転手の確保が進まない」(組織委)と悩む。

 バス協会の担当者は「勤務地や運行形態など業務内容が分かるまで運転手は出せない。組織委は早めに計画を伝えてほしい」としている。

ニュースの最新記事

PAGE TOP