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連載コラム

満を持してのコンパクト化 ライティング・フェア2015 レポート

[ 2015年6月8日 ]

2015年3月3日~3月6日の4日間、国内最大の照明展示会「ライティング・フェア2015」が東京ビッグサイトで開催されました。特に2013年あたりから照明の展示会や見本市でいつも感じることですが、LED照明のクオリティは非常に高くなってきているため、特別に目を引くような製品や技術を目にする事があまりなくなってきたように思います。しかし、一見派手さのないアップグレードでも、その裏には光の波長コントロールや、光学制御、光の範囲を超えた制御技術など、非常に高度で複雑な技術によって実現されているものが多くあります。照明器具のレベルが高くなると、必然的に見る側にも高いレベルの光の知識が要求されるようになってしまったのだと思います。とはいえ、LED照明全体のレベルが高くなっていますのでどの器具を選んでも大きな失敗をするような事はまずないと思いますのであまり難しく考える必要はないのかもしれません。設計者や照明デザイナーの細かくマニアックなニーズに応えた照明器具が増えていることは確かですので、我々にとっては喜ばしいことです。

さて、今回のライティング・フェア2015ですが下記の3つのキーワードが気になりました。

  • コンパクトなLED照明
  • 個別・無線調光制御システムの更なる進化
  • 配光可変とLEDモジュール(LED光源ユニット)

これらのキーワードと、私の生業である建築照明デザインの視点から気になったメーカーや器具を紹介したいと思います。

また、前回のライティング・フェア2013と同様に今回も日本照明デザイナーズ協会(IALD JAPAN)がコラボレーションした企画やセミナーなども催され会場を盛り上げました。その様子も簡単にご紹介したいと思います。

AECOテクノロジーズ
AECOテクノロジーズはTonsという台湾発のメーカーの器具に加えオリジナルの照明器具を展開するメーカーです。昨年のLED Next Stage2014の展示ではコンパクトでオリジナリティのある照明器具の数々に驚きましたが、今回も一際個性が光る照明器具を展示していました。特に驚いたのがLEDの読書灯です。直付けタイプや埋め込みタイプなど数種類の読書灯があります。


図001 AECOテクノロジーズのブース

壁面埋め込みタイプは指で軽く押すとLEDが壁から飛び出す仕組みになっており、照射方向を回転させることも可能です。デザインも主張しすぎる事無くシンプルで、中にはハイグレードなメタル仕上げのものもあり高級感があります。また直付けタイプは非常にコンパクトでありながらフレキシブルに動くので使い方次第では読書灯のみならず、スポットライトやブラケットとしても利用できそうです。特にホテルのゲストルームでは読書灯に悩むことも多いと思いますのでこういった器具の登場は画期的に感じました。もちろん、LED Next Stage2014でも驚いた手のひらサイズの屋外用スポットライトも展示されていました。このスポットライトは直付け、スパイクが選択できるという点も非常に優れておりLEDのコンパクトさを存分に活かした素晴らしい器具だと思います。

    

    
図002~005 ハイグレードな壁面埋め込みタイプの読書灯

    

    
図006~009 ハイグレードな壁面埋め込みタイプの読書灯

    

    
図010~013 壁面直付けタイプの読書灯
コンパクトでフレキシブルに動くので読書灯のみならず、スポットライト、ブラケット、フットライトとしての使用も考えられる。


図014 手のひらサイズの屋外用スポットライト
直付け、スパイクの選択が可能な上、配光も8°、12°、24°、36°の4種類から選べるという本格的なスポットライト。サイズが非常に小さいためインテリアで使用しても目立つことはない。

ライティング創
ライティング創はホテルやハイクラスのブランドショップなどでよく使用されているコンパクトで高品質な照明器具を取り扱っているメーカーです。照明デザイナーのみならず、我々が一緒にお仕事をさせて頂く建築家やインテリアデザイナーにもファンが多いように思います。国内では最高級ランクのホテルであるザ・リッツ・カールトン京都でもライティング創の照明器具が採用されているといえばそのクオリティの高さはご理解頂けるのではないかと思います。


