住宅・店舗・ビル用の最新の各種建材をはじめ、設備機器やソフトウエア、設計・工事、関連サービスなどを幅広く紹介する「建築・建材展2016」(東京ビッグサイト/東5・6ホール)が3月8日から11日まで開催された。今回の開催規模は、出展者数267社・団体、出展小間数648小間で、主な見どころは、デザイン性にも優れた新しい住環境・商環境づくりの提案をはじめ、「リフォーム&リノベーション」、「光触媒」、「国産材・地域ブランド材」など3つの集中展示ゾーンと特別企画「グッドデザインゾーン」。また、今回は「工事現場ゾーン」が新設された。注目度の高いテーマに関するセミナーも実施され、会期中の来場者数は昨年を上回る103,313人(「建築・建材展」と「JAPAN SHOP」の合計)。本レポートは、会期中に興味深い出展者ブースを取材して、それらの内容を要約したものである。
(ライター・西村弘志)
「建築・建材展」と「JAPAN SHOP」の合計来場者数
| 日付 | 天気 | 来場者数 ※カッコ内は昨年 |
累計 |
|---|---|---|---|
| 3月8日(火) | 晴れ | 19,276人(17,613人) | 19,276人(17,613人) |
| 3月9日(水) | 雨 | 25,649人(25,580人) | 44,925人(43,193人) |
| 3月10日(木) | 曇り | 29,136人(29,154人) | 74,061人(72,347人) |
| 3月11日(金) | 雨のち曇り | 29,252人(30,561人) | 103,313人(102,908人) |
| 合計 | 103,313人(102,908人) | ||
従来の建設現場では、「汚い」、「きつい」、「危険」のいわゆる3Kが問題となった。また、現場では音や振動などの環境問題の解決が不可欠で、さらに高い精度を求められる作業は難しいのが現状だ。本展示会でも、このような建設現場特有の問題やリスクを減らすために、新たな技術や提案を行っている特徴的な出展が見受けられたので紹介しよう。
建設工事現場では、重機をはじめコンプレッサー、発電機など様々な機械の作業音や振動が発生するためその対策が不可欠である。こうしたニーズに応えるのがサコスの騒音・振動対策レンタル商品。なかでもおもしろいのはオールプラスチック製防音パネル「ノイズソーバー」だ。高さ2,700mm、幅600mm、厚さ60mmの吸遮音パネルはマジックテープで簡単につなげられ、パイプなどのフレームにバンドで固定すれば、その空間内部からの音を遮音・吸音することができる。パネル1枚あたりの重さは8.6kgと従来の防音シートより軽量なので施工が容易。コンパクトな「ノイズミニ」も用意されている。

高層建築が増え、高い強度を発揮する鉄筋溶接技術が求められている。しかし、高強度異形鉄筋同士を現場で溶接するには熟練の技術を必要とし、技術者不足の昨今は従来の現場溶接が不安視されていた。そこで、アクティスが開発したのが「3CW鉄筋溶接継手工法」。あらかじめ工場で高強度異形鉄筋の先端に、さらに径の大きな断面が円形の棒鋼を摩擦圧接により接合し、現場では作業が容易な棒鋼同士の溶融溶接を行うというものだ。

足場施工会社として60年の実績を積み重ねてきた松永工基。足場設置の際に使用する大量の鉄製のアンカーが、足場を外した後にも構造物に残存していることで、錆が生じてコンクリートの強度を低下させるというリスクが提起されている。そこで、同社が提案しているのは、鈴木商店が開発したトルク式アンカーボルト「アンカーバード」。一般的なアンカーがハンマーで打撃して固定するのに対して、本製品はインパクトレンチによるトルクで固定するため、逆回転のトルクにより容易に撤去が可能。しかも、作業員の熟練度に左右されず安定した強度を発揮できる。

建設現場での作業は3Kだと言われてきたが、このような負のイメージを払拭するためにダイヤ工業が出展したのは、54年間にわたり整骨院向けのサポーターやコルセットを提供してきたノウハウを生かして竹中工務店と共同で開発した、体力的負担を軽減する「職人DARWING」と、近年増えている女性向けの「職人DARWING小町」。同社では参考出品として、アンダーウェアにパワーアシスト機能を搭載した「パワーアシストウェア」も展示し、ロボットスーツとは異なるウェアラブルなものも目指しているという。

