事業内容
株式会社V&A Japanは、繊維素材の企画・開発・生産を手掛け、日本各地の産地や職人と連携しながら、機能性や環境配慮などの新たな価値を持つ素材の開発に取り組む企業である。生地ブランド「CRAFTEVO」を展開し、素材が持つ可能性を広げることで、社会や環境の課題に向き合う新たなものづくりを提案している。
その中でも「CRAFTEVO ReTE」は、環境負荷の低減を目指した生分解性ポリエステル素材である。通常の使用環境では製品として必要な耐久性を持ちながら、使用後には特定条件下の堆肥化環境において分解されるという特徴を持つ。環境配慮型素材というと、「耐久性が低い」「すぐに分解される」といったイメージを持たれる場合もあるが、ReTEは使用中の機能性と使用後の分解性の両立を目指した素材である。製品を「つくる」「使う」段階だけではなく、「使い終えた後」までを考えることで、これからのものづくりや消費のあり方に新たな選択肢を提案している。
現在、V&A Japanと近畿大学経営学部経営学研究会は連携し、「CRAFTEVO ReTEをベースにした価値循環モデルの構想と試行的実践」をテーマとした産学連携プロジェクトに取り組んでいる。
近畿大学経営学部経営学研究会では「価値創造デザイン」をテーマに、企業や地域が抱える課題について調査やヒアリング、議論を重ね、相手のニーズや課題を深く理解した上で、新しい価値や体験を生み出すことを目指している。企業との共同プロジェクトなどを通して、アイデアを考えるだけではなく、実際の活動へとつなげながら課題解決に取り組むことを重視している。
本プロジェクトの目的は、CRAFTEVO ReTEの認知度を高め、環境について考えるきっかけをつくることである。V&A Japanの素材開発に関する技術や知識と、学生の身近な生活から生まれる視点や発想を生かしながら活動している。優れた環境配慮型素材が存在していても、その特徴や価値が生活者に十分に知られ、理解されなければ、実際に選ばれることは難しい。そこで私たちは、「どのようにすればReTEを知ってもらえるのか」だけではなく、「どのようにすればその価値を分かりやすく伝え、身近なものとして感じてもらえるのか」という視点を大切にしながら活動している。
また、素材の特徴や環境への価値、その背景にある考え方まで理解してもらうことで、環境配慮型素材について自ら考えるきっかけをつくることを重視している。身近な製品が「何からつくられ、使用後にどうなるのか」という視点を持つことは、日常の中で環境問題を自分自身に関わるものとして捉える第一歩になると考えている。
その実践の一つとして、CRAFTEVO ReTEを使用したゼミTシャツを制作した。学生自身が実際に着用し、日常の中で使用することで、環境配慮型素材を身近な製品として知ってもらう接点を生み出している。また、素材の特徴を一方的な説明によって伝えるだけではなく、実際に見たり、触れたり、楽しみながら学んだりすることのできる展示や体験型コンテンツについても企画している。
他にも情報を伝える際には、素材の特徴を正しく理解してもらうことも大切である。ReTEの分解には特定の条件が必要であることを伝え、使用中の耐久性と使用後の分解性について、誤解のない説明を心掛けている。さらに、身近な製品への活用方法を学生が考えることで、素材の機能を伝えるだけではなく、「自分たちの生活の中でどのように取り入れることができるのか」という視点から、ReTEの新たな価値や可能性についても検討している。
エコプロ2026では、これまでの活動や制作物、体験型コンテンツ等を通じて、CRAFTEVO ReTEの特徴や可能性を来場者に分かりやすく伝える。単に説明を読んで素材について「知る」展示ではなく、「見る・触れる・体験する」というプロセスを通じて、来場者自身が環境配慮型素材について考え、身近な生活や自身の選択と結び付けることのできる展示を目指している。
V&A Japanと近畿大学経営学部経営学研究会の産学連携を通して、企業が持つ技術と専門的な知識と、学生が持つ生活者に近い視点や自由な発想、それぞれの強みを掛け合わせながら、CRAFTEVO ReTEの価値を社会へどのように伝えていくことができるのかを実践的に探究している。ReTEをより身近な存在として広めるだけでなく、一人ひとりが環境に配慮した素材や製品について「知る」ことから「考える」、そして日々の「選択」へとつなげるきっかけをつくり、環境に配慮したものづくりや暮らしの実現に貢献することを目指している。