
住宅・店舗・ビル用の各種建材をはじめ、設備機器やソフトウエア、工法、関連サービスなどを幅広く紹介する「建築・建材展2014」(東京ビッグサイト/東5・6ホール)が開幕し、多くの来場者で賑わった。今回は20周年を迎え展示規模を拡大。4つの集中展示ゾーンに加え特別企画も実施し、開催規模は出展者数290社、出展小間数638小間となり、省エネ、快適、安全な生活に必要な技術や製品・サービスが一堂に会する展示会にふさわしい盛りだくさんな内容となっている。本レポートでは、それらの中から興味深い出展者を紹介しよう。
(ライター・西村弘志)
まず最初に、地震対策に特化した製品・工法などを展示・デモする「耐震・制震・免震ゾーン」から3社を紹介することにする。
これまでにも耐震金物・動的耐震診断・耐震補強計画等により木造住宅の地震対策を行ってきたオーディーエム。今回同社が提案している「ダイナコンティ」は、地震による建物の揺れを吸収する木造住宅用制振装置で、住宅の専門家とダンパーのことを熟知したモータースポーツメーカーとの共同開発(産学連携)によって誕生した新製品だ。会場では、躯体に見立てた木製モデルに揺れを与えて、同製品の動きや効果を実演している。オイルダンパーが地震のエネルギーを吸収することにより建物の傾きを約1/2に軽減し、繰り返し発生する地震にも継続的に制振効果を発揮。設置は簡単で、メンテナンスフリー。10年の製品保証も付いている。現在は、新築住宅だけだが、今後は既存への対応も検討中だという。
オーディーエムのブース。

躯体に見立てた木製モデルのデモでは、柱と梁の間に制震装置を設置したケース(手前)と
設置していないケース(奥)の振動の違いが、グラスに入れた液体の揺れで一目瞭然だ。
元は建築設計事務所だったが、約20年前から、地盤改良や基礎工事に特化して業務を行ってきたタケウチ建設。地盤改良を必要とする地盤の層と基礎やスラブを一体化することにより、建築物の重さを支持することができる独自の「TNF工法」を開発。杭を必要とせず、ローコストな基礎を実現しているため軟弱地盤にも有効で、これまでに商業施設や倉庫工場など多くの施工実績があるという。さらに、T-BAGSと呼ばれる自社開発の土嚢を基礎部分に施工することで、地震の揺れを減衰させることができる「T-BAGS減震工法」も開発。TNF工法と併用することで、より優れた地震対策を施すことが可能だ。

タケウチ建設のブース。

地震の揺れを減衰させる自社開発の土嚢T-BAGS。
左横に置いたペンと比べれば、その大きさがわかる。
アルミ製品の製造・加工ならびに販売を手がけてきた井上商事が、免震技術にかかわるようになったのは約十年前。当初は、自社の免震エキスパンションジョイントに関する地震波や建物応答波の性能試験を行うために振動台を自主制作していた。その後、阪神大震災や東日本大震災の地震波も再現できる3次元振動台を開発。2013年6月に「免震エキスパンションジョイントガイドライン」(一般財団法人日本免震構造協会)が制定されたのを機に、ガイドラインに準拠した速度や振動波形も再現可能なものへと改良し、さらに振動実験の業務受託も開始した。さすがに中小企業では自前の振動台を設置することはできないが、同社に試験を依頼して性能を確かめることが可能だ。