図015 ライティング創のブース

ライティング創の器具の多くは、数種類用意されているL-CORE と呼ばれるLEDユニットから明るさ、配光、色温度など適切なユニットを選択し、それをベースにスポットライトやダウンライトなどが展開されています。これまでコラムで紹介してきたXICATO社のモジュールを用いて照明メーカーが器具を作り上げるようなイメージですが、それを自社で行っているという点が強みであると思います。より細かなカスタマイズが可能になりますし、実際にライティング創の器具からはそれらのこだわりや思想を感じます。また、他の照明メーカーに比べLEDならではといえるコンパクトさを活かした照明器具が多く見られるのもこのメーカーの特徴ではないかと思います。特に埋め込み穴径Φ60のピンホールダウンライトやユニバーサルダウンライトはホテルや高級レストランでは非常に使い安い器具であると感じました。


図016 オリジナルのLEDユニットL-CORE


図017 シンプルなデザインのスポットライト
コンパクトなものから明るいものまで選択ができる。全てがシンプルな筒型のデザインである事も嬉しい。カットオフアングルも深くグレアに配慮した設計になっている。さらにフード取り付けも可能でよりグレアレススポットライトへのグレードアップも可能。

    
図018~019 コンパクトなダウンライト
特に埋め込み穴径Φ60、12wのピンホールダウンライト(図018 中央)はホテルや飲食店などで使い勝手がよいと思われる。また、参考出品ではあるがコンパクトなダウンライトも展示されており、今後の展開が期待される。


図020 コンパクトなスパイクタイプの屋外用スポットライト(参考出品)

オーデリック
以前よりレンズにより配光を変更するというコンセプトの器具を提案していましたが、それがさらに進化した「PLUGGED」というスポットライトのシリーズが展示されており、その製品コンセプトに非常に共感しました。


図021 オーデリックのブース

このスポットライトも際ほど紹介したライティング創の器具などと同様に光源ユニットが色温度、明るさ、演色性別に用意されており、光源ユニットを交換する事により器具の光の性質を自由に変えることができます。最も特徴的なことは光源ユニットの配光は1種類(狭角)しかなく、そのユニットに配光変換パネルを取り付ける事により配光を変化させるという仕組みになっています。電源と光源ユニットを取り付ける枠、光源ユニット、配光変換パネルを組み合わせることで1台のスポットライトができあがります。


図023 PLUGGEDシリーズのスポットライトを構成するパーツ
電源と光源ユニットを取り付ける枠、光源ユニット、配光変換パネルで構成されている。


図024 電源ユニットの光源
COBタイプのLEDを反射鏡で制御する。基本的に配光変換パネルを設置した状態で使用する。光源はかなり深い位置に設置されている為、パネル面が発光しても不快なグレアは感じない。


図025 ウシオライティングが取り扱うSoraa社のスナップシステム
ランプ中央にマグネットがあり、オプションを付け替えることで色温度や配光をコントロールする。

スプレッドレンズやディフュージョンレンズを取り付けることで配光を変化させる照明器具は数多くありますが、1種類の配光の器具で狭角、中角、広角をパネルで使い分けるという器具はありそうでありません。以前にもこのコラムで何度か紹介していますが、数年前よりウシオライティングが取り扱っているSoraa社のスナップシステムLEDランプの考え方を照明器具で実現したようなスポットライトです。このような器具はアイデアとしてはどのメーカーも持っているのだとは思いますが、売り上げなど現実的な問題などを考慮するとなかなか実現が難しいのではないかと思います。そのアイデアを実現させているという点、さらに配光変換パネルと交換可能な光源ユニットを組み合わせるという点、この2点がこの器具のオリジナリティをより高めています。フードも取り付け可能でグレアにも充分配慮がされています。高効率と高演色のユニットが用意されているため、ショップのみならず、展示が変化するイベントや美術館・博物館でも重宝するのではないかと思います。


図026 PLUGGEDシリーズのダウンスポットライト(天井埋め込みタイプ)
スポットライトと同じ思想で作られたダウンスポットライト


図027 PLUGGEDシリーズのデモンストレーション

    
図028~029 ワイヤレスコントロールシステムの展示
昨今のトレンドであるワイヤレスコントロールシステムもオーデリックオリジナルのシステムを展示。電源ユニットにアドレスを持たせる事でAndroid OSを搭載しているタブレット端末、スマートフォンなどを用いてワイヤレスでの個別調光が可能になる。