工事現場やイベント会場などで見かける仮設トイレ。不衛生なイメージが否めないため、利用をためらう女性も少なくないという。仮設トイレの製造・販売・レンタルを主力事業としている日野興業では、このようなイメージを払拭するための新提案を行っている。オールインワンタイプの「おもてなしトイレ」は、従来の1区画が幅850mm×奥行き1,125mmという概念を取り払い、2倍の広さの空間に洋式トイレと手洗い器を設置した男女兼用型。さらに、タレントなどのVIPが利用することを想定したハイクラスの「ウェレットライト」(1,686mm×1,686mm)も開発。鏡やフィッティングボードなども設置できる快適なレストルームだ。ほかにも、シャワーユニット目隠しとなるルーバーフェンスも用意している。




2009年から増加傾向にあるリフォーム需要。民間の調査によると、2016年の市場規模は8.7兆円(2012年比10.7%増)と予測されている。このように拡大傾向にあることから本展では「リフォーム&リノベーションゾーン」と改め、昨年に続き集中ゾーンを設けた。
バブル期から25年以上が経過し、当時数多く建設されたマンションやオフィスビルの給排水管がメンテナンス時期を迎えている。しかし、老朽化している共用横主管と呼ばれる排水管の取り替えは、設置された共用部分を開削することが難しく、ビル管理者にとっては悩ましい問題となっている。ビルの配管の設計・施工・診断を専業としているいずみテクノスでは、積水化学工業とのコラボにより、形状記憶型硬質塩ビ管を使った「リノベライナー工法」を開発。横主管内に予備加熱した塩ビ管を導入した後、圧縮空気を送り込んで塩ビ管を膨張させて、既設管の内部に密着することで排水管を更生させるという新技術だ。開削の必要がなく、通常の工期は1日でコスト削減も図れるとあって、管理会社や管理組合からの引き合いが多いという。

「網戸を通して室内を覗かれるのはイヤ」。とはいえ、雨戸やカーテンを閉めると風や光も遮蔽されてしまう。そこで、新たに開発されたのが「アミシェード」(2016年6月リリース予定)。窓の面格子に取り付ける目隠し「サンシャインウォール」(2014年リリース)を応用した森村金属の新提案だ。網戸の上下4個所と左右2か所に取り付けた専用のフックに、「アミシェード」を引っ掛けてプラスドライバーで固定するだけで、光拡散樹脂パネルの効果により通風と適度な採光を確保しながら視線をシャットアウト。サイズのバリエーションが多く、誰でも簡単に取り付けられる。色は、ホワイト、ブラウン、ステンカラーの3色。ネットを通じて直接エンドユーザーに販売する予定だ。

日本では、戸建て住宅の多数派を占めるのは木造住宅だ。とはいえ、国産材の利用率は高くなく、木造建築に長けた技術者の不足も深刻である。このような問題を解決するために、様々な技術の開発が進められている。本展示会では、「国産材・地域ブランド材ゾーン」以外でも、木へのこだわりが感じられる出展者の展示が見受けられた。
木造住宅において、柱・梁・筋かい、窓枠や床組み、断熱材の装填といった一連の作業工程を省力化して工期を短縮することができれば、人件費をかなり節約することができる。また、近年の職人不足にも対応することが可能だ。こうしたニーズに応えるために15年前から、木造在来工法用のパネルを開発し供給してきた兼希工業。あらかじめ断熱材を取り付けた壁パネル(耐力壁としても機能)、床パネル、屋根パネルを用意し、工務店や地域ビルダーの省力化を図っている。さらに、ゼロエネルギーハウス(ZEH)の需要に応えるために、外皮性能の計算をはじめとした省エネルギー対策を含めたトータルサポートも開始した。現在のパネル供給エリアは関東一円だが、本州をカバーできるように体制を整えているところだという。

木のよさを生かすには、木の弱点を補うことが不可欠だが、そこでいま注目されているのが含浸技術。木の断面を見ると、無数の小さな孔があることがわかるが、その孔の中に液状の機能性物質を浸透させ定着させた「プラセラウッド」は、防腐、防虫、防燃、抗菌、防臭性能の向上により、腐らない、虫が食わない、燃えないなどの特徴を発揮する。プラセラムが開発した新しい含浸技術だ。この技術は、合同会社であるベルリンにより竹にも応用され、伐ったばかりの竹の青さを維持することにも成功している。こうした木は、エクステリアやガーデニングなどに利用されるとともに、室内では壁などの仕上げ材や浴槽、屋外では耐候性が求められる木橋や板塀に。一方竹は、竹垣、屋根の樋、ベンチなどにも用いられているという。なお、この含浸技術は食品にも応用でき、フリーズドライにしたイチゴの水分の抜けた間隙にチョコレートを詰めた菓子が会場で配布され、来場者を驚かせていた。