井上商事のブース。壁面には、振動台の実物大図面が描かれている。

振動台での試験の映像をモニターで紹介している。
昨年、改正が行われた「住宅・建築物の省エネルギー基準」。こうした法改正も踏まえて、業界では省エネに対する関心が高まっている。そこで、注目したいのが「省エネ・創エネ・蓄エネ建材/設備ゾーン」の出展者。合わせて、エコロジーな発想が感じられる製品や技術を提案している出展者も加え、計5社を紹介しよう。
蓄熱式輻射床暖房システム。夜間電力を利用して建物の基礎の下に埋設したヒーターパネルを暖めることで地中が蓄熱層となり、その輻射熱が基礎を伝わり徐々に床面を24時間暖め続けるというしくみだ。そのため建物全体が暖まり、場所によるヒートショックの心配が少ない。さらに同社では、ヒーターパネルの下に採熱管を設置して室内にダクトで引き込む「ハイブリッドサーマ」を開発。冬は、ヒーターと蓄熱した熱による暖かい空気を室内に送り、夏は外気温より低い地中で冷やされた空気を取り入れ室内の温度上昇を抑えることができる。


エコマテリアル製品の開発と販売を目的として2001年に設立されたエコマ。NPOやNGO、地方自治体と連携した廃プラスチック(車のバンパーや家電製品のカバー、ペットボトルのキャップなど)を原料とし、再生樹脂材「エコマウッド」と人工木材「ガイナウッド」を製造している。これらリサイクルによって生まれた製品は、強度や耐久性に優れ、サイズが豊富で木材のように加工しやく、使用後もリサイクルできるのが特徴。パネルデッキやルーバーのように材料として、またベンチや花壇などのキットとしても販売するため、ユーザーのニーズに対応が可能だ。

エコマのブース。


ニュアンブランドのエクステリア建材の製造を手がけるMINO。数ある製品アイテムの中でも特徴的なのが、職人ですら本物の木と見間違うほどの美しい木肌の人工木材「彩木(あやぎ)」。天然木から木目を型取りし、さらに自然な色むらを塗装したことで天然木のような表面の質感を再現。内部は、アルミの心材に硬質発泡ウレタン樹脂を被覆したハイブリッド構造により、優れた強度、耐侯性、耐久性、難燃性を実現している。用途は、デッキや濡れ縁のほかルーバースクリーンや窓格子、エクステリアフェンスやバルコニー手すりなど、木質感がマッチするエクステリア全般だ。

MINO のブース。


限られた敷地でボリュームの大きな住宅を求める傾向にある都市型住宅。屋上やルーフバルコニーを緑化して庭にしたいが、十分な防水対策を施さなければ雨漏りが心配だ。このような問題を解決してくれるのが、栄住産業の開発した金属防水工法「スカイプロムナード」。ステンレス鋼板や亜鉛メッキ鋼板に表面保護膜加工を施し耐久性・防水性・排水性に優れ、オープンジョイント工法の採用により地震などの揺れにも対応し、不燃認定を取得しているため火災にも強い。このような高い性能が認められ、同工法の施工は10年で10倍、さらに木造住宅の屋上緑化採用は5年で100倍に増加したという。

栄住産業のブース。

バルコニーに「スカイプロムナード」を施したイメージ。この上に養生マットを敷けば緑化が可能だ。
屋根の上に取り付けたドームから採光し、内面を鏡面加工した反射率の高い特注のアルミチューブを介して太陽光を室内に導く太陽光照明システム「スカイライトチューブ」の提案を行う井之商のブース。倉庫、工場、商業施設といった産業用途のほか住宅にも採用され、日中の消費電力の削減に貢献している。
近年は、製造系の大手企業が海外に生産拠点を移しているが、国内では地場産業や伝統産業の育成が大いに期待されている。そこで、今後の利用拡大が期待される「国産材・地域ブランド材」ゾーンに出展する企業と、地場産業・伝統産業に関連が深い企業3社を紹介する。
江戸時代から織物産業がさかんであった岡山県にあって、綿織物に携わっていた高田織物は、明治時代初期から畳縁(畳の長手方向に縫い付けられた帯状の布)の生産を手がけてきた老舗企業だ。同社では、織機の改造や素材の変更を経て、時代のニーズに対応しながらも伝統の織りにこだわる畳縁を作り続けてきた。こうして生まれた製品アイテムは、クラシカルな和室用からモダンなアーガイルや水玉をイメージしたものまで約1000種類。顧客の希望に応じてオリジナルデザインのものにも対応するなど、伝統と先進の技術、最新のファッション感覚が融合した新たな畳縁にもチャレンジしている。