ウシオライティング
先ほど紹介したランプの配光を変化させることができるスナップシステムを採用したSoraa社のLEDランプの展示が目立っていました。


図030 ウシオライティングのブース

このLEDランプは演色性もRa95と非常に高く、ダイクロハロゲンランプの代替ランプとしては現時点で世界で最も優れたランプではないかと思っています。マグネットによる着脱が可能なオプションを用いて、配光や色温度が変更できるだけでなくハニカムルーバーまで取り付け可能な点が非常に斬新だと思います。これまではMR16タイプのものが主流でしたが、さらに径の大きいビームランプタイプのスナップシステムが新たに展示されていました。最も注目すべきなのはスナップシステムを搭載したLEDモジュール「Optical Light Engines」が発表されたということです。このモジュールを各照明メーカーが採用すれば、先ほど紹介したオーデリックのPLUGGEDシリーズのような器具が実現可能になります。随分以前から先行してLEDユニットを照明メーカーに供給してきたXICATO社にとっては強力なライバルになるのではないかと思います。今後の展開が非常に楽しみです。


図031 新しくビームランプと同じサイズのランプが加わったスナップシステム

    
図032~033 スナップシステムを搭載したLEDモジュール「Optical Light Engines」
高演色(Ra95)+スナップシステムという強力な個性をもったLEDモジュールを使ってどのような照明器具が誕生するか楽しみである。

マックスレイ
ライティング・フェアが閉幕してからしばらくたった4月27日にウシオライティングがマックスレイの株式を取得し子会社化したというニュースがありました。この影響もあるのだと思いますが、ウシオライティングのブースで紹介されていたSoraa社の「Optical Light Engines」を用いた器具の提案が行われていました。今後の展開が非常に楽しみです。もう一つ嬉しい発表がありました。独特の赤味のある色温度とシンプルでレトロなデザインで人気のあったリネストラランプがLEDになって復活するそうです。300mmタイプ200lmと500mmタイプ360lmの2種類あり、色温度は2000Kという仕様になっています。今年の夏頃に商品化予定とのことです。根強いファンも多いためLEDリネストラランプを一目見ようとブースは非常に賑わっていました。


図034 マックスレイのブース


図035 Soraa社の「Optical Light Engines」を用いた照明器具作りを展開するマックスレイ

    
図036~037 LEDとなって復活したリネストラランプ
今後の展開が期待される。

SD Lighting
以前はSD.Hess Lightingとい社名で出展していましたが2015年1月よりSD Lightingに新しく社名が生まれ変わりました。これまでと同様ドイツの屋外照明に強い照明メーカーであるhessやMeyerの器具の取り扱いに加え、SD Lightingオリジナルの照明器具も新しく加わっています。参考出品ではありましたが、特に堅牢性とメンテナンス性を両立させたラインタイプの地中埋設照明と、反射鏡を変えることで配光の性質を変化させることができるというボラード照明が気になりました。今回の展示会用に用意した反射鏡のサンプルは3Dプリンターで作成したものを塗装して鏡面仕上げにしたものだそうです。プロダクトとしての造形を確認するだけでなく、光学設計の分野まで3Dプリンターの技術が用いられるようになっている事に驚きます。


図038 SD Lightingのブース

    


図039~041 ドイツの照明メーカーMeyerの照明器具
コンパクトなものからハイパワーなものまで個性のあるデザインの器具が多い。10°配光以下の狭角配光のスポットライトの存在は非常に貴重である。窓枠をライトアップする照明器具などもアイデアが面白い。(図041)

    
図042~043 SD Lightingオリジナルの地中埋設LEDライン照明
もともと信号機の製造メーカーであるSD Lightingの器具らしく非常に丈夫そうな埋め込み照明であるが、枠に隠れているバーを引き出すと器具を開いてメンテナンスを行うことができる。

    

    
図044~047 SD Lightingオリジナルのボラード照明
3Dプリンターを用いて試作された反射鏡で配光を変化させる。360度方向に拡散させたり、より遠くまで光を飛ばしたり、片側配光で壁や足元を照らす配光など様々な配光が選択できる。製品化が楽しみな照明器具である。

トキ・コーポレーション
テープライトなどに代表される間接照明の老舗であるトキ・コーポレーションのブースは、カジノをテーマに一貫したブランディングでプレゼンテーションが行われており、数あるブースの中でも一際目立つ存在でした。スタッフはディーラーのコスチュームで案内するという徹底振りです。トキ・コーポレーショのブースに訪れると海外の展示会に迷い込んだような感覚を覚えます。こういった一つの大きなテーマやコンセプトに基づいたブースデザイン、展示プログラムは海外の展示会では一般的ですが、日本ではまだあまり馴染みがありません。同社が展開するTOKISTARは海外でも非常に知名度が高く、カジノの本場ラスベガスでも採用事例は数知れずという照明メーカーです。まさに世界を知るTOKISTARらしいグローバルスタンダードなブランディングです。もちろんブースデザインやコンセプトだけでなく、新しい照明器具も興味深いものばかりでした。

