建築・建材展 2004 会場レポート1(3月2日)~新たな主催者特別企画が加わる~

今年で10回目の開催となった「建築・建材展2004」。初日の3月2日(火)は、首都圏に雪やみぞれが降った前日とは打って変わって穏やかな晴天となり、来場者の出足もまずまずといったところだろうか。今回は、出展社数が220社と過去最大規模となり、会場も東5ホールの半分と東6ホールの大部分を使用し、出展社の並々ならぬ意気込みが感じられる。主催者側の特別企画としては、昨年に続く「健康建材パビリオン」や「建設資材データベース」のほか、近年関心の高い防犯をテーマとした「ホーム&セルフセキュリティ」、環境共生を意識した「進化する環境デザイン〜実践者のために〜」が興味深い。今回は、これら特別企画を中心にレポートする。




初日の「建築・建材展2004」会場。
出展社数は220社となり、東4・5・6ホールを
「JAPAN SHOP」と二分するほどの過去最大規模となった。


■「健康建材パビリオン」(12社)はシックハウス対応製品をはじめとする健康建材を扱うブース。昨年は、7月の建築基準法改正を前にしてとても盛況だったが、今年はどんな具合か。安全基準が明確になり、F☆☆☆☆の基準を満たす新製品が市場に流通するようになったことから、熱が冷めてはいないかと気がかりであったが心配無用。今年は、ホルムアルデヒドをほとんど発生しない無害な商品という発想ではなく、すでに施工されている建材などからの発生を抑える働きをもった商品の提案が増えているようだ。

 その代表格が「光触媒」。目に見えないものとあってわかりにくそうな来場者もいたが、応用範囲が広くコストも安いため、今後期待されるもののひとつといえよう。

 もうひとつは、有害物質を吸着する下地ボード。珪藻土や漆喰のように現場で施工する湿式とは異なり強度に優れ、工場生産されるため品質が安定しているのが特徴。しかも、仕上げ材を必要としないものもあり工期の短縮が図れる。




今年も、健康に関心の高い来場者で賑わう「健康建材パビリオン」。
近ごろ人気の光触媒をはじめ、
自然塗料、調湿効果のある壁材など12社が出展している。



「健康建材パビリオン」の展示とも連動している
「商・住空間トレンドワークショップ」(受講無料)におけるセミナー風景
(13:00~13:30に開催されたシックハウスを考える会 首都圏支部 事務局長・
佐倉慎二郎氏による「シックハウスにおける流通の課題」)。


■「建設資材データベース」(4社とカタログコーナー25社)とその周辺のブースでは、CADやCGのアプリケーションソフトのデモンストレーションが行われている。この業界はPCの性能アップと共に急速に成長したが、現在は成熟しつつあるようだ。しかし、建築物の設計や積算が中心だったこの分野にも変化の兆しがある。例えば、環境を意識した「景観シミュレーション」や「換気計画」をキーワードとしたアプリケーションソフトの提案も見られ、今後はこれらが相互にリンクしたものも登場するのではないだろうか。




「建設資材データベース」会場で、スクリーンに映し出された
CAD&CGアプリケーションソフトのプレゼンテーションに見入る来場者。
時間帯によって異なるアプリケーションソフトの特徴や使い方を見ることができる。


■「ホーム&セルフセキュリティ」は、ピッキングをはじめとする犯罪が多発していることを受け、「建築・建材展」と同時開催の「SECURITRY SHOW」との合同企画として実施している。なかでも、来場者の目を引いていたのがガラス関連のブース。強化ガラス、ガラスに貼るシールなど、狙われやすい建築物の窓に関するセキュリティ技術を実演でプレゼンテーションしている。実際にガラスを割るなど、少々手荒だがわかりやすい。マンションやアパートなどの集合住宅の資産価値を高める効果も大で、不動産関連の来場者が熱心に説明を聞いていた。なお、ガラスに関連したフィルム類は、「建築・建材展」の一般展示でも多数出展されている。


■「進化する環境デザイン~実践者のために~」は、これまでになかったかなり大胆な企画だ。一時期関心の高まりを見せていた「環境共生」。不況の波に押しつぶされたかのようであったが、太陽エネルギーを有効利用するパッシブデザインというカタチで紹介されている。最近注目されている「外断熱技術」とも関連があるだけに、「消費」から「省エネ」へと変化したわれわれの暮らし向きをさらに加速するきっかけとなる可能性がある。



 
会場で人だかりができるのは、やはり実演だ。
「ミルックス」社の先行手すり式足場の組みばらしシーン(左)。
東京電力が行うIHクッキングヒーターによる調理には、男性も興味津々(右)。


 以上、主催者による特別企画の見どころなどを紹介したが、「建築・建材展」全体としては昨年以上に歩きやすくまた見やすくなったような印象を受けた。それは三叉路がほとんどなく流れがスムーズになったこと。そして、「JAPAN SHOP」に隣接した「建築・建材展」のブースが店舗や商空間のディスプレイにも応用できるプレゼンテーションをしていたからだ。異なる展示や企画ではあるが、これらは関連した内容も少なくない。これから来場する方は、ブースの位置を決めた主催者の配慮はもちろんのこと、訪問者獲得のために知恵を絞った出展社の努力をぜひ楽しんでもらいたいと思う。


 最後に少し辛口な印象も付け加えたい。来場者からも声があがっているのだが、<地味>過ぎはしないか。商品やサービスの特性とはいえ、華やかさに欠けていたことは否定できない。本命ではないブースの前でもつい足を止めたくなるプレゼンテーションや、明るい未来を暗示させる「コンセプト商品」などの出展があってもよい。この点は、来年に期待したい。


 (ライター・西村弘志)

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