高田織物のブース。畳縁の美しいデザインやカラーバリエーションが展示されている。

畳縁の知名度を高めるために、その素材を加工して小銭入れやカードケース、
ベルトやコースターなどの小物も製造・販売している。
1920年創業で、竹をはじめとする建築内装材の製造販売を行う竹六商店。4~5年で伐採可能となるエコな資源として注目されている竹を用いて、趣のある居住空間、スタイリッシュな商空間など様々なシーンにおいて演出効果に優れた製品を提案している。今回の展示では、竹はもちろんのこと、スギなどの自然素材、ポリカーボネイトといった工業製品とのコラボレーションを図った「建具・パーティション」を出展。素材の質感も含めたデザイン性を大いに体感することができる。

竹六商店のブース。


現代的な空間にもマッチした"木"の使い方をテーマに、木の加工や仕上げ、異素材とのコラボレーションによる新製品を提案しているオフィス関連の総合商社文祥堂。近年は、木に付加価値を加えて商品化・製品化する傾向にあるが、今回展示しているものは、あえて「ひき算」の発想によるデザインにチャレンジしたという。背割りした角材に組み込んだLED照明や間伐材の端材を用いた床材など、いずれも遊び心たっぷり。売りたい生産者と買いたい消費者のニーズを重視し、商社ならではの役割を生かした製品だ。

文祥堂のブース。


日本デザイン振興会が主催するグッドデザイン賞を受賞した建築・建材関連製品の展示・デモンストレーションを行っている特別企画「グッドデザインゾーン」。ゾーン内に出展している2社と受賞作品の一部を紹介しよう。
台風による災害や被害「0」を目標として川上板金工業所が開発した「Z500クローザールーフ」は、高強度で防水性能に優れた屋根材だ。特筆すべきは、2011年度に引き続き2013年度にもグッドデザイン賞を受賞したこと。最初の受賞は、構造・機能とシンプルなリブとラインの共存によるデザイン性と強度を重視した点が評価され、2度目は断熱性が向上し、さらに地震時の天井沈下・落下の軽減対策金具が開発されるなど、新しい性能・技術が加わったことたことによるものである。

川上板金工業所のブース。

2011年度に受賞した「Z500クローザールーフ」(左)と、2013年度に受賞した断熱性を向上させたタイプ。
施工後の屋根に関する心配事といえば、やはり雨漏りだ。新東が開発した「セラムF FLAT システム瓦」は瓦表面から一切の凹凸を排除して谷瓦や隅瓦に工夫を施し、一般的な工法で屋根面の谷や隅に生じる接合面の問題を解消。しかも、地震などの揺れによるずれ、風による飛びも抑え、多彩な専用役瓦を用いて建築現場での施工を簡素化し、廃材を約1/5に減らした。同製品は、このような優れた機能性とともにシャープでシンプルなジャパニーズモダンのデザインが評価され、2013年度グッドデザイン賞を受賞。屋根職人の熟練度と関係なく美しい仕上がりが可能となった。

新東のブース。
一体化している隅瓦(左)と、断面が見えない谷瓦(右)。
【グッドデザイン賞受賞作品の展示コーナーより】

グッドデザイン賞受賞作品を集めた会場。

組子のようなデザインの「リビング障子」(吉原木工所)。


その他のジャンルに関しても、個性的な取り組みを行っている出展者があるので、紹介することにしよう。
東日本大震災をはじめとする地震により天井落下事故が多発し、オフィスビルや商業施設の耐震設備が不十分であると指摘され、特定天井に関する建築基準法施行令が2014年4月から改正されることになった。こうした法改正を見込んで、配管支持金具のメーカーである日栄インテックでは、それまで培ってきた技術開発力を生かして既存天井落下防止装置「N-Safe」を大成建設と共同開発。大規模な改修をしなくても、既存の設備に金具とワイヤーを施すことで天井落下を防止できるのが特徴だ。足場組立、天井解体、ボード張替えといった工程が不要で工期が短く、コストを抑えることができる。なお、新築に際して同社では、すでに開発済みの「天井落下防止システム」で対応可能だ。