    
図048~049 カジノをイメージしたTOKISTARのブース


図050 ディーラーに扮したスタッフによる商品説明の様子
テーブルのデザインも重ねたチップになっているというこだわり。

    
図051~052 こだわりのノベルティグッズ
ペットボトルのラベル、コインのようなチョコレート、オリジナルトランプなどノベルティグッズ。一見照明と関係がないようなブランディングがメーカーの総合的な価値を高める。

特に素晴らしかったものは反射鏡制御によって3°配光という超狭角配光を実現したフォーカルスポットです。レンズ制御による超狭角配光はいくつか例がありますが、反射鏡制御でここまでコンパクトなスポットライトはあまり例がないのではないでしょうか?光源が器具前面に反射鏡に向かって取り付けられているため直接光源が見えることがないグレアレス設計になっています。会場ではルーレットの盤面に見立てたカーペットに描かれた数字を的確に照らしていました。超狭角配光でありながら光の質が高く、ブースデザインとの相乗効果で素晴らしいプレゼンテーションだと感じました。

    
図053~054 超狭角!3°配光を実現したフォーカルスポットライト
数値的なスペックだけでなく実際の光も美しい。

そして会場全体を縁取るLEDに生まれ変わったイグゼビタも印象的でした。キセノンランプを丈夫なクリアボールで覆ったイグゼビタは屋外で使用できる白熱電球のようで未だにファンの多い器具です。LED光源に透明レンズを組み合わせることで白熱電球のような光を生み出すバーチャルフィラメントのキラメキがイグゼビタのLED化を実現させました。樹脂製のグローブはクリアだけでなく、乳白、カラーなど様々なタイプが選択可能です。


図055 LED化されたイグゼビタ

またLED照明に多い問題で、調光時に光が点滅してしまうフリッカーという現象を解消したフリッカーフリーという調光方式も画期的です。新しく開発されたFF調光スレーバを用いる事によりフリッカーが解消できるだけではなく、LEDでは難しかった1%以下の繊細な調光コントロールが可能になり(0.01%まで)まるで白熱電球のような滑らかな調光が可能になるといいます。さらに市販の調光コントローラー(PWM調光方式)と組み合わせて使用できるということですから期待は高まります。繊細な光のコントロールが要求されるホテルや飲食店などでは必須のアイテムといえるでしょう。


図056 フリッカーフリーと0.01%の調光を実現させるFF調光スレーバ

ルートロンアスカ
調光といえばやはりルートロンをイメージします。今では大手照明メーカーのほぼ全てが取り組み始めている照明器具の個別制御、無線制御ですが、数年前からルートロンが展開するEcoSystemはその分野の先駆者であり牽引役でもあります。(EcoSystemの詳細についてはこれまでのコラムで何度か紹介しておりますので詳細はそちらをご覧下さい)


図057 ルートロンアスカのブース

照明メーカー独自の無線・個別調光制御システムはシステムのみならず使用する照明器具も同一メーカーで統一しなければならないという制約があります。ルートロンのEcoSystemにはその制約がなく、プランの自由度が高くなる事も大きな魅力です。実際多くの照明メーカーがEcoSystemを採用しており、独自のシステムを開発しながらも、ルートロンのEcoSystemを同時に採用しているメーカーもあるほどでそのシステムの優秀さや信頼性はお分かり頂けるかと思います。
これまでのEcoSystemはパウパック、ピコリモコン、センサー類を組み合わせた設置が容易(新規物件のみならず、リニューアルにも向いている)で比較的安価なエナジートライパックシリーズ、EcoSystem専用電源を搭載した照明器具とEcoSystem専用のグラフィックアイQSを組み合わせて、各照明器具にアドレスを持たせて個別制御を行う上位の制御システム(EcoSystem対応器具を最大64台までの制御が可能)がありました。今回のライティング・フェアではそのさらに上位機種である、Energi Savr Node(エナジーセーバーノード)とQuantum(クアンタム)が新たに紹介されていました。