門型フレーム、キッチンバック収納、木製格子など、木のよさを生かした製品を提案しているHCマテリアル。本展示会で目に付いたのは、最近開発したという杉板材のサイディングだ。美しい木目が特徴の杉板は、従来室内の仕上げ材として壁、床、天井に張られるが、同社では外壁に利用できるサイディングとして2016年中に防火認定を取得するべく試験中だという。現在はトレーサビリティーが明らかな熊本県産の杉材を使用。循環型社会の実現にも貢献しようとしている。

光を透過させるだけでなく、硬質で薬品などにも強く、汚れても清掃しやすいガラス。建築業界では一般的に開口部に用いられるが、優れたデザイン性と機能性により間仕切りや目隠しなどに用途が広がり、建材として欠かせない存在となっている。そんなガラスをメインにした出展も増え、来場者も思わず足を止めて見入っていたようだ。
商業ビルをはじめ、天井の高いアトリウムやエントランスのある建物が増えている。このような構造を生かした開放感のあるデザインを行うのに欠かせないのがガラスだ。本展示会で岡村製作所が提案した「Gravis(グラヴィス)」は、高さ4.5mの強化合わせガラス製移動間仕切り。ダブルガラス(厚さ100mm)により高い遮音性を発揮する。簡単にスライディングするだけでなく、ワンタッチで壁や間仕切り同士が圧接するスライドシール機構を採用しているため、簡単に移動、設置、解除が可能だ。レストランやホールなどへの採用を見込んでいるという。

ステンドガラスの板材の輸入をはじめ、ガラス加工のニーズにきめ細かく応えるガラス商社のがらすらんど。強化ガラス、ペアガラス、合わせガラスなどの機能性を持ったガラス加工はもちろん、バナナペーパーガラス、ブラストガラス、フュージングガラス、タペストリーガラス、クラッシュガラス、ミラーガラスなど多彩なデザイン加工技術を持った加工工場とともに知恵を絞り、オンリーワンの美しいデザインガラスを作り上げている。依頼主は、主に建築設計事務所。無理難題とも思える複雑なデザインの依頼も多いという。




住宅はもちろんのこと、オフィスビルや商業ビルにおいて、現代の内外装材はデザイン性に加え様々な機能性が求められるようになっている。このようなニーズに応えるため、メーカーでもたゆまぬ研究開発が続けられ、新たな製品・技術が誕生しているが、本展示会でもそうした出展が目立った。
建築系の展示会では、これまでキッチン、バス、洗面所など水まわりの設備機器を出展していたタカラスタンダードだが、本展示会で提案しているのは1月にリリースした居室用内装材「エマウォール インテリアタイプ」。1962年に世界最初のホーローキッチンの開発に成功したタカラスタンダードが、主力として位置づけているホーロー技術を生かした新ジャンルへの挑戦である。耐久性に優れたホーローの性質により、表面にインクジェットで柄を印刷しても、経年劣化によるひび割れや色あせせず、美しさを保てるのが最大の特徴だ。

断熱材メーカーとして定評のあるスタイロ加工をグループ傘下に持つ明正工業。本展示会では、ロックウールを芯材とし、表面材には鋼板を用いた耐火断熱間仕切り「タイカダンパネル」を出展した。幅1,800~12,000mm(厚さは100mmまたは150mm)のパネルは、両端がオス/メス構造になっているため接合時にしっかりと嵌合し、高い耐火性と断熱性を発揮。耐震性も向上させたことにより、地震時に隙間が生じることがなく安心だ。重さはALC版の約1/3と軽く、施工性にも優れている。

利益向上につながる環境技術を提案しているNREハピネスの製品・技術は基本的に、ホテルニューオータニで施工し検証済みのもの。実績があるので安心して使えるのが売りだ。なかでも省エネ・エコ建材が特徴的で、老朽化した屋根に吹き付け断熱防水効果を高める「イソタンシステム」、ガラスに貼って遮熱するフィルム「ダイワコート」をはじめ、多彩なラインナップを紹介していた。

2015年度にグッドデザイン賞を受賞したのは約1,300件。この中から、住宅・建材関連のGマークを受賞した商品約30件を展示しているのが、特別企画「グッドデザインゾーン」の「特設展示エリア」。優れた製品やサービスが凝縮された密度の濃い展示空間である。