日栄インテックのブース。


20年以上前から、ハトやカラスなどの野鳥による鳥害対策を生業とし、そのリーディングカンパニーとして3万件以上の施工実績を残しているフジナガ。建築物の設計段階からのコンサルティングをはじめ、施工後の対策ならびに効果・製品・メンテナンス保証にも対応。法人向けだけでなく個人向けにも応じている。対策の製品・工法としては、野鳥に嫌悪感を与える忌避剤、止まり防止のピン、ワイヤー、フェンスをはじめ、開口部からの侵入を防ぐネット、微弱電流により飛来を防止する電気ショックなどを用意し、建築物の種類や形式、顧客のニーズや野鳥の種類に応じて販売・施工を行う。

フジナガのブース。

ピン、ワイヤー、ネット、忌避剤、電気ショックなどの製品・工法を並べて展示している。

近ごろ人気のプレミアムブラック仕様。製品の色が光の影となじんで目立たない。
東京・大田区といえば、製造業約4000社の中小企業が集積する地域として広く知られている。本会場では、大田区の技術系「受発注あっせん相談員」が常駐して、来場した企業とこれらの企業とのマッチングを実施する。
以下に、ブース内の企業3社の展示内容も簡単に紹介しよう。
高耐久メッキ鋼板の金具を用いた乾式工法によりレンガを効率よく施工することができる新世代のレンガ外壁システム「スマートブリック・ウォール」を紹介。シンプルな材料を使用し、切断・取り付けなどの現場作業も簡単なため、他の類似工法に比べて価格競争力が高い。


環境にやさしい水系塗料を中心に、耐久性はもちろんのこと作業性にも優れた塗料を紹介。建築物や車両の屋根に用いる遮熱・断熱塗料、コンクリートなどの劣化防止用塗料、シリコーンを用いた防錆・防水用コーティング材などを展示している。

太洋塗料のブース。

砂利(左)を固めて飛散を防止(右)。粒と粒の接点で固定するため、
そのすきまから水を透過し、水を地面に浸透させることができる。
コンクリート打設を行わず、斜面などの悪条件でもパイプを打ち込むだけで基礎としての支持力を発揮する鋼製ユニット基礎「リユースベース」。搬入が容易で、スピーディーな施工が可能で、工費・工期の短縮を図れるのが特徴だ。



毎年、家具や建具に用いる機能性に優れた金物、
デザイン性に優れたシャッターの展示で来場者の足を止めるスガツネ工業のブース。
今回は、新製品のスイッチ・コンセントプレートを数多く出品している。

メキシコ産の天然石「メキシカンオニキス」によるインテリアデザインの提案を行う相田化学工業のブースでは、透過性を生かしたランプなどの装飾品のほか、バックライトの効果を利用して店舗や商業施設の壁、柱、テーブル、カウンターなどを展示している。


デジタルペンで専用方眼紙上に間取りを手がきすると、自動で3Dパースが描かれるプレゼンテーションに便利な建築用営業支援ツール「ALTA」を2年前に開発したコンピュータシステム研究所。作成したプレゼンシートはPowerPoint形式で保存でき、iPad上でもプレゼンが可能だ。また、同社にデータを送ると3Dプリンターで石膏製の模型を作成してくれるサービス(有料)もある。

コンピュータシステム研究所のブース。


「公共建築」をテーマとした20周年記念セミナーをはじめとする各種セミナー(全セミナー受講無料)が連日開催されている。

建築・建材展20周年記念 日経アーキテクチュアセミナー「実プロジェクトから考える『これからの公共建築』」のセミナー会場(3月4日(火)13:00~16:00 会議棟1Fにて開催)。多くの受講者が講師の話を熱心に聴いていた。