図058 Energi Savr Node(エナジーセーバーノード)とQuantum(クアンタム)の紹介

Energi Savr NodeはEcoSystem対応器具を最大128台まで制御可能になります。iPhone、iPadなどの端末にインストールした無料アプリから操作することができます。もちろんセンサー類やグラフィックアイQSと組み合わせることも可能です。ショップや飲食店などの中規模の施設に有効なシステムであると思いますが、ハイクラスな住宅などにも活用できると感じました。

QuantumはEnergi Savr Nodeのさらに上をいくルートロンの最上位機種でEcoSystemのみならずルートロンの調光システムやセンサー類、電動シェードなどあらゆる製品(パウパックは除く)、またLED照明以外の従来光源を使用した照明器具などを一括して扱うことができ、100万回路まで制御することが可能です。これは製品というよりもソフトウェアまで含めた大規模施設向けの総合的な照明コントロール・エネルギー管理システムといったほうが良いと思います。専用のソフトウェアを用いてwebブラウザ上で監理できるため、ネットにアクセスできる環境であれば世界中のどこからでも制御が可能になります。アメリカにいながら日本のオフィスの照明を調光したり、現在どれほどの電力が消費されているかも把握することが可能です。

        
図059~061 Quantumを管理するソフトウェア
器具の点灯、調光、使用電力状況、シェードの開閉、故障・不点灯を知らせる機能など照明・エネルギーに関するあらゆる情報を一括で管理できる。

コイズミ照明
コイズミ照明のブースの中央では大きくDALIに対応した照明器具のシリーズが紹介されていました。


図062 コイズミ照明のブース

DALIとはDegital Addressable Lighting Interfaceの略で、汎用性と拡張性を併せ持つ、照明制御の分野における国際標準の通信規格です。異なるメーカーの製品間でも通信できることを目的とし、1999年にHelvar社を含めたヨーロッパの照明メーカーが世界オープンプロトコルとして発表しました。現在多くの照明メーカーが独自に開発している制御システムとは異なりオープンプロトコルであるという汎用性の高さが魅力的です。


図063 オーデリックのワイヤレスコントロールシステム


図064 大光で新しく発表されていた新無線調光システム
920MHzの周波数を用いる。


図065 遠藤照明のSmart LEDZ

    
図066〜067 山田照明の個別・無線調光制御システムECO wine

コイズミ照明ではこのDALIに対応した照明器具を展開することで、個別・無線による調光制御を行います。コイズミ照明はYAMAGIWAなどに続きXICATO社のLEDモジュールを採用しています。昨年のLED Next Stage2014でも発表されていましたが、その新しいモジュールにはDALIに対応したものが登場するということでした。そのXICATO社のDALI対応LEDモジュールを用いたimXシリーズが展示されていました。また、コイズミ照明の主力シリーズであるspark(スパーク)、versa(バーサ)、その他オフィス用のベース照明のシリーズもDALIに対応した機種が展開されるとのことです。先ほど紹介したルートロンのEcoSystemとDALIは世界的に見ても個別・無線調光制御の2大勢力と言って良いと思いますので今後の展開が楽しみです。


図068 XICATO社のモジュールを採用したDALI対応のimXシリーズ

    
図069〜070 spark(スパーク)、versa(バーサ)といった主力シリーズもDALI対応へ

    
図071〜072 白を美しく見せるクリスプホワイト
図071左がクリスプホワイト、右が従来のLED照明。紫色の波長をコントロールしてピークを作る事により高演色(Ra92)かつ白を美しく見せる光を作り出した。

    
図073~074 スマートフォンでコントロールできるムービングライト

DNライティング
蛍光灯のようなラインタイプのLED照明を豊富に取り扱うDNライティングのブースでも新しいコンセプトの製品が展示されていました。特にこれまで店舗の什器照明として使用されていたFL-LEDというスリムなLEDライン照明に屋外用の製品が新たに加わるそうです。幅22mm高さ19mmのスリムな器具ですから電源は別置きとなってしまいますが、LEDのドット感が全くない美しい面発光が特徴です。また、これまでインテリア用しかなかったテープライトタイプのフレキシブルモジュールも屋外用が追加されました。DNライティングの器具らしくモジュール展開も豊富ですので軒下や手すり照明、ファニチャーの間接照明などで使い易いのではないかと思います。


