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堤防決壊の予兆を遠隔監視、三菱電、レーザーで変化計測。

[ 2019年10月30日 / 日経産業新聞 ]

 三菱電機は、河川の堤防などの決壊を離れた場所から自動で監視できる技術を開発した。レーザーで堤防の変化を一定時間ごとに測り、カメラで撮影した元の画像に重ねることで異常をみつける。目視ではわかりづらい堤防の異常を自動で検出できれば、河川が氾濫しそうな早い段階から住民に避難を呼びかけられる。人工的につくった斜面で実験した結果、変化を正確に捉えることができた。今後、河川の管理者などと協力して技術の導入を進める計画だ。

 豪雨時には河川が氾濫し、堤防や山間部の人工斜面などが決壊する恐れがある。施設の管理者はこうした事態の兆候をいち早くつかみ、住民避難を促す必要がある。

 一般的に、堤防などの異常はカメラの映像や目視で判断することが多いが、小さな変化までは分かりづらい。管理者が災害対応に追われる中で映像を常に確認する余裕がなく、自動で危険を知らせてくれる仕組みが求められる。

 三菱電機が開発した監視システムは、堤防などの形を立体的に計測できる3次元レーザースキャナーを使った。

 100メートル先であれば、堤防の形状などを5センチメートル間隔の点として捉えることができ、最大で約10分に1回の頻度で測定することが可能だ。点群から地形の体積を計算し、平常時を基準にして、測定で捉えた変化から形状の異常を検知する。

 スキャナーの測定結果を示す画像の上に、カメラで撮影した画像を重ね、形状が変わった部分に色をつけることでわかりやすく示す。撮影した堤防などの幅や高さを測定結果から計算し、断面図も合成して表示できる。あらかじめ指定しておいた体積の変化量を超えた場合に、自動で通知する仕組みも取り入れた。

 河川の堤防を模した人工物をつくって形状変化を調べたところ、体積の変化量の測定誤差を10%以下に抑えられた。土砂災害防止用として工事中の人工斜面でシステムを使った結果、工事の進捗による形状の変化を捉えられた。工事の進捗や安全の管理への応用も期待される。

 開発した技術で課題となるのは、測定する範囲の中にある自動車や樹木を捉えて、測定する体積に誤差が生じてしまう場合があることだ。三菱電機は監視する範囲を細かく指定したり、複数回の測定を考慮してノイズを取り除いたりなどの手法で問題を解決できるとみている。

 開発した技術は海岸にある防波堤や砂浜の変化、川底への土砂の蓄積など、他のインフラや地形の監視にも応用できるとみている。

 三菱電機の中道誠課長は「必要となる要件をインフラの管理者と検討しながら導入を進めていきたい」と話す。(張耀宇)

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