JAPAN SHOP 2004 会場レポート~その2~コミュニケーション力が店づくりの要

昼までの穏やかな日ざしが一変し、帰途に着くと厚い雲から雨が落ちてきた。天気の変わりやすい春らしい1日となった3月4日(木)、外の変化にかかわらず、会場内には変わらぬ熱気が満ちていた。

「消費者に対するプレゼンテーションのアイデアを求めて来ました」。店舗の広告を担当するという男性が、会場に足を運んだ目的をこう説明してくれた。いかに分かりやすく、印象に残る表現方法で消費者とコミュニケーションを図るか。広告に限らず、商空間づくりに携わる人間にとって欠かせない考え方と言える。

消費者とのコミュニケーションは、五感に対する訴えかけや、バリアを作らない細部への配慮などによって深められる。会場レポート第2弾は、こうしたコミュニケーション力の向上を期待させる新商品・サービスから、いくつか目に留まったものを紹介したい。


 五感のうち、商空間での活用が一番遅れているのが嗅覚、すなわち香りのデザインだろう。そうした分野にあって、コミュニケーションツールとしての香りを商品化したブースが2つ新たに登場したのが、今回の特徴だ。


 出展したのは、英アロマ・カンパニーの「POPアロマ」をはじめとするシリーズを扱うシー・エンド・シーと、独アエローム社の「セントコントローラー」を販売するプロモツール。両社とも、化粧品や食品と同じ香りを放射する機器やPOPを提案している。「初年度の売り上げ目標は2億円。その後も、年ごとに倍増させるだけのマーケットはある」と、アロマ・カンパニーのサイモン・ハロップ代表取締役は強気の読みを披露してくれた。3年前から豪エアアロマ社の芳香機器を出品するアース・スタジオと合わせ、香りを用いた訴求表現の在り方を考えさせられる展示だった。




香りをコミュニケーションツールとして用いる商品を提案していた
プロモツール(右)とシー・エンド・シーのブース


 各社プリンター技術の進歩は、今年も相変わらず目覚ましい。中でも目を引いたのが印刷メディアの多様化だ。住友スリーエムが発表したフラットベッドタイプのUVプリンター「Printer 2500UV」は、大判対応はもとより、65ミリの厚さの板まで印刷できる点が画期的。ブース内では、小型タイルや石材、卵形にくり抜いた厚板状の発泡スチロールなど様々な素材にプリントしたアイテムが並び、来場者の関心を集めていた。


 大判プリンターによる大型看板や壁面装飾は既に一般化しているが、これらは視覚面でのコミュニケーションに限定されがちだ。その点、厚みを持った印刷メディアは、手で触れる動作など、これまでにない方法による情報・イメージ伝達の可能性を予感させる。




住友スリーエムでは、厚板にもプリントできる新製品を展示。
陶磁器や金属などのほか、
右に見える不整形な板にも印刷が可能だ


 照明関係で素材感の美しさを際立たせていたのが、シバサキの「ALLED」シリーズだ。押し出し成形したアルミにLEDを組み込んだ照明で、表面のフィルムに色を付ければ環境演出にも利用できる。熱を出すLEDと放熱効果を持つアルミの特性を組み合わせたところに合理性があるという。もっとも何より強く印象付けられるのは、アルミの持つ硬質な肌合いにLEDの光が加わって生まれるシャープな明るさだ。LEDを用いた照明でも、受け手に与えるイメージは多様化している。




押し出し成形のアルミとLEDを組み合わせた
照明機器を展示したのはシバサキ。
筒型容器に入った棒状のタイプは受注生産を視野に置いた製品だ


 特別企画「ユニバーサルデザインビジネス」の内田洋行のブースは、ソフト面でのコミュニケーションの在り方を考えさせる内容だった。海外へのメールを翻訳してくれるソフトや、音声を流せる電子看板、筆談ツールなど、IT機器を用いて様々なレベルのバリアを取り払う提案をしている。「外国語を使えない不便さを実感している人が多いようで、電子看板や筆談ツールに比べて翻訳ソフトへの関心が高いですね」とは、ユニバーサルデザイン・プロジェクトチームの担当者の弁。




IT化とユニバーサルデザインをテーマにした内田洋行のブース。
海外の人とのコミュニケーションなど
日常的なバリアを取り除くための提案を行った


 さて、ここまで紹介してきたのは、新しい技術を生かした製品・サービスだ。一方、従来型の建材を提供する企業でも、ユーザーとの関係を変えようとする商品提案の試みが見られた。


 例えばアイカ工業は、20年前から続くメラミン化粧板のカラーシステムを一新し、「AICA COLOR SYSTEM-NEO-112」を発表した。色みに応じて色を並べていた旧版に対し、アイボリー系、ニュートラル系などトーン別に16色ずつ区分けし、ユーザーがコーディネートしやすくしている。これは、単なる色見本でなく、色選びのソリューションを提供しようとする企業姿勢の表れと言えるだろう。


 アイカ工業の斜め前で展示するサンゲツでも、製品導入後の定期的なメンテナンスの提案までを行い、より一歩進んだユーザーとのコミュニケーションを試みている。「自分の店舗独自の素材を求めるユーザーが増えている中、私たちの総合的な提案力を見ていただきたい」と営業開発の担当者は意気込む。




アイカ工業の新カラーシステムは、
16色ごとにまとめたトーン別チャートを用いて
カラーコーディネーションのしやすさに工夫した


 今回のレポートでこだわってみた"コミュニケーション力"。言葉自体は、もはや使い古されているかもしれない。しかし、あえてこの言葉を通して商空間デザインをとらえてみると、そこに新しい展開が見える気がするのは私だけだろうか。


 (ライター/守山久子)

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