図075 DNライティングのブース

    
図076~077 屋外用のFL-LED
手すり照明として使用した展示


図078 屋外用のフレキシブルLED
通常の配光に加え、配光を傾斜させ横方向への光の伸びを重視したサイドビュータイプがある。サイドビュータイプはスペースがあまりないコーブ照明や、円形の柱のようなものに対する間接照明等に威力を発揮する。写真は軒天井のコーブ照明をイメージした展示。


図079 DNライティングの屋外用照明
これまでの屋外用器具は選択肢が少なかったが、ハイパワー、スリム、フレキシブルとそれぞれの特色を持った屋外用LED照明が揃った。

昨年のLED Next Stage2014では面発光タイプのスリムなライン照明が一つのトレンドであったと思います。DNライティングもMC-LEDというシリーズを発表しました。MC-LEDの形状はややラウンドした丸みを帯びた形状でしたが、今回は完全にフラットなタイプも展示されていました。(参考出品)しかも器具サイズギリギリのスリットに設置可能という事も朗報です。(連結の配線スペースなどは考慮する必要があります)


図080 フラットタイプのMC-LED

DNライティングと言えば間接照明ですが、トリムラインという見せることを前提とした照明器具も展示していました。トリムラインには天井直付け、埋め込みの2種類のタイプがあります。もともとシームレスラインの時代からDNライティングの器具は直接見えてもデザインとして成立するプロダクトでしたが、トリムラインのすっきりとした角型のデザインはどんな空間にも違和感なくマッチしそうです。この器具は光源部分を取り外し、交換が可能である点も魅力です。

    
図081~082 見せることを前提としてデザインされたトリムライン

プロテラス
日本は間接照明用のテープライトやライン照明が非常に豊富です。その中にあってDNライティングと並ぶ代表格はLUCIの名で知られているプロテラスだと思います。


図083 プロテラスのブース

既に色温度可変の器具として知られている「トフ」に加え、開発中の参考出品ではありますがテープライトタイプのパワーフレックスにも色温度可変タイプが加わる事になりそうです。昼白色~2700Kの一般的なタイプ、3000K~1900Kの電球色をベースとした白熱電球の色温度変化を模した2つのタイプがあるので用途別に選択できる点がありがたい。

    
図084~085 調光・調色が可能なパワーフレックス

プロテラスはスリム、コンパクトという分野では非常にバリエーションが豊富ですが、蛍光灯クラスの充分な光量をもった機種といえばトフやコネクティッドライトなどになります。しかし、3000lmクラスのライン照明が続々と登場する業界で少し控えめな明るさです。そこへ「スーパーシード」という新しいシリーズが加わるようです。効率を蛍光灯並みに上昇させた事により消費電力を28wに抑えながら約2800lmの明るさを実現しています。器具幅も28mmという事ですから28をキーワードにするとスペックを記憶し易いかもしれません。100vタイプのコネクティッドライトと比較すると実に2.3倍の明るさになります。


図086 28w、2800lm、器具幅28mmのスーパーシード
プロテラスの中で最も明るいライン照明として期待される

        
図087~089 色温度を変化させることができる「トフ」

    
図090~091 スリムな面発光ライン照明「シルクス」の輝度と鏡の反射を活かしたインパクトのあるブースデザイン

エイテックス
会場で一際目を引くブースを見つけました。エイテックスのブースです。エイテックスは特に屋外仕様の間接照明に強いメーカーです。かなり早い段階から建築照明向けのLED照明を作っているメーカーで、昨今トレンドになっている面発光タイプのスリムなライン照明も国内ではいち早く製品化していました。

エイテックスのブースデザインは器具の展示というよりも、器具をうまく使ったデザイン提案そのものを見せています。海外の展示会ではこういったスタイルのブースを目にすることはありますが、日本の展示会ではあまり見かけないスタイルなので新鮮で注目度が高まります。器具の性能などハード面をアピールすることが一般的な日本の展示会でこういったブースデザインを実現する意味は非常に大きいと思います。完全に個人的な意見ですが、エイテックスはどちらかというと職人気質なテクニカルなメーカーという印象があったこともあり、そのギャップも加わってイメージを大きく覆す素晴らしいプレゼンテーションだと思います。細く曲がる照明、細い直線的な輝度のラインを見せる照明等それぞれの器具の特性を活かしながら、シンプルで洗練されたデザインとなっています。聞けばインテリアデザイナーの橋本夕紀夫氏デザインとの事でした。今後こういった器具の見せ方やブースデザインが増えていくとライティング・フェアも益々盛り上がりそうです。