以前の建設現場は、デジタルとは無縁のアナログな場所だった。しかし、ICTの導入により時間の短縮、省力化、情報の共有化、セキュリティの強化などが進み、紙の図面を持ち歩くことはなくなり、タブレットやノートPCがあれば、現場管理が容易にできるようになっている。本展示会でも、このような合理化を図る技術やサービスの展示が増えているので紹介しよう。
建設現場では、工事の進捗などに応じて施工個所の写真を撮影・保存することが義務づけられている。しかし、写真の撮り忘れがないかのチェックや写真の管理はかなりの負担だ。そこで、オリンパスメモリーワークスが提案しているのが「写真管理ソリューション」。カメラ機能を持ったタブレットを使って撮影すると、自動的に図面上に記録が残るなど、カメラメーカーオリンパスのグループ会社ならではのサービスを提供する。現在実証実験中だが、2016年末にはリリース予定だという。

鉄筋をどのように配置するかを表す配筋図。建設現場では、この図面をもとにして配筋作業を行うが、同時に施行状況を写真撮影して図面上に残したり、変更があればそれらの情報を他の作業者と共有する必要がある。レゴリスは、このような作業を円滑に行うための図面管理・情報共有システム「スパイダープラス」を鴻池組と共同で開発した。もとは施工会社で、このような状況で苦労した経験を生かした技術である。このシステムは、タブレット上で動作するので、現場に持ち込みその場で確認でき、修正にもリアルタイムに対応できるのがありがたい。

いまや建設現場のセキュリティに欠かせない存在となっている防犯カメラ。設置が必要な場所は、現場の状況によりその都度変更しなければならないことがある。このような現場では、簡単に設置・移動が可能な防犯カメラが重宝だ。吉田東光が提案している「現場見守る君」は、現場の仮設の単管パイプに簡単に取り付けることができ、AC電源と接続しておけばスマホ、ダブレット、PCにリアルタイムのライブ映像を通信回線を通じて送信できるモバイルネットワークカメラ。カメラの向きを遠隔操作したり、暗い場所でも赤外線で撮影が可能だ。

設計から施工まで多くの工程に関わる様々な業種・業態が複雑に絡み合って成り立っている建設業界。その中では、絶えず関係者が新しい製品、技術、サービスなどを探しており、また逆に自社の存在を他社にアピールしたいと考えている。こうしたニーズに応えて情報の公開や取得の場を提供しているのがイプロスが運営している建設技術データベースサイト「イプロス建設業」。インターネットで簡単に検索できることから、月間利用者数は約35万人と日本最大級で、最近では月間8,000人程度増加しているという。基本的には無料で登録することができ、自社の検索順位を高くしたり、記事広告を掲載する場合のみ有料対応となっているため、最初のハードルが低く取り組みやすいのが特徴だ。

「畳は日本固有の伝統文化」というイメージがあるが、近年では海外への輸出も増えている。一方、国内では住宅内で和室が少なくなっていることから需要はここ10年で半減しているというデータもあるようだ。こうした実態を踏まえ結成されたのが「畳でおもてなしプロジェクト実行委員会」。畳関連のメーカー、組合、商社、販売店からなり、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを契機に畳を含む日本文化を国内外へ発信するとともに、畳業界の発展と利益をもたらすことを目的としている。24小間の広いエリア内には個別の出展ブースのほか、畳敷きの伝統的な和空間とモダン空間の対比、新旧2タイプの畳機械の展示なども行い、畳は決して古くさいものではなく、畳には様々なバリエーションがあることなどをアピール。インバウンドも意識したプレゼンテーションとなっていた。

ステンレス鋼はその名の通り錆びにくい鋼板で、耐久性や耐食性はもちろんのこと加工性にも優れていることから、多くの分野で使用されている。そんなステンレス鋼板の表面に油をはじめとした汚れが付くと、せっかくの美しい輝きが台無しだ。五合が開発した超親水性無機塗料「ゼロ・クリア」は、ステンレスをはじめとする金属の表面にコーティングすれば、水を掛けるだけで汚れを浮き上がらせて落とすことができる。しかも、100%無機質なので環境に優しい。当初は、洋食器などに使用していたが、キッチンの壁面とシンク、換気扇のファンなどに用途が増え、現在では駅のホームの柱など広く採用されているという。