    
図092~093 エイテックスのブース
器具の特徴を活かした洗練された橋本夕紀夫氏デザインのブース。写真では伝わらないがアーチ状の照明は緩やかに動いていて、人の視線を誘う。

その他、気になったものを画像を中心に紹介します。

森山産業


図094 森山産業のブース

    
図095~096 PWM調光が可能になったモジュラーLEDsシリーズ
レンズを変更する事により様々な配光を作り出すことができる。

FKK


図097 FKKのブース

    


図098~100 様々なLEDライン照明を扱うFKK
ルートロンのEcoSystem対応のライン照明、色温度可変のライン照明、スリムな面発光ライン照明など様々なLEDライン照明を取り扱う。

大光電機


図101 大光電機のブース

    
図102~103 建築化照明の立体断面
毎回建築化照明のディテールを分かり易いプレゼンテーションで展示しているが、今回の立体断面はこれまで以上に分かりやすく説得力があった。


図104 シンプルかつ洗練されたデザインの調光スイッチ
特に住宅の場合、建築化や施主からもっとかっこいい調光スイッチはないのか?というリクエストを頻繁に聞く。そういった現場の声が反映されたプロダクトではないかと推察する。光るものだけが照明デザインではないという良い例だと思う。

パナソニック


図105 パナソニックのブース

    
図106~107 埋め込み穴径Φ55mmのLEDグレアレスダウンライト
ローボルトハロゲン12v35wクラスの明るさ。配光も種類用意されており使い易い。

    
図108~109 導光板タイプのライン照明
使い方次第で蛍光灯のように使ったり、ペンダント照明として使ったり、時には間接照明的な使い方も可能である。

YAMAGIWA


図110 YAMAGIWAのブース
ロス・ラブグローブ氏デザインのsystemX LED を前面に推し出したブースデザイン

    
図111~112 新しく加わったSサイズのsystemX LED は三角形をモチーフとしたY型
2005年より展開されているsystemX は蛍光灯からスタートしたが、LEDにバージョンアップされLサイズ、Mサイズと順次展開された。最新のSサイズは従来のX型からY型へ形状を変化させた。「光は生命体」というテーマのもと、染色体をモチーフとしたXとYの形から生まれたプロダクトである。Sサイズはサイズがコンパクトである為、ペンダントや壁面に直付けするなどインテリアのアクセントとしてより使いやすくなった。

日本照明工業会 「あかりの日」LED工作教室
たくさんのブースを見終わった最後に日本照明工業会のブースで「あかりの日」LED工作教室の展示を見つけました。トーマス・エジソンが電球を発明した1879年10月21日を記念して、10月21日は「あかりの日」と制定さています。このあかりの日にちなみ、照明関連3団体、(一社)日本照明工業会、(一社)日本電気協会、(一社)照明学会が発足した「あかりの日」委員会は、より良い照明のあり方について情報発信を行っています。その活動の一つが「あかりの日」LED工作教室です。簡単なLEDの工作キットを用いて自宅で不要になった空き箱やペットボトルとLEDを組み合わせて子供たちが思い思いの作品を作るイベントです。2006年からスタートし、今年で10年目となるそうです。


図113 「あかりの日」LED工作教室の展示
自由な発想で作られた子供たちの作品。
日亜化学工業:LED素子の提供
NECライティング、東芝ライテック、三菱電機照明:小学校での指導
M&Oデザイン事務所:イベント全体の推進

子供たちの自由な発想から生まれる作品を見ていると、とても癒されるとと同時に光は楽しく美しいものだと改めて教えられたような気がしました。このイベントでLEDの光に触れた子供たちの中から照明の道へ進んでくれる子がいると嬉しく思います。

まとめ
以前から継続している流れですが照明器具の個別・無線調光制御システムはより大きな流れととなって浸透しているように感じました。ルートロンのEcoSystem、DALIを筆頭に各メーカー独自のシステムなど数多くの展示が見られ、ビジネスシーンやライフスタイルに合わせた照明コントロールはより身近なものになってきた印象です。

今回は「コンパクトなLED照明」「個別・無線調光制御システムの更なる進化」「配光可変とLEDモジュール(LED光源ユニット)」という3つのキーワードを挙げましたが、その中でも私自身はコンパクトなLED照明に注目しています。LED照明は長寿命、省電力という点が非常に大きな特徴ですが、コンパクトであるという事も他の光源にはない特徴です。LED照明が一般照明として用いられ始めた当初は光量がまだ弱く、放熱などの問題で高出力化が難しかった事もあり、小さなLED光源を活かしたコンパクトな器具や薄型の器具が多くあったように思います。しかし、その当時のLED照明といえば、色温度もLED特有の違和感があったり、演色性も低く、明るさも不足して照明器具としての完成度は決して高くありませんでした。

現在のLED照明の完成度はその頃とは比較にならない程クオリティが高くなっています。照明メーカーのカタログに記載されているほとんどの照明器具がLED照明であり、照明をプランする我々もチョイスする器具のほぼ全てがLEDで完結する時代です。LED照明の質がそこまで高まってきた今だからこそ、本当の意味でLEDの良さを活かしたコンパクト化ができるのではないかと思います。前回のコラムで紹介したLight + Building 2014でもコンパクトなLED照明がたくさん展示されていました。世界的な流れをみても様々な経験を積んで満を持してのLED照明のコンパクト化が進み始めているのだと思います。もちろん用途に適した形状やサイズ、明るさがあると思いますのでコンパクト化が全てではありません。個性や強みがより細分化したLED照明が充実していくことを期待します。

照明デザイン国際セミナー ENLIGHTEN ASIA+ライティング・フェア

前回のライティング・フェア2013でも日本の代表的な照明デザイナーの職能集団であるIALD JAPANとライティング・フェアのコラボレーション企画などが様々ありましたが、今回のライティング・フェア2015でも「FEELING WITH TECHNOLOGY」というテーマを掲げセミナーなどをはじめとする様々な企画で会場を盛り上げました。そのイベントの様子も画像で簡単にご紹介します。イベントの詳細はIALD JAPANのHPをご覧下さい。

【IALD JAPANについて】
IALD=国際照明デザイナー協会は、米国シカゴに本部を持つ、世界最大のプロの照明デザイナーの職能集団で、現在全世界中に700名ほどの会員が登録しています。IALD JAPANはその協会に加盟する日本の代表的な照明デザイナー集団で、現在70名程が加盟しセミナーや研修を通じて照明デザインの啓蒙や職能の研鑚に取り組んでいます。
IALD JAPANホームページより引用 http://ialdjapan.jp/about.html


図114 石井幹子氏のセミナー
IALD JAPAN代表理事であり、世界的照明デザイナーである石井幹子氏の日本国際デザイナーズ協会設立記念基調講演「光は文化を創る」の様子。IALD JAPANは2014年9月1日に(一社)日本国際照明デザイナーズ協会として協会を立ち上げ、2014年10月9日に設立記念パーティーを行った。この基調講演がオープニングとなり、その後様々なテーマのセミナーが行われた。


図115 2014年10月9日に行われた(一社)日本国際照明デザイナーズ協会設立記念パーティーの様子
代表理事に石井幹子、副代表理事に近田玲子と面出薫の2名、専務理事に東海林弘靖、監事に松下美紀と富田泰行、理事に稲葉裕、岩井達弥、内原智史、金田篤士、澤田隆一、武石正宣、戸恒浩人、内木宏志、永島和弘、中谷太郎、長町志穂、松本浩作、山下裕子(50音順、敬称略)が就任した。

    

図116~118 アトリウムに設けられた展示&スタジオ「コレカライト」
アトリウムには10本の列柱が並び、動画による照明デザイナーの参加企業へのインタビュー、照明メーカーとコラボレーションした未来の照明に関する展示などが行われた。アトリウムメインステージに併設されたコレカライトスタジオ(図118)では照明デザイナーがパーソナリティーとなり、様々なゲストと共に光・あかりをテーマにしたトークショーで会場を盛り上げた。

光のデザインレポート
執筆者:岡本 賢

岡本 賢(おかもと けん) 
照明デザイナー/Ripple design(リップルデザイン)代表

1977年愛媛県生まれ。2002年株式会社ライティング プランナーズ アソシエーツに入社し、幅広い分野のプロジェクトに参加し建築照明デザインを学ぶ。2007年独立し、Ripple designを設立。現在も様々な空間の照明計画を行っている。
URL http://ripple-design.jp

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